43 お仕置きタイム!?

「じゃあ、このアイスはそれぞれ3人で分けようね」


「「はーい!」」


 姉妹はそろって元気よく返事をしてくれる。


「じゃあ、もう食べちゃおうっと」


 灯里さんはそのアイスをひょいと取って食べる。


「良いの? 楽しみは後に取って置いた方が良いんじゃない?」


「ふふ、翔ちゃん。あたしは好きな物から食べるタイプなの」


「意外とせっかちだな~」


「ノンノン、フリーダムな灯里さんです♡」


「うざいなぁ~」


 そんなやり取りをした翌日……


「……灯里さん、これはどういうことかな?」


 夏休みだから少し遅めに起きたので、朝昼兼用のごはんを作ろうとして、冷凍庫を開けた時……無かった。


 僕が楽しみに取っておいた、アイスが。


「……これ、灯里さんだよね?」


「ち、違うわよ」


「目に見えて動揺しているなよ。頭の養分がみんなそのデカい乳に吸われたのか、この野郎」


「あー、ひどい! 翔ちゃんがひどいこと言ったよ! 謝って!」


「謝るのはキサマだ、バカ野郎! ほら、真由美ちゃんも何か言って良いよ。真由美ちゃんもアイスを食べられちゃったんだから」


「えっと……お姉ちゃん、メッ」


「えへ♡」


「この仲良し姉妹が! 僕を取り合っていた時みたいにいがみ合えよ!」


「翔ちゃん、翔ちゃん、そのセリフは最低だと思うよ」


「黙れ、このデカ乳が!」


 ベシィ!


「あああああぁん!」」


 僕におっぱいを叩かれた灯里さんは悶える。


「しょ、翔太くん、落ち着いて」


 真由美ちゃんが僕をなだめようとしてくれるけど、僕の気はなかなか収まらない。


「灯里さん、食い物の恨みは恐ろしいんだよ?」


「じゃ、じゃあ、どうすれば許してくれるの?」


「そうだなぁ……じゃあ、今からちょっとお仕置きさせてよ」


「お、お仕置きって?」


 灯里さんに問われて、僕は部屋の中を見渡す。


「ふむ」


 そして、うちわを手に取った。


「あ、扇いでくれるの? 嬉しい……」


「んな訳ないだろ?」


「えっ?」


 僕はうちわを持ち直し、柄の部分を灯里さんの谷間に突き刺した。


「へっ?」


 そして、その内側でグリグリと回す。


「んッ、ああああぁ……!」


 灯里さんは悶えた。


「どうしたの、灯里さん?」


「しょ、翔ちゃん……いつの間に、こんなイジワルな子になったの?」


「灯里さんがアホの子だからだよ」


「な、何ですって……」


 グリグリ。


「んひゃああああああああぁん!」


 谷間を蹂躙されることで、灯里さんは声を上げた。


 一方、そんな僕らの様子を見守っていた真由美ちゃんは、ゴクリと息を呑んでいる。


 僕はあえて構うことなく、灯里さんの谷間をいじめつづける。


 グリグリ、グリグリ、と。


「あッ、はぁ! しょ、翔ちゃん……これ、すごい……」


「何がすごいの?」


「き、気持ち良い……あはッ!」


「おいおい、ふざけないでよ。これはお仕置きなのに、何で気持ち良くなっているの? 灯里さんばかり得してズルいよ。ねえ、真由美ちゃん?」


「へっ? あ、う、うん……お姉ちゃんばかり、ズルい……かも」


 ふと見ると、真由美ちゃんが何だか物欲しそうな目をしていた。


「あれ、もしかして……真由美ちゃんもして欲しいの?」


「いや、その……はい」


「じゃあ、こっちにおいでよ」


 僕が笑顔で言うと、真由美ちゃんはドキドキした顔でやって来る。


 灯里さんの谷間からうちわを引き抜いた。


「んはぁ! 抜くとき、ゴリゴリって……すごい……」


「ちょっと、変なこと言うなよ、灯里さん」


 僕は口元にニヤつきを隠しつつ、真由美ちゃんの方を向いた。


「うーん、どうしようかな」


「翔太くん?」


「ほら、真由美ちゃんは灯里さんみたいに……あっ」


「む~!」


 真由美ちゃんはすぐふくれっ面になる。


「冗談だって。胸が小さくても、いくらでも遊べるから」


「あ、遊ぶって、ひど……いいいいいぃ!?」


 僕は喋りかけていた真由美ちゃんの胸のど真ん中にうちわの柄をぎゅっとした。


 それから、またグリグリとする。


「そ、それ……ダメエエエエエエエエエエェ!」


 真由美ちゃんは天井を仰いで叫び、そのままクタッと倒れた。


「ま、真由美!?」


 倒れた妹を見て、灯里さんがギョッとする。


「やっぱり、真由美ちゃんはウブだから、仕方ないね」


 そして、また灯里さんと向き合う。


「経験豊富な灯里さんは、同じ攻撃でも耐えられるよね?」


「いや、その……」


「じゃあ、行くよ。言っておくけど、灯里さんに拒否権はないから」


「きょ、今日の翔ちゃん、ちょっと怖いよ」


「だから、灯里さんが怒らせたんだって」


 そして、僕は真由美ちゃんと同じように、灯里さんの胸のど真ん中にぎゅっとしてグリグリした。


「んッ、あああああああああああああああああああぁん!?」


 灯里さんがビクビクビク!と大きく震えた。


 天井を仰いだまま、何かヒクヒクもしているし。


「あ、ごめん、やり過ぎた。灯里さん、大丈夫?」


「……へ、平気よ、これくらい」


 そう言いつつ、灯里さんは思い切り涙目だった。


「本当にごめん。アイス一つでムキになり過ぎたよ」


「ぐす、良いよ。何だかんだ気持ち良かったから♡」


 灯里さんはニコっとする。


「あ、こら。もしや、この展開を狙っていたな?」


「ふふ~ん、どうでしょうね~?」


「よし、今度は超本気で灯里さんのおっぱいをいじめてやる」


 僕は再びうちわを構える。


「はぁ!」


「ほっ!」


 むぎゅううううぅ!


「な、何だと!?」


 驚くことに、僕が繰り出したうちわの柄を灯里さんは胸でキャッチした。


 真剣白羽取りみたいな状態である。


 ていうか、何だよこのおっぱいは……


「……これがJの力なのか?」


「ふふ~ん。灯里さんのおっぱいは無敵なのだ」


「クソ、そのおっぱい引きちぎるぞ!」


「やれるものならやってみなさい!」


「よーし、言ったなぁ! そらあああああああぁ!」


「はうううううううううううううぅ! 気持ち良いいいいぃ~ん!」


「って、やっぱり灯里さんを喜ばせているだけじゃないかああああああああああああぁ!」


「いやあああああああぁん! 翔ちゃんのえっちいいいいいいぃ~ん!」


 騒ぐ僕と灯里さんの傍らで……


「……つ、潰れちゃったかな……あ、ちゃんとあった」


 真由美ちゃんも何だかんだ無事だった。







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