サカナ

ウロコのない魚になりたかったの

そうしたら貴方の身体を抱きしめられる

側によっても貴方を傷つけない


だから、ある夜わたしはひとつずつ

身体のウロコを剥ぎ取った

ウロコのなくなった身体からは

まだ温かい体液が流れ出し

わたしの魂までもが一緒に流れ出してしまった


ただ、ウロコのない魚になりたかった それだけなのに


ウロコのない魚になれなかった、わたし

貴方に近づけば、わたしは貴方を傷つける

身体中のウロコで傷つける

だからあなたには触れられない


ウロコのない魚に―――

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