第21話 不和
ハッキングを受けてAIを支配されたアンドロイドはいまだ支配下にないアンドロイドを敵と認識して攻撃を開始した。
同じタイプ同じ諸元のアンドロイドであれば先に先制奇襲攻撃をかけた方が圧倒的に有利なのはいうまでもない。
しかもAIとしては他のアンドロイドがすべて同型であるだけに、実際に攻撃を受けるまではどれが味方でどれが敵なのか識別のしようがない。
「始まったようだな」
同士討ちの映像をラファエルは冷めた瞳で見つめていた。
「敵のアンドロイドがあともう少し減少すればおまえの出番だ」じっとしていることに耐性のないエルフにラファエルは告げた。「だが我々の支配下にあるアンドロイドまで破壊する必要はない。わかっているとは思うが」
「見分けがつかないわよ。どれも同じにしか見えないから」
「それは私が指示する」
リリスは映像の様相に気をとられている赤毛の少女に顔を向けた。その表情はラファエルと話すときとは一変し険しいものとなっている。
「映像にみとれている暇があるのなら、あんたも少しは何かしなさいよ。ただでさえ役に立たないんだから」
「……」
「何か言いなさいよ」
エルフの険しい表情と険しい声に赤毛の少女は怯えた兎のような瞳を浮かべ沈黙を続けた。
「いまは啀み合ってるときではないだろう」ラファエルは感情を剥き出しにするリリスに釘を刺した。「おまえにはアンドロイドを撃破する仕事があるはずだ」
依然として険しい表情のままリリスはメインフレーム室から立ち去っていった。赤毛の少女は気まずさを漂わせながら顔をうつむけていた。
「気にするな、レティシア。お前にはお前にしかできないことがある」
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