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それほど文句を言うことなく作業を開始した
家屋の三分の二ほどある土間は昔ながらのタイル張りで、そこに並ぶ木の棚やガラスのショーケースには多種多様な香物が収められていた。
左側には主に香木や昔ながらの香や香り物が集められ、右側に行くほどに現代的な香りの香や香水といったたぐいのものになっていく。
商品陳列している空間を抜け、入り口まっすぐ正面に当たる場所には様々な香道具が並べられ、その向こう側は一段高く畳間が設けられていた。
畳間には左手に結界に囲まれた帳場があり、そこには古めかしい店構えの雰囲気にはそぐわない、現代的な複合機の電話とノートパソコンが設置され、帳場の後方にある襖の向こう側には和室が一部屋。
此処は以前の
階段のある襖の反対側、帳場に座って左手。
丁度後ろの和室の壁となっている部分を伝っていく形であるのがステンドグラスのはめ込まれたドア。
そのドアの向こうは
ステンドグラスのはめ込まれたドアを開けてやってきた
慣れた手つきで留守番電話を確認しながらパソコンの電源を入れメールをチェック。
いつもの日課であり全ての確認が終われば、
「そうか、今日は五件だったか。多いが仕方がないな」
ぽつりと呟いた
電話は居住区にいる
少々高さのある垣根に囲まれた
垣根の入口は大きな丸太で三方を囲まれ、地面には境界を示すかのように角ばった石で敷居が作られている。
尊は敷居を跨ぎ、入ってすぐ左手にあるいびつな
木製でガラスがはめ込まれているが、格子の間隔が狭い為そこから中を覗くには格子戸に顔を付けるほど近づかなければ無理であった。
この建物にある窓や出入り口は同じような格子戸がはめ込まれているため、どの部屋も外から覗くことはもちろん、中の者が外を見るのも少々困難な仕様となっている。
勿論、格子戸を開ければ容易に見ることは出来るのだが、格子戸が開け放されるということはごくまれな事だった。
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