第15話 松永と大悟

「皆、素晴らしいパフォーマンスでした。今回、次の段階に行けない選手も、必ずいます。でも、諦めずこれからもサッカーを楽しんで下さい!君たちはまだ若い。もっともっと上手くなれます!先週と今日とお疲れ様!では、これにて練習会終わり!解散!」


「ありがとうございました!」


チーフコーチの締めで練習会は終了した。

結果は数日後に郵送されるそうだ。

所属クラブにも書類が郵送されるらしい。


「嵐君、お疲れ様。」


「鷲田さん、お疲れ様です!」


「先週といい今日といい、本当に良いプレーを見せてもらったよ。」


「やれることは、やりきれたかと思います。」


「その姿勢が、素晴らしい。きっと他のコーチやスタッフも感じていたと思うよ。結果はどうであれ、君を推薦して良かった。帰り気をつけて。あと、クラブのコーチにもよろしく。」


「はい!ありがとうございます。お疲れ様でした!」



そして、気になるもう一つの結果は…


テツ、失点3点。


松永、失点3点。


ディフェンスのミスなどで、防ぎようもない失点もあった。

だがお互いに、いいわけはしない。


「二人とも、3点か。」


「だな。」



…少しの沈黙の後


「嵐。先週、調子こいた事言って悪かった!お前すげーよ。反応早いし、読みも半端ねー!特にPKな!」


「いやいや、松永もあれだけ言えるってのは、普通プレッシャーかかるだろ。それこそメンタルすげーよ!セービングもポジショニングも上手いし、めちゃくちゃ勉強になったわ。」


お互いを認め合い、自然と二人は笑顔になっていた。


「嵐、連絡先教えてくれ!」


「おうよ!」


「じゃー結果、楽しみに待とうぜ!俺は自信あり!」


そう言って、こぶしをつきだす。


!!


テツは、にやついた顔でこぶしを合わせた。


「そんなに、おかしいか?」


「イヤイヤ。おかしいも何も、俺の仲間でお前に似てる奴がいるもんでな。…ダイゴって奴でな、。」


「かわしま?だいご!?川島大悟って、あのダイゴか!お調子もんで目立ちたがりの、サッカーバカ!」


「あー、それで間違いないわ。」


「なんだとー!?嵐、知り合いか!あいつは、ダイゴは元気か!?」


「ハハッ!元気元気!元気が取り柄みてーな奴だろ。同じクラブで、同じ中学。親友ってやつか?一応。ケン(田村憲太郎)も同じクラブだぞ。」


「おーー!憲太郎も!そうかー!懐かしい。嵐、お前はなんて素晴らしい!良い出会いだ!さすが俺が認めた男!」


今にも泣き出しそうな松永が、強めの抱擁をしてきた。この様子だと、よほど嬉しかったのだろう。


そこからしばらく松永からの質問責めに合い、なかなか帰路に着けないテツなのであった。


こうして、波乱もあった?高崎ツインズの練習会は幕を閉じた。




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