第186話

そこを過ぎて、少し歩いていくとちょっとなんか……こう、他と雰囲気の違うコーナーがあったよ。


「装備試着コーナーとか……」


「コスプレ感が凄い」


ダンジョンで扱ってる装備のコスプレ……もとい試着コーナーがあった。

数はそこまで多くないけど、一般のお店で扱ってる装備なんかも置いてあるっぽいね。


見てるお客さんは、普段ダンジョンに潜ってない人ばかりかな?

そこまで鍛えてる人もいないし、装備のごつさと体格があってない感じがする。


ものによっては貸し出しもやっているそうで、限定ダンジョンで使えるようになってるみたいだ。


一般の人がダンジョン用の装備なんて持っている訳無いし、良いと思う。



あとはー……。


これは、何と言ったら良いんだろう。


「なんか被り物とかあるんだけどー」


「秋葉原に居そう」


「確かに」


頭にすっぽりかぶるタイプの動物の帽子っていうのかな。顔だけ露出してるようなやつ。

なぜかそれも大量に並んでいた。もちろん俺がつけているような耳だけのタイプもある……あと動物の前足グローブとか、靴とか、尻尾とかそんなのも大量に並んでいた。そして人だかりが出来ていた。


秋葉原に居そうって誰かが言ったけど、秋葉原にもこんなには居ないと思うぞ。


……グローブと靴はちょっと欲しいかなって、思ってしまった。

後頭部に視線を感じるので、買わないけどねっ。


隊員さんが何人か買ってたのがちらっと見えたけど……見なかったことにした。俺は空気が読める男なのだ。




「新要素のコーナーは……ここだな」


さて、色々寄ったので結構時間が掛かってしまったが、やっと目的の新様相のコーナーまで来ることが出来た。

お客さんはー……ダンジョン潜ってる人とそうじゃない人が半々ってとこだろうか?


そしてついて早々すごく嫌な予感のするものが目に入る。


「装備精錬システム実装……なんだかとても嫌な予感がするのは気のせいですかね」


「まあ……うん……とりあえず内容を見ようか」


もうね、精錬って時点で嫌な予感しかしねーですわ。

絶対失敗して何かペナ発生するタイプでしょ!俺知ってるんだかんね。




「これ絶対沼るやつだ」


「非生物系のモンスターから入手できるコアを使って装備を強化……強化出来る回数は装備レベルまで。強化回数が増えるほど失敗する確率があがるよ!……うん」


やっぱやべーやつだった。

レベル分だけって、それ数十回出来るって訳じゃん。それでいて失敗するってやばすぎんよ。


「失敗しても壊れないのが救いだが、強化値が一つ下がるのか……ヤバそうだなこれ」


もし失敗したら装備壊れるとかだったら、絶対やらなかったね!

強化値一つ下がるのでも確率次第ではほんとやばい。


「良いコアであるほど成功率は高い!頑張ってフル強化を目指そう!!」


あかん。


「コアは自力で入手か、オークションで誰かが出品したのを買うしか……ああ、Dパッドでコアの出品とポイントでの購入が何時でも出来るようになると書いてあるな」


コアだけダンジョン潜るメンバーに対し、常時オークション解禁か……いや、それ自体はありがたいと思う。思うよ?


「ポイントごりごり減りそう」


「これ下手すると最終強化直前から、未強化まで戻されるってことか……やっば」


「その内強化に失敗しても強化値が減らないコアとか出てくるんだろ?」


「どこぞのネトゲのようだ……」


まあ、皆の感想をまとめるとだ。

やばそう。この一言に尽きるね!ポイント使い過ぎて破産する人とか出そうだな……あ、いや使うのポイントだから破産はしないか。

使うのポイントだけだし、実質タダだな!!




新要素は見ないことにした……無理だけど。

今後を考えるなら強化はたぶん必須なんだろうなあって気がします……くっ、それより限定ダンジョンだ!

限定ダンジョンなら一般人も参加可能だし、そこまで酷いことにはならんじゃろ。




そんな訳でやってきました限定ダンジョン。

人だかりはかなりやばい。



「限定ダンジョンここか」


「ほう……人数によってダンジョンの構造は変わるが、基本的にやる事は同じか」


人が大量でやばいけど、でかいディスプレイが空中に浮かんでて?いや、あれ映像だけか……まあとにかくそのお陰でダンジョンの説明なんかは問題なく聞けているね。


「ステージクリア毎の報酬が気になる……特に最後のやつ」


「報酬貰えるの一回だけなんすねー」


ステージはいくつか、と言うか説明聞く限り三つある。

で、各ステージをクリアする毎に報酬をもらえちゃうわけだ。ただし、貰えるのは最初の1回目のみ。再びクリアしてもその時は報酬は貰えない。


あと道中でアイテムは獲得できるらしく、そっちは何度挑んでも貰えるらしいね。


道中のアイテム美味しければ、何度も参加する人は出るかもだね。

つっても1日1回しか参加出来んのだけど。


「ステージ1は手分けして進み、ステージ2は協力、ステージ3は秘密ねえ」


ステージ2の内容次第ではソロだったり、少人数のところは摘むかも知れない。

まあ、人数によって構造変わるそうだし多少救済措置はあると思う。


どんな内容なのかなー……ん?北上さんがなんか手招きしとるな。

なんじゃろ。



「ダンジョンの映像流れてるんですけどぉ」


まじか。

北上さんの方に行ってみたら、もう一つでかいディスプレイがあって、そっちではダンジョンを攻略する様子を流してた。

この人だかりの原因はこれか。


皆事前にほかの人が攻略するのを見てから参加する気に違いないっ。

カンニングはいけないと思いますっ。




まあ見るんですけどね。


「ステージ1は割と簡単そう……?」


「そりゃ一般人も参加するわけだしー」


ステージ1は、ソロもしくはペアに分かれてそれぞれの道を進んで、最終的にゲートキーパーを倒せばステージクリアとなる。


道中の敵はスライム……あ、丸っこくて可愛いやつね。あとちっこいデフォルメきいたゴーレムっぽいのが出てくる。

ゲートキーパーはでっかいゴーレムだね。こっちもデフォルメ効いてる。


強さ的にはスライムとちっこいゴーレムがネズミと同じぐらいかな……でっかいゴーレムはでかウサギぐらいだと思う。


このままでもまあ倒せる人は倒せると思う。

ただこれお子様なんかも参加してるから、そっちはどうするのかなーって思ったら。


なんかゲートキーパーの部屋にギミックがあるらしく、それを解除していくと徐々に弱くなっていくそうだ。

しかも解除している間は攻撃されない新設設計である。


家族連れでも楽しめるんでないかなー……たまに可愛い外見に騙されて、スライムが顔面に取り付いてそのままお亡くなりになってるのがちらほら居るけど……まあダンジョンだし!それに死ぬと言ってもアバター使うので痛みとか苦しみもまあ、平気っぽい。

ちっちゃいお子様がはんべそかいてた程度だ。



んで、この様子ならステージ2も簡単かなーって思ったんだけど……。


「ステージ2は……迷宮攻略?」


「ギミック解いて進む系だねこれ」


「要所要所で敵がいるな……しかも強いぞ、あれ」


「一般人は……と言うか元々潜ってる連中でもキツイ気がするが」


割と本格的な迷宮で、マッピングしないとまず迷うねこれ。


ギミックはちょっと頭をひねれば行けそう……あれだ、こっちのレバー上げたら扉が開いて、でもそれだと橋が上がったままだから……あっちのスイッチをどうにかしないと行けないとか。


割とゲームにありそうなやつ。

ゲームと違うのがごり押しでも行けちゃうってとこだろうか。

こじ開けたり、飛び越えたり等など……アマツが泣き顔がふっと浮かんだので、まあちゃんとクリアしようとは思う。


問題は道中の敵がまあ強いんだこれが。

たぶん15階に出る敵ぐらいかな?オーガとかそれぐらいの強さはあると思う。


なのでステージ2はかなりの脱落者が出ているね。

これ、うちらはともかく……下手すりゃ隊員さんでも苦労すると思うぞ。


「道中入手したアイテムで、自身を強化出来るそうで。一回で突破できなくても何度かやればいける様になってるみたいですね」


ちょっと無理ゲーじゃないですかね。って思ったらちゃんと救済措置があった。

ステージ1やステージ2で拾えるアイテムは、どうも身体能力を向上させたりする効果があるそうだ。


その辺をためておいて、一気に使って突破する。なんて事も出来るみたい。


アマツも色々考えてるねー。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る