第20話 広がる悪魔
20世紀、第二次世界大戦移行、世界は近くなった。
地球が小さくなったわけではない。
飛行機技術・船舶技術・鉄道技術・様々な移動手段が発展したことで、行きたい場所に多くの時間を必要とせず、行ける時代。
それは、物だけでなく人間の往来を増やす。
国境などと言う見えない壁はさらに曖昧な世界になっていた。
それを進化と言って良いのだろうか?
グローバル化は進み、多くの大企業は世界中に拠点を持つ。
多くの労働者は世界を飛び回り、また、旅行者も気軽に地球の裏側に行ける時代。
何事もなければそれは歓迎される事。
しかし、人の往来が頻繁になれば感染症は一気に広まる。
陽華人民共和国で発生した新型強毒性インフルエンザは、都市龍々だけでは留まらず、世界に飛び散っていった。
ユーラシア大陸、南北アメリカ大陸、ヨーロッパ、アフリカ大陸、オーストラリア大陸・・・・・・日本。
世界各地で次々と重症性の風邪患者が出たのは、陽華人民共和国の都市・龍々で確認されて1ヶ月後の事だった。
発展途上国、そして、大航海時代の疫病蔓延で原住民が多く亡くなったりした自国の歴史を刻んでいる島々の国は対応が早かった。
国を閉ざすと発表した。
先進国と違い医療は発展しておらず、多くの患者が出ると国はパニックになる。
国の税収、外貨獲得を観光業で成り立っている国としては苦渋の決断。
観光客が来なければ経済は冷え上がるのは当然わかっていた。
ホテルやレストラン、お土産屋さん、観光客相手に踊りなどを見せた気するショービジネスも全て休むことになる。
だが、自国民が滅ぶより経済が滅ぶほうが良いと判断したのだろう。
人は生きてさえいれば、また観光業だって復活出来るのだから。
しかし、経済大国と呼ばれる先進国は、経済の落ち込みを危惧してその決断が出せなかった。
経済大国ほど、経済が止まるとダメージは大きい。
一社の倒産で何万人もの人が無職になってしまうのだから。
政治家はそんな決断をしてしまえば、まず未来永劫語られる汚名になると考えているのかもしれない。
忖度だけでなく様々な事が考えられると、重大な決断は出せなかった。
そうしているうちに、次々と患者は膨れ上がる。
悪魔は止まることを知らなかった。
悪魔は踊りながらそれこそ、高笑いをしながら行進しているようだった。
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