第178話
正月休みも終わり……いや、俺の場合いつも休みっちゃ休みだけどね。とにかく正月休みも終わって、じいちゃんばあちゃん家か帰ってきたのだけど……。
「あー……」
疲れた。
なんかさ、休み中ずーっと……とまでは言わないけど、ちょいちょい俺と北上さんについて質問責めにあったんよね。
仕舞いにはばあちゃんまでひ孫がどうのとか言い出すし……。
「うー……」
今までそこまで深く意識してた訳じゃなかったんだと思う。
だからこう改めて認識させられると……うぐぐ。
さっきからクロの尻尾を掴んでは、しゅるりと抜け出す。それを繰り返しているのだけど、なんかもう頭の中ごちゃごちゃにしててそれしか出来ないと言うかなんと言うか……付き合ってくれるクロも優しいな。そろそろイライラがたまってそうだけどな……いかんな、これは。
「だめだっ、狩りいこう狩りっ」
うだうだ考えててもしゃーない!
狩りして頭の中すっきりさせよう!
「目指せシーサーペントカード!」
俺が身を起こし、そう叫ぶとクロもやれやれと言った感じで起き上がり、玄関へと向かう。
ただ心なしかその足取りが軽いのは、しばらくだらけていた反動だろうか。
やっぱ猫も人も適度に体動かさないとダメよね。
頭空っぽになるまでシーサーペント狩りまくってくれようっ。
「ぷぅ……まあ、そうそう都合よく出るわきゃ無いか」
午前、午後と狩り続けたけど、カードは結局でなかった。
頭の中はだいぶすっきりしたけどね。
「シーサーペントの次は何出るんだろうなあ。たぶんまた竜種だろうけど」
「普通のと水が来てるから。あとは火、土、風……光とか闇とかもあるんかね?あと雷とか」
ドラゴン亜種、シーサーペントと来ているのだから……まあたぶん次も竜だよねーって話ですわ。
ぱっと思いつくだけでも結構種類あるし、他にももっといるかも知れない。
なので次何が来るかは分からんのよなー。
もしまた何かしらカードを用意しないといけない……とかだとちょっち困る。
次のオークションは近いうちにまたやるっぽいけど、少なくともあと一月はやらないはずだ。
カード用意しないといけない場合は、またしばらく足止めを食らってしまう可能性がある。
なので出来れば手持ちの札でどうにかしたい……とりえずはシーサーペントのカードの確保は必須である。
有用なのは間違いないはずだからね。
この階層で使えないカードだったら、詐欺だよ詐欺。
「今日の夕飯は……唐揚げかな、大根いっぱいあるし、おろしポン酢で食べちゃおう」
倒したシーサーペントは持って帰れる分はちゃんと持って帰ってるよ。
おいしいしね。この前お鍋をがっつり食ったし、今度は唐揚げがっつり食べたいな。
あ、そういや中村にまだ食わしてないな……まあ、次の土日でいっか。
「塩コショウだけでもー……皆さんお揃いで……どったの?唐揚げ食べます?」
ポン酢も美味しいけど塩コショウでシンプルいっても……と、夕飯のこと考えながら休憩場に戻ったら、なぜか隊員さんが勢ぞろいしてた。
なんかあったのだろうか……とりあえず場を和ますために冗談飛ばしてみたけど……?
「唐揚げは頂こう。年明け早々ちょっと面倒な事になりそうでな……知らせておこうと思ったんだ」
「(唐揚げはいるんだ……)面倒な事ですか?……またアメリカ関係です?」
そういえば北上さん以外シーサーペント食べてないのか。
北上さんから話は聞いててもおかしくはないし……夕飯ご一緒しよう。
んで、それはさておき面倒ごと……どうしても前のアメちゃんのことを思い出しちゃうんだけど、まさかまたじゃなないよね……?できれば次は遠慮しときたいんだけどなー。
「いや、そっちはまだ先の話だ。ダンジョンマスターが変な事を言い出したらしくてな」
「(まだ?)変な事ですか?」
なんか都丸さんが不吉なこと口走ったー……やだー。
そしてアマツはこの年始の時期いったい何を言い出したのだ。
餅まきでもするの?それなら大歓迎だけどさ。あれは何度参加しても良いものだ。
「ああ……年末には間に合わなかったけど、年始は何かイベントしないといけないよね!だ、そうだ」
「イベント……ダンジョンの?」
ダンジョンのイベントってアマツおま……てか、都丸さんの物まねが地味にうまくて、内容が頭にはいってこないゾ。
意外な特技があったもんだ。
「詳細は分からないんですか?」
「実装するまでのお楽しみだよ!と言っていたな」
物まねやめてえっ。
笑いこらえるのに必死で内容がまじで頭にはいってこねーです。
……なんだっけ、イベントやろうとしてるって話だっけ?
「……まともなイベントであれば、期間限定ダンジョンとか、期間限定グッズ販売とか……あとガチャ?」
このへんはネトゲとか、スマホゲームとかでありそうなやつだよね。
アマツはこのへんも参考にしてそうだし、やる可能性は高いと思う。
「やばいので考えられるのはー……スタンピードですかね。無いとは思いますけど」
この手のイベント系でやべーのはこれだね。
モンスターがダンジョンから溢れるってパターン。
まじでやられると世界がやばい。
やらないと思うけどさ。
「ああ、さすがにそれは無いと思いたいが、正直あの人は何を考えているのかよくわからない所があるからな」
「あー……ちょっと後でアマツから話聞いてみますよ。やばそうなら止めます」
スタンビートまでは行かなくても……それに近いことはやっちゃうかもしれない。
ダンジョンの外にモンスターがでてきて特定の建物で防衛戦とか。
一般人とかには被害はでないけど、むっちゃ混乱しそう。
ないと思うけど……ないと思うんだけどね?念のため確認に行こう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます