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「預かり物だよ」
「見てきて良い?」
「ちゃんと用事を済ませてからならな。あれはまだ自分が分かっていない。だから気付かせる存在には無暗に近づいてほしくはない。私の言いたいことは分かるだろう? 貴様は私の怒りを買うようなことはしないだろうし信頼しているが一応念を押しておく」
少々不機嫌に言い放つ
楽しみも出来たしさっさと用事を済ませてくると、小走りに
時計を見れば開店時間となっており、五人の客は時間厳守でちょうどたどり着いたようだった。
あとの二人にも同じように鹿と蛇の絵柄の鍵をそれぞれに渡し、最後の一人に狼の絵柄の鍵を渡して、左手で客室へと通じる廊下の方を指示しながらゆっくりと頭を下げた。
それに促されるように猿、鹿、ムカデ、蛇の鍵を持った客は慣れた足取りで自分の客室へと向かう。
狼の鍵を持った男は少々戸惑いながら流れに乗るかのように四人の後ろについて歩いていった。
しかし、ロビーから客室の廊下に入るところで狼の絵柄の鍵を持った男が立ち止まり戻ってきて、頭を下げる
「あの、申し訳ない」
「はい、何でしょう?」
「此処に来ればどうにかしてくれると、そう聞いてきたのですが。部屋の鍵だけを渡されても私にはさっぱり……」
顔色はことさら悪く、冷や汗すら額ににじみ出て言葉を発するのもやっとな男に向かって
男が何事かと少し不安げな表情で
「
「いや、しかし……」
自分の言葉を遮られたのが不服なのか、それとも聞きたい事柄を応えてくれていないように感じるのが嫌なのか。
体調が悪そうにも拘らず四の五のと言っている男に、猿の絵柄の鍵を渡された男が近づいてきた。
「お前さん、
不意に自分の背後から聞こえてきた背は低く、少々甲高いような男の声に、驚きながら振り返った男は小さく「えぇ、初めてです」と頷き、知人に紹介されこの場所を知り今日やって来たのだと説明する。
「なるほど、ならば仕方ないか。この
唇の端を上げ、少し黄ばんだ犬歯を見せながら微笑む男は言うだけ言って、
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