第197話
「ん?どうしたんだい?」
「このなんとかの牙って、どんなスキルが使えるようになるのかなーって思って」
ちらちらっとアマツを見たら、反応してくれたのでちょっと教えて欲しいんだよーとアピールしてみる。
てか、名前が微妙に覚えらんないのなんとかならんかな。
「ああ、双頭蛇神だね……ふむ、事前に仕様を表示する例もあると。いいよ、試用スペースを設けるね……あ、そこの映像はそこのディスプレイで流すけど良いかな?もちろん顔は隠すよ」
お。
まじか、やったね。
「隠して貰えるんであれば問題ないかな?」
他の皆にそう訊ねると、問題なしと回答あったので早速試用スペースに行くことにする。
ボードは……乗りたかったけど、乗っちゃうともっと欲しくなりそうだしねえ。
となると確認するのは牙だけかな?
タンクトップは単にスロットあるよーって説明だけで内容分かるしね。
さてさて、どんなスキルだろうか……名前的に結構強そうではるけど。
俺たち以外の人もやりたいと言い出したので、試用時間は10分までとなった。
まあ、しゃーないね。
10分あれば大体試せるし問題はなしだ。
んで、試用した結果だけど、これが中々上々だった。
「発動すると自在に動かせる蛇の骨見たいのが出て、噛み付いたり締め上げたり出来る、と……射程は50mぐらいかな?」
スキルは名前に蛇とあった通り、蛇っぽいスキルであった。
発動しようと思った瞬間に発動するし、相手に向かう速度も結構なもんだ。
それに伸びる途中で向きを自由に変えられるから、実質誘導機能がついてるようなもんである。
射程も長いし非常に使いやすいスキルだと思う。
あと発動するときの負担も少ないから、常時使用可能って感じだ。まあ、10分以上使ったらどうなるか分らんけどね。自然に回復する分で賄えるかなーぐらいな負担だね、今のところ。
それに土蜘蛛みたいに何か言葉を発する必要は無いから、相手が察知する隙もない。
なかなか良いと思う。
「威力はレベル依存か」
んで、威力は……まあまあかな?噛み付きは俺が不通に殴るより若干弱いかなーぐらい。
締め付けるのもたぶん俺が実際に締め付けるより少し弱い……ぐらいだと思う。
あ、属性はきっちり乗るね。
あとはねーやばいのがあって……。
「透明に出来るの凶悪すぎないっすか?」
透明になっちゃうんだなこれが。
見えなくて誘導出来て遠距離いけちゃうってやばすぎない?
さすがにバランス崩れると思うんですけどー。
……なんて俺が思うぐらいだから、アマツも承知してる訳で。
「ああ、でも大分威力が下がるぞ。格下はともかく、同格以上だと体勢を崩すぐらいにしか……それでも十分強力だが」
「これ、途中で攻撃途中で見える見えないの変更出来たらもっと良いんですけどね」
「それはさすがに強すぎるからな」
透明にした時は威力は大幅に下がっちゃう。
体感的には半分もいってない……三分の一とかそれぐらいかな?まあ足止めする分には十分だけども。
さて、どっちにするか決めるか……両方くれってのはさすがに無いからなあ。
「え、クロのも貰っていいんです?」
あれぇ?
「実は猫や犬用のアイテムを用意し忘れていてね、それにさっきの件もあるしねえ」
まじか。
いいのか……いいのかな?ありがたく貰ってしまうけど。
「太郎も連れてくれば……いや、はしゃいでイベントどころじゃなくなりそうだな」
「確かに」
太郎は……そうねえ、すごいはしゃいで走り回る姿が思い浮かんじゃう。
たぶん実際そうなると思う。だから隊員さんも連れてこなかったんだしね。
なんかちょっとずるした気分だけど、貰えるものは貰ってしまおう。
今後必要になるのは確実だし……。
「んじゃ、俺がタンクトップでクロが牙ね」
んで、どれを選ぶかだけど、結局俺がタンクトップでクロが牙をもらうことにしたよ。
クロは牙を使って結構トリッキーな動きが出来そうだってことで、牙を選んだ感じ。
隊員さんもタンクトップか牙どっちかを選んでた感じだね。
んで、中村はと言うとですねえ。
「しかし弓選ぶとはねえ……」
一人だけ弓選んでたんだよ。
こいつ弓使えるんかいな。
そんな疑いの眼差しを中村に向けると、中村は胸をはって堂々と答える。
「ふふ、俺はなあこう見えて野球部と弓道部どちらにするか真剣に悩んだ男だからな!」
「へー……いや、結局野球部だったよね?弓道やってないじゃん」
「今からやんだよ!」
「おー……がんばれ」
ダメじゃねえか!
弓の素人が弓使ってまともに戦えるんだろうか?
……しばらくは一緒に戦わないほうが良いかも知れない。後ろから撃たれたらシャレにならんし。
まあ、こんな感じでイベント初日は終了した。
隊員さんや中村と別れ、俺とクロ……それに北上さんは家へと戻り、ちょっと遅めの夕食をとる。
場所はもちろんBBQ広場だ。さすがに疲れたもんで自分で調理する気はあまり起きなかった。それは北上さんも同じだったらしく、特に反対されることもなく俺たちはBBQ広場へと向かう。
「へそ天……」
遅めの夕食だけど、がっつり食べてしまった。
クロもかなりお腹いっぱいらしく、ちょっとご飯を食べた後はずっとお腹を晒して横になっている。
ちゅーるさんざん食ったから、元からお腹いっぱいだったぽいんだよね。
今は北上さんにお腹を撫でられ気持ちよさそうにゴロゴロと喉をならしている。
うむ、こういうまったりした時間っていいよね?
アマツの同僚のおかげで酷い目にあったから猶更だ。
……あ、そうだ。
この前都丸さんから聞いて、気になってたことがあったんだ。
忘れないうちにちょっと聞いてみるかな?もしかすると教えてくれるかもだし……。
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