第82話

ゲートを通って5階に行き、そこから通常ゴブリン、剣ゴブリンをしばきながら8階へと向かう。

10階から行った方が早い気がしなくもないけど……まあ、次回からはそうしよう。


さて、これから1時間ほどタイムアタックをするわけだけど、目標としては全部屋を回りきる事である。


ちなみにこのフロアの広さだけど、大体一辺1kmの正方形だと思ってくれて良い。

そんなフロアに部屋が100個ほどあるのだ。


それを1時間で回るとなると、部屋に入って敵を倒し、ドロップ確認して次の部屋へ向う。これを30秒ちょいでやらないといけない。


敵を倒すのは10秒あれば十分だ。

例え10体居ようがもはや敵では無い。


ドロップ確認も10秒あれば……と言うか倒してからカードが出るまで少しタイムラグがあるんだよね、カード出ているのに気付かずうっかり次の部屋へ……なんてのを避ける為に10秒待つのだ。


部屋から部屋移動は距離的には10秒あれば平気だと思う。

問題は道を間違えたりとかだね。そこでタイムロスしそうな気がする。



ま、初日だしそこまで気張らずに頑張りまっしょい。


んじゃ、時計をセットして……とっつげきー!




「ほっと」


部屋に入るなり飛んでくる矢を盾で弾いて、鉈で切り払う。

飛んでくる矢がよく見える。体調はばっちりだ。


「ひさしぶりっ! 死ぬが良いなのだ」


俺はゴブリン達に挨拶すると、そのままの勢いで鉈を振るうのであった。






「んー……もっと詰めれば1時間余裕で切るな」


時計を見てそう独り言ちる俺。

針は1時間をちょっと過ぎた辺りを指している。


全部の部屋を回ろうとすると、どうしても同じ道を通ったり引き返したりする場面が出て来る。


地図の確認が甘かったのか、その辺りで思ったより時間を取られてしまったのである。



ただ次回からは最適ルートを探しておくつもりなので、時間はぐんと短縮される事だろう。


「精神的にきそうだから、1日1回までだなこれ」


ただね、急いでいるせいか、戦い方が雑になるんだよね。で、結果として血を浴びたり、内臓おっ被ったり……といった場面がチラホラとあったりする。


洗えば良いんだけど、精神的にあまりよろしくない。

匂いも酷いしね、食欲が無くなってしまう。


丁寧に戦うと時間が掛かるし、難しいところだね。

とりあえずはルートの最適化と、出来るだけ早く丁寧に倒すように心掛ける。と、いったところかな?



カード? 勿論出なかったよっ!

分かっていたけど、やっぱ早々出るもんじゃないんだよね……ま、気長にやりまっしょい。






休憩所へと戻り、装備はランドリーで洗い、ついでにシャワーも浴びてしまう。


本当に便利だよねここ。

あんな血だらけのやつとか、洗濯機で洗いたくないし、かといって外のコインランドリーとか持っていったら、下手すりゃ通報されるしね。


お縄になはなりたくねーのです。


「どれにすっかなー」


シャワー浴びて着替えた俺は家に戻る……前にカフェルームに向かった。

とりあえず紅茶をいれ、ショーケースに入っているケーキをいくつか取ると椅子に腰掛ける。


とりあえず一口……うん、ケーキも紅茶も結構行けるね。

追加でポイント使えばもっと美味しいのが出て来るんかね? まあ、今のままでも十分なので他を優先するけどねー。



んで、ここに何をしに来たかと言うと、別に紅茶とケーキが目当てって訳じゃ無い。


「まだゆっくり端末見てなかったんだよねー」


端末をじっくり見ようと思ったのだ。

最近忙しい……って実際にはそれ程では無いけど、精神的に忙しい感じで、端末をじっくり見る気になれなかったのよねー。


でも昨日端末を隊員さんと見て、結構面白い武器が追加されてたのと、今日はお休みだからなー、と見てみることにしたのである。



「お、ナイフだ」


ロマン武器の欄を過ぎると、ナイフ類の欄になった。

リーチ短いしメインで使う気にはならないが、投げナイフであれば使えるんじゃないかなーと思い眺めて見ることにする。


すると興味の引かれる機能がついたナイフがいくつか見つかる。



「誘導機能付き? やっば」


特に良いなと思ったのは誘導機能がついているやつだ。


正直そこまで自分のコントロールに自信があるわけでは無いので、この機能はすごくありがたい。


それにもし相手が避けようとしても、誘導機能付きなら当たるんでないかな?


盾に仕込んでおいて、いざって時に投げると良いかも知れない。

結構格好良いんじゃないだろうか? こう、しゅっと投げてぐさぁっと刺さる感じが。



とりあえずこいつは確保だな。

他にも良さそうなのあればー……あった。


「属性付きナイフだ……あ、でも切れ味とか強度はそんなんでも無いのかな?」


火とか氷とか雷とか、色んな属性のついたナイフも売ってた。

毒とかもあったけど、ちょっと扱うの怖いな。


ぱっと見は普通のナイフなんで、切れ味とか強度はそこまでじゃーないかも知れない。


その内、属性武器じゃ無い倒せない!って敵が出るかもだし、これも一応確保しておきたい。



あと気になるのはー……背中につけるとちょっと空が飛べるようになる翼とか。


重量を大幅に軽減する、護符?みたいのがあった。


これ外で使えたら良いのになあ……確保だけしとくかな。


「あとでクロと相談だなー」


ま。なんにせよ一度クロと相談しないといけない。

ダンジョンで入手したアイテムのほとんどが、ポイントに変換して俺の端末に入っているんだよね。


クロは改造とかに必要なポイントだけ確保してる感じ。


だから俺の端末ポイントはクロとの共有財産な訳だ。

勝手に使うわけにはいかんのですよ。






「さて、チュールでも買いに行くか」


決して賄賂とかじゃないからね?

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