第69話 生徒会秘書

 迷路エリアの大広間にてーー


 ここは迷路エリアに存在する数少ない大広間。

 噴水がこの大広間の中央にあり、その噴水を遠くから囲むように、西洋の建物が建ち並んでいる。

 噴水の側にはベンチがあり、その一つに彼女は座っていた。


「おい。あいつがターゲットか?」


「堂々とし過ぎじゃないか?」


 西洋の建物の屋根に隠れ、彼女を見張っている者は少し恐怖を覚えていた。

 既に戦いは始まっているというのに、彼女は堂々とベンチに座っている。


「なあ。狙撃するか?」


 彼らは大工の集団である。

 だからこそ、危ない建物の上でも平然と登っている。


「もう少し様子を見よう。仲間が隠れているかもしれないし」


 その部隊のリーダーであるPTAの幹部の男は、慎重に彼女を倒すと決めた。

 だがその選択は間違っていた、


 PTAのメンバーたちは、その女を不審に見つめる。


「リーダー。さすがにおかしくありませんか?」


 PTAのメンバーの一人が言う。

 他のメンバーも軽く頷いている。

 リーダーはとうとう覚悟を決め、PTAメンバーの中で最も狙撃が上手な男に狙撃を頼んだ。


「一発で決めろよ」


「ああ」


 スナイパーライフル型のペイント銃を構えた男は、リーダーに返事する。

 男はスナイパーライフルのスコープ越しから謎の女を覗く。

 そして数秒後、一発の発射音が鳴る


「さあて。やったかな?」


 リーダーは彼女を見ようとベンチを屋根越しから見るが、彼の視界には別のものが入った。


「お……い……」


 青いペイントがスナイパーの額に命中する。

 リーダーの表情は一瞬で強張る、


「リーダー。奇襲です」


 リーダーは背後から聞こえる声がしたとともに後ろを振り返るも、そこには青いペイントで染まった仲間がいた。


「女王様。九名討伐、残り一名」


 スナイパーライフルを持った一人の男が、電話越しの生徒会秘書ーーつまり噴水前のベンチに座っていた女と話す。


「奴隷No.2。やれ」


「了解」


 スナイパーライフルを持った一人の男は、スコープ越しにリーダーを捉えた。

 男はしっかりとライフルを握り、構える。


「さようなら。女王様の命は絶対である」


 そう言い、男はペイント弾をリーダーの額に当てる。

 リーダーは避けることもなく、ただペイント弾を額に受ける。


「すまない。小学生のガキどもに、俺たちPTAは負けるとは……やっぱ生徒会は侮れないな」


 リーダーは笑い、倒れた。

 そしてこのエリアは生徒会メンバーの勝利となった。


 生徒会秘書はとある人物に電話する。


「ここは私たちが勝利しました」


「そうか。月島彩は絶対に渡すなよ」


「大丈夫です。私の奴隷の内、十名ほどが彼女を常に警護していますから」


 だが、月島彩を見張っていた生徒会秘書の奴隷全員は赤いペイントに染まっていた。

 簡単に言えば敗北したのだ。

 彼らを倒したのはーー

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