夢のような記憶
好きになったら好きってすぐ伝えて、断られてもめげずに想いを伝え続けたけど三年間で一度も実ることはなかった。
高校卒業が迫った風が強く吹いていたある放課後。最後のけじめのつもりで真剣に想いを伝えたら受け止めてくれた日のこと、もしかしたら夢だったのかもしれないね。
『あのね...もう聞き飽きたかもしれないけどこれは私の中でのけじめというか、最後にもう一度真剣に伝えておきたくて。これから先我慢できなくてたくさん連絡しちゃうと思うし、もしあなたに彼女ができたら三日三晩と言わず別れるまで泣き続ける。卒業したらこうやって約束しなくても学校で会えてたのが無くなるけど...でも会えなくなってもずっと好きだよ。本当に大好き。』
心臓の鼓動が体中に響いてしっかり伝えられているのか分からないくらい緊張しながら今までで一番の勇気を出して伝えた。
『.....その先は?』相変わらず真顔なあなたが呟く
『え?』
『今まで何回も好きとは言われたけど、付き合ってとは言われたことないよね。』
『それは絶対断られると思ってたから....だって最初に告白した時にごめんって断られたからただ好きなのだけずっと伝えようと思って。』
『それはそうだけど...付き合う気はないの?』
『そんなこと聞かれると期待しちゃうよ!?付き合いたい気持ちしかないよ。大好きだもん!』
『じゃあ付き合おうよ俺たち』
『........これは現実なの?最後だから情けかけてくれてるの?』
『情けじゃないよ』
『本当に?用も無いのに連絡したり、会いたかったら会いたいって言っていいの?』
『それは今までと変わらないよ』
『でも返事は来ないし、会わないって言ってたじゃん!』
『これからはなるべく返すし、会える時は会うよ』
『...とりあえず今抱きしめてもいい?』
『なんで?』
何を考えてるのか表情からは読み取れないけど、
三年間の部活ですっかり焼けた頬が綺麗な紅に染まってる事に気づいてしまった瞬間に私は彼に抱きついていた。
そんな落ち着きがなくて一方的に好意を伝え続けたバカな私の行動を彼が初めて受け止めて背中に腕を回してくれた日。
心の額縁が存在したら大きく飾りたい。
永遠に忘れたくないあの日。
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