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音もなく、するりと開いた格子戸を入れば
しかし、その広さは
ロビーはあまり広く取っているわけではなく、申し訳程度に作られた受付があるだけで飾りっ気はほとんどない。
ロビーの右側に浴場があり、左手には調理場などの従業員専用の部屋、まっすぐ抜ければ少々増築された五室の客室がある。
トイレは浴場に隣接してあるだけで客室には無い。非常に小ぢんまりとした宿屋だ。
そこには無数の掛け軸が巻かれた状態で仕舞い込まれており、
客室に入ると床の間にそれぞれの部屋に合った掛け軸を吊るし、床の間に置いてある
最後にロビーにある飾りっ気のない受付のカウンターに入り、カウンターの下に設けられている棚から銅製の
半分ほどおこった炭を灰に埋めて灰を温めている間に
「今日はとりあえず
炭を少し横によけて、温まった炭の上に
燃やすのではなく温めることで香りを出す香木にはその形状によってそれぞれ名称があり、細かく粒上に刻まれている一般的には焼香などに使われるものを「
優しい甘さの中に爽やかさのある香りが辺りを包み、瞳を閉じてその香りに体を預けていた
「なんだ、今日は随分早いじゃないか」
時間よりもずっと早くに
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