街外れの妓館で身請けをした赤毛の少女が、実は公太子の忘れ形見だったとしたら……

作者 櫛名田慎吾

彼(ルアン)の優しさが全ての始まり☆

  • ★★★ Excellent!!!

架空の大陸を舞台に、不遇な生活を続けていた赤毛の妓女(サラ)の出自を紐解くピュアな恋愛小説。公太子の忘れ形見となるとシンデレラストーリーを想像しがちだが、同伴する主人公の商人(ルアン)に導かれ、己のルーツを知ったところでどう人生を選択していくかが鍵となり、彼女の進む道が決まったところで本編は一旦の終了となっている。

作品の魅力の一つは、ルアンとサラの人柄。純粋過ぎて「危なっかしい」と感じるシーンが多い中、睦み合う夜はしっかりと相性の良さを見せつけてくれるミスマッチがツボだったりもする。二人を振り回す謎の男も魅力的だし、二人に立ちはだかる公国のお偉いさんたちも見事に私利私欲に走っている。とにかく、作者さまの描く人物はどれも「らしさ」が溢れてイメージしやすい。

完結済のマークを見て作品を振り返ってみれば、22万文字を超える超大作だった。それでも、長さを感じさせず飽きることなく読み進めてこれたのは、作者さまの軽快な筆使いと緩急をつけたリズム感のある構成が大きなポイントとなっている。

恋の成就だけで終わって欲しくない純粋で奥手でヘタレな二人。大きな壁にぶつかるような展開は無くても良いので、幸せと勝手な思い込みから生まれるすれ違いを温かく見守っていきたいと願う。

次章も続けて欲しいです☆

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