祈り
「どうかお願い」
両手の指と指を組んで、ぎゅっと握りしめる。その手を心臓の前に持ってきて、下を向いた額にこつん、と、当てる。
膝は擦りむけ、まだ血が滲んでいる。冷たい風が傷にしみる。
「どうかお願い」
もう一度そう言ってから、空を見上げる。高い建物に囲まれて、四角く切り取られた空は今にも泣き出しそうな灰色だ。
祈るだけ無駄だと言われるかもしれない。それでも、祈るしかないのだ。
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