第四章 『異能者』
異能ドッジボールが始まって数秒。
神崎天矢はゼウスにボールを投げた。そのボールはゼウスに当たると、ボールは破裂した。
ーーゼウス、脱落
ゼウスは消滅した。
神崎天矢は残り十一名の神に言う。
「ボールに当たり、そのボールを味方がキャッチできなかったら負け」
そう言った神崎天矢の手には、さっき破裂したはずのボールが存在していた。
神たちは驚きを隠せずにいる。
「あいつは……何者なんだ?」
「知っているか?神という愚かな種族よ。人間は常に他人を見下している。それが信頼している者であれ、たとえ親であれだ」
「だから俺たち神は貴様らを意味嫌っている」
「バカかな?」
「何だと」
アポロンはバカにされたことで、怒りの極炎を体に纏っている。
神崎天矢は怒っているアポロンを嘲笑うかのように眺める。
「なあ。神はどうして自分を絶対だと思っている?実際、お前たちは今俺たちに倒されそうになっている。それなのにお前たちは人を愚かと言う」
「だって俺たちは神だ。誰も到達できない神だ。それなのに……」
アポロンの発言を、神崎天矢は言葉でねじ伏せた。
「神は、神は人を見下している」
正論である。
上に立てば立つほどに、誰もが傲慢になる。
神とは傲慢の集合体である。
ただ己の欲を満たすために、世界に存在している全ての生命体を道具のように扱ってしまう。
神ですら欲深い世界なのならば、どうして人が欲深さを消すことができる?
神崎天矢が神を滅ぼす理由。
「俺は神が嫌いだ。貴様らのように世界を自分の意思で変える貴様らが嫌いだ。だから、俺が神になる。神の頂点に立つ」
「貴様ああああ」
アポロンは神崎天矢に向け、火炎を粒にして飛ばす。
「神って言うのは、本当に怠惰だな」
アポロンは消滅した。
ゼウスに続き、アポロンまで消滅した。
絶対と言われてきた神という歴史が、今簡単に崩されようとしている。
神崎天矢。
彼は本気だ。
「アポロンまで消滅した。どうすれば……」
あわてふためく神たちに、神崎天矢はボールを投げる。
「一人目、二人目、三人……」
オリュンポス十二神の神の内、既に五名が消滅した。
「神崎天矢。何者だ?」
神崎天矢のあまりの強さに、残りの神たちは恐怖を隠せずにいた。
今か今かと死を待ちわびる。
神は命のもろさを知っているから。
「神崎天矢。貴様は……」
「
神たちを襲うように、千を越えるボールが一斉に神たちを襲う。
ボールが命中した神は、ゼウスやアポロンと同様に消滅していった。
「神よ。お前たちが世界を統一しようとも意味がない。世界は俺たち人間が支配するよ」
神崎天矢は神の世界を統一した。
その日から数日、神の世界の上空に、画面が現れた。その画面には神崎天矢が映っていた。
「神たちよ。傲慢であり怠惰である神たちよ。神の頂点は私である」
神たちはざわめき出す。
「オリュンポス十二神は全員倒した。ゲームという盤上において、神は惜敗を記した。神はゲームを舐めていたようだな。本当に愚かだな。お前たちは」
神たちに神崎天矢は罵詈雑言を浴びせる。
そんな神崎天矢に神たちも罵詈雑言を浴びせるも、モニター越しの神崎天矢には届かない。
「最後に貴様たちに事実を述べよう。神の時代は、終焉へと誘われた」
神崎天矢はチェスのキングの駒を逆さまにした。
そこで神は察した。
神崎天矢という男が、神の世界を支配したのだと。
「さあ、神の世界には終わってもらおうか。あとは神崎翔に器があるかどうかだが……」
そう呟いた神崎天矢は、水晶に映る神崎翔を見る。
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