★★トゥルーエンド 【とあるEランク冒険者とみんなの幸せ】



「それが君の、ロナの願いなんだな?」

「……はい。愛した貴方が、多くの人に愛されて、これからも生きて行く。それが私の最期の願いなんです」

「……」

「楽しく、そして幸せな時間をありがとうございました……」


 もはやこれまでだと悟った。しかし彼女を失いたくないのもまた事実だった。



"ロナの意思を最後まで尊重し、彼女の死を受け入れるか?"


 それとも、


"ロナの意思を否定してでも、彼女の生を叫ぶか?"


 相反する意見がクルスの中で渦巻く。激しい葛藤を生み、胸中は嵐のように荒れ狂う。

しかし選ばなければならない。どちらか一方の答えを。

 クルスは意思を固めた。そして彼の選んだ、答えは――




「ロナ、今までありがとう。ゆっくりと眠ってくれ」

「はい、そうさせて頂きます……」


 別れは辛かった。しかしそれでも尚、クルスは彼女の理解者であることを選んだ。

これがクルスが選んだ、最後の答えだった。


「ダメです!! 先輩はそれで良いんですか!?」


 凛とした声が悲しみに染まる浜辺へ響き渡る。

声の主は、ビギナだった。

彼女は錫杖を支えに、足を引きずりながらも必死にクルスとロナの下へやってくる。


「先輩は本当はロナさんを失いたくはないんでしょ!? 先輩の気持ちくらいわかります! 好きな人がなにを考えているくらいわかるんですからっ!!」

「しかし、俺はロナの願いを……」

「嘘をつかないでください! 気持ちを偽らないでください! そんなの……そんなの、私が大好きな先輩じゃありませんっ!!」


 ビギナの言葉が胸を貫いた。本当の気持ちが目覚めた瞬間だった。

 最後まで理解者でありたい。彼女の選択を受け入れるのが、彼女を愛すものとしての最良の選択である――否。


 そんなのはただ好きな女のまえで、格好をつけたいだけの、強がりだと思った。

 どんなにカッコ悪かろうと、情けない姿を見せようと、相手が望んだ答えでは無かったにしても。


 やはり自分の正直な気持ちに嘘はつけない。

 決意を固めたクルスはロナを強く抱きしめた。


「嫌だ! やはり! 逝くな、ロナ! 俺とこれからも、生きてくれ! 頼むっ!!」


 ビギナもまたロナの手を取り、優しく包み込むように握りしめる。


「クルスさんとロナさんのおかげで今、私はここにいるんです。こんな最期、私は認めません! 絶対に!!」

「ビギナ、さん……?」


 ロナは濁りかけた青い瞳にビギナを映す。

 彼女の瞳の中にいるビギナは、肩を震わせていた。


 ビギナの呼吸が僅かに荒くなっていて、何かを恐れている様子だった。

しかし意を決したように、ビギナは顔を上げる。


「みなさん! 私一人では無理です! でもロナさんを助けたいんです!! だからみなさんの力を貸してください! お願いしますっ!!」


 ビギナの大絶叫が茜色に染まった海岸へ響き渡る。


「わかった! 行くわよ、フェア!」

「もちろんですとも!」


 真先にセシリーとフェアは立ち上がり、


「ねえ様は死なせないのだぁ!」

「うっす! ウチもロナさんに感謝してるっす! このまま死なせるわけには行かないっす!」


 続々とみながロナのところへ集まった。


 かつてクルスが勇者フォーミュラ=シールエットのパーティーを追われそうになった時、それを防ごうと声を上げたビギナ。

しかしその時の彼女の言葉に誰も耳を貸さなかった。誰もが自分可愛さに、手を貸さなかった。


 だが今は違う。

誰もが、ロナの生を望み、そしてビギナの声で続々と集まって来る。彼女の想いが絶望的な状況へ、一筋の光を降らせた瞬間だった。


「ねえ様を助けるにはどうすればいいのだ!!」

「お教えください、ビギナさん! 私でも助力できることがあるのなら!!」

「ビギッち! みんな準備万端っす!」

「さっさとロナを助ける方法を言いなさい! 殺すわよ!」

「ありがとうございます! みなさん!!」


 ビギナはクルスの手を取り、ロナの胸の上へ添えさせる。

 鼓動は弱い。しかし、まだ生の感触がしっかりと伝わってきている。


「みなさんも先輩の手へ、自分の手を重ねてください!」


 ビギナの声を受け、全員は迷うことなく、手を重ねて行く。


「みんなさんの命をほんの少しだけ分けてください! 頂いた命を私がまとめてロナさんへ送ります! 良いですね!?」


 ビギナの提案に全員首肯をする。迷いの空気は一切なかった。


「先輩! ロナさんを必ず助けましょう!」

「――ああ! みんな、ビギナよろしく頼むっ! ロナを助けてやってくれ!」

「では……行きますっ!!」


 ビギナが青白い魔力の輝きを発し、手を重ねた全員へ行き渡らせた。

輝きは、全員から煌めく何かを絡め取り、重ねた手を伝って、ロナへ流れ込んでゆく。


 絶海の孤島に温かい光が満ちて行く。

 夕闇に沈む海岸を白く染め上げて行く。

 死の宿命が、変わって行く。


⚫️⚫️⚫️



 1年後――


 学術都市ティータンズは未だ復興の中にあった。それでも人々はいつもの活気を取り戻し、平和を謳歌している。

そしてこの日、一人の幼い魔法使いが魔法学院の校舎を後にしようとしていた。


 彼女の名前は【リンカ=ラビアン】

 魔法学院を2年足らずの在籍で卒業し、聖王都へ"精霊召喚実験"のために招聘されることとなった逸材である。


「サリスちゃんは……?」


 リンカは正門まで見送りに来てくれたルームメイトで親友のオーキス=メイガ―ビームへ聞く。

するとオーキスはバツが悪そうな顔をした。


「なんか、具合が悪いんだってさ。リンカに宜しくってね……」

「そっか……」

「うん……」


 魔法学院が謎の敵に襲撃されたとき、サリスは真っ先に戦闘不能になっていた。更には魔女に身体を乗っ取られてしまっていた。それらのことを悔いていて、ここ一年ほどかつての勢いを失っていた。最近では、共同生活が基本である学園へ頼み込んで一人部屋にして貰い、リンカやオーキスともロクに口を聞いていないらしい。

 さすがにこれ以上サリスの話をするのは空気を重くする。そう思ったリンカは話題の転換を図ることにした。


「そういえば今頃ロナさんやクルスさんは、なにしてるんだろうね」

「そうだね。もしかすると、“あのロナ”はロナさんのロナだったりして」

「あの、ロナ?」

「リンカ知らないの? 去年に南の孤島郡の一つで大きな魔力の爆発があったじゃん?」

「爆発以降に緑が豊かになり始めた島のことだよね? それとロナさんとどんな関係が?」

「なんでも、その島に行って、ロナって何かにお願いすると、叶えてくれるんだって。まぁ、大半は悪い奴を懲らしめてほしいとか、そうのばっかりで、その手の評判は良いみたいだよ」

「そっか……ロナさんか……」


 ロナと過ごした時間は短い。更に彼女はアルラウネという魔物でもある。

そんな彼女へリンカは不思議な親しみを覚えていた。


「こんなこと、オーキスに言うのは失礼かもしれないけど……私は今でも、東の魔女を倒したのはステイ君じゃなくて、クルスさんとロナさん達だと思ってるんだ」


 リンカの言葉にオーキスは苦笑いを浮かべた。


 一年に発生したティータンズの襲撃に端を発する、東の魔女の事件は、ビムガン族長フルバ=リバモワと勇敢なビムガンの戦士たち、聖王国正規軍最強の三つ子姉妹の三戦騎、そしてオーキスの幼馴染であり、想い人でもある勇者ステイ=メンが魔女を討ち取り、聖王国の平和を守ったのだと大々的に発表されていた。


 特に年端も行かない勇者ステイ=メンが邪悪な魔女へ止めを刺したとのことで、彼は今や時の人。

各地へ引っ張りだこの、人気者である。


 多くの国民は、この聖王都の発表を真実であると信じて疑わない。

だがそんな中でも、リンカとオーキスだけは、本当のことを知っている。


 ティータンズへいち早く駆けつけ、彼女たちを魔女や五魔刃の魔の手から救い出し、更に東の魔女の討伐へ向かったクルスたち“七人の英雄”のことを。


 しかし魔女討伐の報の中に、不思議とクルスたち七人の名前は無かった。


 何故、彼らの名前が残されていないのか。もしかすると万が一のことがあったので、名を名乗る前にこの世界から消えてしまったのか――否。きっと違う。リンカはそう思えてならない。


「絶対に無事だよ。そして実習の時みたいに、あたしたちのことどこかで見守ってくれてるはずだよ。きっと……!」


 親友の言葉に、その通りだと思ったリンカは強くうなずき返す。


 短い時間ではあったが、リンカはクルスという大人の男性は、強く、優しく、しかし驕らず、謙虚な人柄だと感じていた。

そんな彼だからこそ、魔女を倒しても、そのことを敢えて言って回っていないだけ。だから、姿を見せていないだけ。

きっとそうに違いない。死んでしまったなど考えられない。


 そしてそんな彼や、彼の仲間たちが冒険者実習の時に伝えてくれた教えは、リンカの胸の奥へしっかりと根付いている。

だからこそ、リンカは自分で選択し、決めた――皆に役立つ魔法使いになれるよう、早いタイミングではあるが魔法学院から飛び立つことを。


 リンカは赤い精霊石を頂いた真新しい魔法の杖を強く握りしめ、旅立つ決意を再確認した。

 

「そろそろ行くね」

「うん、気をつけてね! あたし、闘術士の職で冒険者になるって決めたから! あたしも、自分のペースで頑張るからリンカも無理しないでね!」

「ありがとう、オーキス! オーキスも冒険者になって、ステイ君と上手く行くこと願ってるよ!」

「ちょ! リ、リンカ! べ、別に、アイツのために冒険者になろうだなんてことは……」

「ふふ……じゃ、行ってきますっ!」


 かくして偉大なる魔法の才能を秘めたリンカ=ラビアンは、親友に見送られ旅立って行く。


(クルスさん、ロナさん、私、貴方たちに負けないくらいみんなの役にたつ魔法使いになってみせます! だから、遠くからでも良いので見守っていてください! 私、頑張ります!)


 この先、彼女は数多の苦難に遭いつつ、奇跡の出会いを果たし、そして数奇な運命を辿ることとなるが――それはまた別の話、数年先の物語である。


⚫️⚫️⚫️



 聖王国の本島:ヴァンガード島より少し南方へ進んだ、とある孤島には緑が溢れ返っていた。

 元は砂と僅かな植物が生息する寂しい島ではあったが、一年ほど前より、緑が爆発的に増加し、今に至る。


 ずっと名前がなかったこの島は、いつしか【ロナ】と呼ばれるようになっていた。

 そして度々、この南の島へ“ロナ”を求めて訪れる人々がいる。


 彼らは一様に――


「ロナよ、お願いします! どうか圧政を敷く領主へ鉄槌を! お願いします!! お願いしますっ!!」


 とある村を代表してやってきた娘は、緑の中で膝をつき、祈りを捧げる。

すると、どこからともなく風が吹き、木々が激しく揺らぎ始める。それはまるで、何かの到来を告げているようだった。


『わかりました。詳しい内容と依頼料をそこに置きなさい。あなたの願いはロナへ届けましょう』


 どこからともなくそんな女の声が森中に響き渡った。


 願いは“ロナ”へ通った――そう思った娘は依頼内容を記した羊皮紙と、村人からかき集めた小銭の入った麻袋、そして最後に一本の"バナナ"を添えた。


「今回はバナナもあります! ですから、どうぞよろしくお願いします! 弱き者の味方たる、ロナよ!」


娘はもう一度恭し頭を下げてそういうと、足早にその場を後にした。


「ふぅー……」


 木の影に隠れていたビギナは、娘の姿が完全に見えなくなったのを確認して息をつく。

そして、置いていったものを確認しようと歩き出したところ、彼女の横を"サッ!"と長い影が過って行った。


「ちょ、ちょっと、ロナさんっ! いきなり飛び出さないでくださいよっ!」

「しゆひましぇん、びひなはん……」


 ロナはバナナを頬張りながら、申し訳なさそうに肩を落とす。

 根が少し地面から露出していようとも、バナナが欲しくて、更に手放したくはないらしい。


「見られたらどうするんですかっ!? ロナさん、一応危険度SSのアルラウネなんですよ!?」

「しゅひましぇん……」

「だからものを食べながらしゃべらないでください! そういうのはお行儀が悪いって何度先輩に……!」

「良いじゃないかビギナ。久々のバナナの供物だ。」


 ヴァンガード島から帰還したクルスは、ここ最近でいいコンビとなったロナとビギナへ声をかける。


「お帰りなさいっ!」


 するとロナはバナナをしっかり握りつつ。足元の蔓を更に長く伸ばして、クルスの胸へと飛び込む。

彼女を抱きとめたクルスは、そっと彼女の頭を撫でた。


「ただいま。調子はどうだ?」

「絶好調です! 今日もバナナも、お水も、空気も、みんなみーんな美味しいですっ!」

「そうか、ならばよかった」

「あ、あの、先輩……」


 気づくと俯き加減でビギナが脇に立っていた。


「ただいま、ビギナ。留守の間、ロナの面倒をみてくれていてありがとう」

「はい! がんばりました!!」


 頭を撫でられたビギナは、顔を真っ赤に染めつつも、嬉しそうに破顔する。


「ちょっと、こっちも終わって帰ってきたんだけど!?」


 と、高飛車な声が聞こえ、樹上から飛び降りてきたのはラフレシアのセシリーと、その侍女マタンゴのフェア。


「ご苦労だったセシリー。その様子では上手くいったのだな?」

「もちろんよ! この私に敵う奴なんていないわよ! ギッタギタのメッタメタにしてやったわ!」


 御褒美に髪を撫でるとセシリーは、とても嬉しそうだった。


「フェアもして貰えば? されたいんでしょ?」


 セシリーが悪戯っぽくそう聞くと、後ろに控えていたフェアは顔を真っ赤に染める。


「ええ!? い、いえ、私はその……ク、クルス殿!」

「ん?」

「お疲れのところ申し訳ありませんが、後ほど稽古をお願いしますっ! 少しその……今回の依頼で苦戦をしてしまいまして……」

「フェアとイチャイチャする前に、僕をなでなでするのだー!」


 今度はマンドラゴラの童女ベラが向こうからやってきて、クルスの背中へ飛びつく。


「お帰りベラ」

「おう! ただいまで、頑張ったのだー!」

「ゼラもご苦労」


 そうクルスは後ろで、少し離れたところに立っているゼラへ声をかける。

何故かゼラはしきりに体を震わせていた。


「なんでそんな離れたところに?」

「あ、い、良いんっす! ちょっと今は、アレで、コレで、久々にクルス先輩の匂い嗅いだら、なんだかもう既に、ダメっす……」

「そ、そうか。ならば落ち着いたらにするか?」

「そ、そうっすね。あはは……」


 そんな乾いた笑い声をあげるゼラへ、セシリーとベラはギロリと睨んだ。


 ビギナとフェアは苦笑いを浮かべ、そんな皆をみて、ロナはクルスの腕の中で笑みを浮かべる。


 一応、みんな均等に、クルスと様々な形で関係を持つようになっている。

故に大きな喧嘩に発展することは無いのだが、調整がいささか大変である。

もっとも、大変だが、が贅沢な悩みではあった。


 

 皆の命を受け、一命を取り留めたロナは、この島に根付くことで新たな生を得た。

そのためこの島から離れることができなくなった。そうなれば当然、クルスも残り、彼を慕う他の皆も島へ残ると決断する。


 しかしここはロナが根付いたおかげで緑豊かにはなったが、仕事がない。よって金もない。さすがに野山を駆け回って、獣のような生活を送るには限界がある。


 そこでクルスが考えたのが"傭兵団"の結成だった。


 しかもただの傭兵団ではない。


 多少の金と、困窮した願い、そして時々1本のバナナ。

それらを条件に"ロナ"へ願いでれば、どんな困難な依頼であろうとも、必ず達成するといったいわゆる――冒険者ギルドを介さない、荒事専門の仕置き人。


 すでにこの稼業を始めて一年ほど。

 それなりの活躍と実績を積み重ねてきたので、稼ぎに困ることは無くなりつつある。


――南の島にいる【ロナ】は弱きを守り、強気を挫く。悪を叩き、正義を成す。


 今ではそんな詩が巷で広まっているらしい。

 故に聖王国の人々は敬意と親しみを込めて、この島のことを【ロナ】と呼ぶようになっていた。 


 クルスとロナ。

 そして二人を囲む親愛なる仲間達は、今も人知れず戦い続けている。

真面目に生き、そして報われない、"もともと何も持っていない"人々のために。


「クルスさん」

「?」

「しつこいようですみませんが、本当にこれで良かったんですか? クルスさんは東の魔女から聖王国を救った真の英雄です。ですから……」

「なんだ、またその話か」


 少し離れると、ロナはいつもこのことを聞いてくる。再び大地へ根付き、動けないからこそ、不安を覚えるのだろう。

だからこそクルスは――


「これが俺にとっての最高の幸せの形だ」


 クルスはロナを抱きつつ、仲間であり、同時に愛すべき彼女たちへ視線を移す。


「ビギナがいる」


 クルスの後輩だったビギナは、頬を赤く染めながら嬉しそうに微笑む。


「ベラがいる」


 マンドラゴラのベラはにかっと笑みを浮かべブイサインをして見せた。


「セシリーがいる」


 ラフレシアのセシリーは“フン!”と鼻を鳴らしてそっぽをしつつも、名前を呼ばれて満更ではない様子。


「フェアがいる」


 マタンゴのフェアは騎士に相応しい、綺麗な礼をしてみせた。


「ゼラがいる」


 獣耳の戦士ゼラは、八重歯を覗かせ破顔する。


「そしてロナ、君がこうして俺の腕の中に居てくれる。皆が居て、ロナが居て――だから俺は今、この上ない程幸せだ。これ以上の幸せがあるものか。名誉? 称賛? 大金? 英雄としての称号? そんなの糞喰らえだ! そんなものでもはや俺の心は満たされん! 俺はこの幸せと共に、かつてのビギナや俺のように力ない人々のために戦う! 戦い続ける!」


 クルスの強い言葉に、ロナは抱きしめ返すことで応えた。


「ありがとうございます。今、私、凄く幸せですっ! そしてごめんなさい。もう二度とこのこと聞きません。約束します!」


 胸から離れたロナは、青く透き通るような瞳へクルスを写す。


「いつまでも守り続けましょう。この平和を。私達の手で!」

「ああ!」


 クルスとロナ。人間の男と魔物に変化した少女。

二人は互いに出会えた奇跡に感謝をしつつ、手を取り合って海を見つめる。


 水平線の向こうにはぼんやりと、聖王国が浮かび、朝日を浴びて輝きを放つ。


 世界を見つめ続ける、怪しくも美しい花はロナに存在し、南の彼方から聖王国の平和を影から守って行くと、改めて誓いを立てるのだった。



 FIN


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