第30話:猟奇事件の調査と譲れない女の戦い
新しい仲間、エステル・スノーが加わった事でカンパニーを建てる事が出来る。
ここでカンパニーについてエステルから説明を受けた。
カンパニー、言わばギルド内での団体を指す。
このカンパニーを作る事で、個人では受けられない仕事を受ける事が出来る、例えば人数制限がされている場合のクエストだ。
あとは、個人から直接カンパニーの指名依頼等も入る事があるらしく、活動が幅広くなる。
注意点は、ギルドはカンパニー内のいざこざには関与しない事とか、カンパニー同士の喧嘩は殺さない限り止めに入らないそうだ。
彼女の解説を聞き、カンパニーとして初めての仕事、それは名前決めだ。
事前に4人で話し合った結果、「リヒター教」は却下した、絶対ダメだと。
3人から激しい反対を受けた、予測済みだ。
僕が決めた名前は「ゴールドフィンガー」だ、偶然新聞を見て決めたのだが…
ダサいやら、信念を感じない、響きが卑猥等酷い言われようだ。
こうして紆余曲折を経て名前を「フリーダムコール」となった。
僕達はエステルとの親睦を深める意味も込めて、様々な依頼を回し、達成率や満足度等がうなぎ登りしている。
依頼者からの評判が上がり、期待のエースとまで言われている。
それもその筈、ギルドマスターが出てくるのだから、依頼者として大切にされていると思うのだろう。
しかし、何故エステルがここまで融通が利くのかと言うと…
「ギルドマスターの仕事がリヒターとの時間を阻害する、私は辞める」
と言い出し、突然辞め様としたのだ。
結果として、辞める事だけは阻止しギルドマスター補佐係にアシェリーさんにして何とかその場は収めた。
尚、アシェリーさんは
「出世したのに喜びを感じない、寧ろ不幸です」
と言っていた…
こうしてなんだかんだ忙しい時間を共に過ごしていると、、初めて指名依頼が入ったのだ。
今回の依頼は「調査依頼」だった。
この街から出て東にある『ヘッケラー村』で不気味な事件が発生している。
それは最近、人が人を噛み…噛まれた人が消えるのだ。
その村の村長から原因の調査が今回の依頼の様だ。
簡単な概要を読んでいて、不審な点ばかりが上がってくる。
「人を噛むって…子供の喧嘩?」
「そうだな…だが何故、噛むのだ?」
「確かに…変ですよね…普通殺したいなら武器を使ったりする筈ですし」
「噛まれた人が消えるのも不気味…」
確かに皆が言う事は間違いなく、不自然な点が多すぎる。
僕達は直ぐにヘッケラー村へと行く準備をし始めた、エステル曰く、この村は東の方角にあり、馬車で2日程度で着くそうだ。
道中小さな村が有るから、そこで1泊して行くのが良いと教えてくれた。
エステルが入ってくれたお陰で僕達が持っていない、土地勘や経験等を共有してくれる。まるで頼りになる先輩みたいなイメージだ。
こうして僕達は馬車に乗り揺られながらヘッケラー村を目指していた。
馬車に乗り、爽やかな風を感じながら揺られていると、女性陣が何やら揉めだした。
何を揉めだしたのかと言うと…
「ダメだ、私がリヒターと一緒の部屋だ」
「あら?何を言ってますの?お姉さんの私に決まっているでしょう?」
「いえ、此処は護衛として私が一緒になるべきですね」
ヘッケラー村の道中にあるコッホ村で一泊するのだけど、その部屋割りで揉めているみたいだ…
初めてのお泊りしながらの遠出、その一番最初を私が!となっているみたいだ。
困った人達だ、寧ろ僕を1人にするって言う発想が無い…
3人は一歩も譲れない様で、話は平行線を辿っている。
あー、このまま話が流れないかなーと聞いていると、レイが
「では、こうしましょう、これからは宿泊しなければならない依頼を受け、順番に回すと言うのはどうでしょうか?そして、順番を決める為にはじゃんけんしましょう」
誰も不満を言う事無く、常に臨戦態勢なのか彼女達の顔は自信と勝利を疑わない顔なのだ、これは凄い…そんな自信が僕にも欲しい。
さて、結論を言えば…ベルベットは2番、レイは3番、エステルが1番となった。
エステルは勝ち誇ったドヤ顔、ベルベットはまぁ、良いでしょう見たいな澄ました顔、レイは…全てを奪われ絶望している顔…
こうして夕方にコッホ村へ着き、宿へと入る。
部屋は2部屋取る事となり、ベッドは二つずつ、まぁ問題は無いと思っていたが…
エステルは恐ろしかった。
尽くしてくれるのは有難いのだけど、
お風呂に入ると、お背中流しますと言って入ってきたり
着替えに動物を模したパジャマの様な物を用意したり
寝ようとすると、マッサージを…等とやってきて寝ようにも安心して寝れない。
翌朝僕は3人を集め、新たなルールを作り、彼女達を絶望の淵に落としたの言うまでもない。
尚ルールは、『遠出した場合、僕は必ず一人部屋にする』だ
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