第145話

受け取り拒否したかったけれど、ノーと言えずに結局受け取る事になってしまった。


荷物自体は大塚さんが家まで持ってきてくれるとの事なので、しばし家で待機する……そして程なくして家のチャイムが鳴る。



大塚さんが持ってきた荷物は一抱えはありそうな袋だった。それもかなり高級そうなやつ。


「んー……んんっ?なんで英語……」


いったい何が届いたのか……と中を覗いてみると、中には小包がいくつか入っており、そのどれもが英語が書かれていた。


……いや、まあ今どき英語で書かれているのなんて珍しくもないんだけど、なんか日本のと違うんだよね。それに手紙も入ってて、これにも英語が書かれてるし……日本からじゃないな、これ。



「以前、アメリカの隊員を受け入れた際に、トラブルがありましたでしょう。あれのお詫びで……とのことです」


ああー。


「なるベくトラブルを露見させたくない、と情報が出回ってなかったようです。トラブルのことを知って慌てて用意した様ですよ?」


「あー、なるほどー」


あいつか。

色々あり過ぎて、すっかり記憶からなくなってたわ。



「ちなみそちらの箱は例の隊員の祖父にあたる方からです。それと、それはお詫びの手紙だそうで」


「へー……一応受け取りました。これ、返事とか書いたほうが良いんです?」


なるほどねー。

何の音沙汰ないなーとは一応思ってたんだけど、公にしないようにしてたと。


……まあ、良いけど。個人的に制裁は加えたし、こうして事件をしって詫びを入れてきた訳だし。



「いえ、大丈夫ですよ。受け取ったことは我々から先方に伝えますし、もし島津さんから何かあるのであれば、我々から伝えますが……」


「いいえー。特には無いですよ?」


向こうがきっちり詫びを入れたってことで、この件はお終い。


出来ればこの荷物も受け取りたくはないけど、それはそれで失礼になるのかなー……うーん。



なんて俺が悩んでいると、何やらゴソゴソとかベリベリって音が聞こえてきた。


「あ、クロってば……開けちゃった」


クロが中身に興味を惹かれ、包みを開けてしまったようだ。


「こっちが俺ので……そっちはクロの?」


クロが開けた包みには、どうみても猫のご飯がぎっりしと詰まっていた。

どう考えても俺用ではない……猫耳と尻尾の情報を聞いて用意した可能性も0ではないけど、さすがに無いと思いたい。


それに包みはもう一つあるし、きっとこっちが俺用なのだろう。



「お、なんか良さげなナイフだ」


ベリベリと包みを開けると、中に入っていたのは日本では中々お目にかかれない様な、立派なナイフであった。


握りやすいし、使いやすそう。

今は鉈があるからダンジョンで使うことは無いだろうけど、普段使う分には良さそうな気がするね。

ほら、鉈は見た目が変わってしまったから、普段使うにはちょっと派手というかなんというか……このナイフもこんだけ立派だとあれだけどね。職質受けそうな気がしなくもない。




「軍需関係の会社のお偉いさん……なるほどなるほど」


大塚さんから話も聞きつつ、とりあえず受け取った手紙も読んでみた。

あ、英語だけじゃなくて日本語も書いてあったから、問題なく読めたよ。


内容は孫が酷いことをして申し訳ないってのと、なんであんな行動に出たかの理由も書いてあった。


どうもこの手紙の主は軍需関係の会社のお偉いさんらしい。

で、どうも最近病を患ったらしく……余命あと僅かとか、そう言う訳では無いらしいけど。


その話を聞いた孫……例の隊員がなら俺がポーションとってきてやるぜー!と張り切っていたそうで。


そこに俺とクロが表れて、しかも自分たちよりも攻略が進んでいる。

このままじゃ俺がとって来るより先に、こいつらがとって来てしまう。気に食わない……となったそうだ。


知らんがな……ってのが読んだ感想である。


んまあ、今後関わり合いになることはまず無いと思うので……とりあえず謝罪は受け取りましたとお伝えください、と大塚さんに伝えておいた。




なんかその日は狩りに行く気が湧いてこなかったので、クロとダラダラ過ごすことにした。


クロも包みの中身をチョックするのに忙しくて、狩りに行く気余りなさそうだしね。



「来週かー。もうすぐだねえ」


落ち着いてきたから思いだしたけど、会見がもうすぐなんだよね。

会見が終わればいよいよ一般開放となる、はず。


いやー、楽しみだ。

会見の時間チェックして、見過ごさないようにしないとねー……おう?



端末がピコピコ光ってる。


「おや、端末にお知らせが……んっ」


何かと思ったらお知らせがきてた。

どれ、内容は……っと。



「おおっ!ついにきたっ」


アマツからステータスを実装したよー!とのお知らせであった。

やったぜ。思ったよりも早かったね。きっとアマツが頑張ったのだろう……よし、さっそくチェックせねばっ。



「クロ、クロ!ステータス実装されたってー!見てみよう」


俺の呼び掛けに反応し、振り返るクロ。

ペロリと口を舐めると、にゃーと鳴いてこっちにテクテクと歩いてくる。


……猫缶自力で開けるとか、ほんと器用だよね。



ま、まあとりあえず見てみよう。


「どれどれ……割とシンプル」


端末をぽちぽちと操作すると、すぐにステータス画面が表示される。

表示されたのは、いくつかのパラメータとスキルが並んでいるだけおの、思ってた以上にシンプルなものであった。



【名 前】 島津 康平

【種 族】  人

【レベル】 25

【耐 久】 122657(188000)

【M P】 250

【STR】 4907(7520)

【VIT】 5236(7954)

【AGI】 3451(5276)

【DEX】 3421(5231)

【スキル】 夜目、不動、障壁、火事場、土蜘蛛、毒付与、衝撃波、治療、威圧、竜化、ブレス

【魔 法】 氷礫、火球



「確か、一般的な成人が100とかだっけ?数値で改めて見るとすごいね」


カードの効果をアマツに聞いたときに、一般的な成人が100とか言ってたと思った。

それから考えると、俺のステータスはかなりぶっ飛んでるんじゃなかろうか?耐久とかヤバいんじゃないのこれ。……しかもさ、まだなんだかんだでレベル25だよ?これからもっと上がるって事なんだよなー……。



「スキルは結構あるけど、魔法が本当に少ないなー……別のダンジョン行かないとダメなのかな?」


ちょっと気になったのは、スキルに対して魔法の数が少ないことかな。

これは他のダンジョンに行けば手に入るかも知れない。


てかね、カードのスロットかなり空きがあるから、いずれ別のダンジョンに行ってカード集める必要があると思うんだよね。


もしかするとトレード出来る可能性はあるけど、手に入れたカードはそうそう手放さないんじゃなかろうか。

カードがダブれば手放すかもだけど、相当時間掛かりそうだし、それなら自分で取りに行った方が早い気がする。


他のダンジョンがどんなのか気になってはいるしね。



「クロはどんな感じー?」


俺のステータスは確認出来たので、次はクロのステータス見てみよう。

俺の端末をクロに差し出して、代わりにクロの端末を受け取る。



【名 前】 クロ

【種 族】 猫

【レベル】 25

【耐 久】 67300(100950)

【M P】 520

【STR】 4338(6517)

【VIT】 2692(4038)

【AGI】 5525(8287)

【DEX】 4094(6141)

【スキル】 夜目、踏ん張る、金剛、火事場、土蜘蛛、毒付与、衝撃波、治療、威圧、竜化、ブレス

【魔 法】 氷礫、火球


「AGIとVITが結構違うなあ……あとは耐久も。スキルはまあ同じ……踏ん張るってなんだよ。いや、分かるけどさあ」


ステータスが結構違うね。

種族的なものか、それとも戦い方による?


検証が必要だね。

あとで隊員さん達のも見せて貰って、色々お話でもしようか。



しかし、踏ん張るはもっとこう……良い名前無かったのだろうか?と思わなくもない。


まあ、アマツも忙しいんだろうし、しょうが無いね。



「括弧の中の数値はカードとか補正込みの値かなー……大体5割増し?ほとんどドラゴンカードの効果だろうなこれ」


後はー……括弧がついてるんだよねー。

予想は括弧がついている方がカードとか諸々補正込みの値だと思う。


ドラゴンカードを除くと、ステータスの補正はカードが数枚と、猫耳セットぐらいしか無かったと思ったから、そう考えるとドラゴンカードの効果めちゃくちゃデカいね。


竜化したらもっと上がるんだよね?後で確認しないとだ。


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