第150話


「二人で潜るんすか?」


「いえ、友達から誘われていまして、一緒に行こうかなと」


俺とクロ、それに中村が抽選あたればだけどね。

外れたらごり押しで入れてもらうつもりだけどなっ。


「潜るのって平日?午前中終わってからいくのー?」


「いえ、土日の予定ですねー。畑の手伝い無い日に行こうかなーと」


「何人ぐらいでいくのー?」


「俺とクロとそいつで3人ですねー」


「あ、そうなんだー。へー」


そうなんですよー。

北上さんも如何です?と聞きたいところだが、周りに皆が居る状態で誘うとか無理。はずい。


まあ、一人だけ誘うとかはさすがにない。


「かなり目立ちそうですよね」


……やっぱ目立つかな?中村も居ればクロと二人よりはましだろうと思ったのだけど。

うーん……別に俺はいいけど、クロにちょっかい出すやつおらんよなあ。


抽選……実際には素行調査したりしてるとは思うけど、変なのは絶対居るだろうし。

勢いあまって殴ってしまうかも知れない。


「そうだな……俺たちもどうせ必要なるんだ。俺たちからも何人かずつ参加したほうが良いんじゃないか?」


おや?太田さん良いこと言うじゃない!


「そうだな。人数多いほうが絡まれる心配も減るだろう」


ありがてえありがてえ。

マッチョの群れにちょっかい出すやつなんてまず居ないだろうし、本当に助かる。


「とりあえず田尻さん居れば大丈夫じゃないっすかね」


そうですね。


「どういう意味だこら」


顔が怖い的な意味なんかじゃ無いんだからねっ。



まあ、それはさておき。


とりあえず隊員さんも来てくれそうだし、少人数で潜って目立つ!ってのは避けることが出来そうだ。

もちろん大人数でも別な意味で目立つけど、そっちは目立っても別に平気だろう。


おしおし……あ、肝心な中村に確認取ってなかった。

とりあえずメッセージ送らないと……。


「俺の知り合いも行くかも」


送信っと。

この時間だと仕事中かなあ。

返事来るのは夕方以降だろうか。



「あ、大丈夫ぽい」


とか思っていたら即返事がきた。

仕事サボってないヨネ?


中村に確認も取れたので、隊員さん達にそれなら一緒に潜りましょーとお話をして一緒に行く約束取り付けたぞい。


あとは実際に一般開放されるのを待つだけだね。

法律の整備とか、色々とやらなきゃいけない事があるらしいから、さすがにもうちょい掛かるかな?




「すんごいさくさく決まってくなあ……決まる分には良いんだけどさ」


掛からなかった。


法律ってこんなサクサク決まるもんだっけ……?

誰も反対しようしないのが凄いな。事前にネゴって了承済みってことか。


……まあ、そうよね。元気になった首相達を見たら、俺も俺も!ってなるよね。



「とりあえず応募しとこっと」


んで、特に延期とかなることもなく、トライアルの募集が始まったよ。

中村はそっこーで応募したそうなので、俺も忘れないうちに自分の分とクロの分を応募しておいた。


……繋がるまでに相当苦労したんで、かなりの人数が応募してそうだった。

楽しみだね。



それから1週間、2週間が過ぎた。

その間は特筆すべきことは起こらなかったのだが、例の試作品を送ってきたメーカーさんから一通の手紙が届いた。


「んー?鉱石も追加でほしいとな?何かわかったのかなー」


内容は以前ダンジョン内で見つけて拾っておいた鉱石あるでしょ。

あれをもっと欲しいなーって内容だったよ。すっかり存在忘れとったわ。


「あ、資料あるじゃん」


てっきり鉱石に関する資料かな、と思って開いたら……最初の方は鉱石に関する資料だったけど、後半は違った。


ほかの素材について追加で分かった事があるらしく、それについて書かれていた。

前に結構調査してあったと思ったけど、何が判明したんだろうね?


あ、ちなみに鉱石の方だけど、かなり特殊な性質を持つと書いてあった。

どうも金属というかガラスに近いらしい?どういうこっちゃ。



まあ、鉱石はあとで取ってくるとして、素材の追加情報が気になる。


「おぉ……職人さんが作った方がダンジョン内において性能が高い傾向がある、と。いいねいいね」


どれどれ、と見てみると。

ようは機械で大量生産するより、職人さんが手作りしたほうが、仮に地上では同じ性能でもダンジョンに潜ると差が出てくんだそうな。


より良い装備がどうしても欲しい!って時は職人さんの、そうじゃなければメーカーさんのって事で、棲み分けできそうね。


お金があるならより良い装備を手に入れたいだろうし、職人さんはかなーり忙しくなるんでないかな。


もちろんメーカーさんもね。

一体どれだけの人がダンジョンに潜るか分からないけれど、しばたくは需要が供給を上回ると思う。


「でも俺たちの装備はもう今更だもんなー」


限界まで鍛えてあるし、今更装備を新調しても今より強くなることは無いだろう。

あ、追加装甲的なのは別ね。


ダンジョン潜るときに、こう言った装備があれば最初はかなり楽になるだろうねえ……あ。


中村の装備どうしよ。


「……あとで聞いてみるか」


俺みたいにそこらのお店で買って鍛えるか。

最初から良い装備を揃えていくか……まあ、楽なのは最初だけだろうけど。


ダンジョン内で買った装備みたいに、レベルが上がりにくいとかあるんじゃないかな。たぶん。



俺としては一般の素材で作られた装備で揃えるか、それか一番良い素材で作った装備にするか、そのどちらかが良いと思う。


装備良すぎると、それに頼り切りになっちゃう可能性もあるので、後者の場合は……対策考えないとダメかも知れない。


まあ、決めるのは俺じゃない。

あとで本人に聞いてみるとしよう。


中村の性格的に前者を選びそうな気もするけど……どうなるかな?

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