23 お姉さんと妹と……

 ホテルからの帰り、僕らは手を繋いだまま、歩いていた。


「……翔ちゃん、すごかった」


「えっ?」


「あんなにおっきいの、あたしの人生で初めてだったよ」


「そ、そんなにですか?」


「けどね、そんな大きさとか何よりも……翔ちゃんに抱いてもらえて嬉しかったの」


「僕も……灯里さんとエッチ出来て嬉しかった」


「本当に?」


「うん。おっぱい、メチャクチャ揺れていたし」


「だって、翔ちゃんが激しくするから……」


 お互いに言い合って、僕らはまた無言になる。


「……僕、ちゃんと真由美ちゃんに謝るよ」


「え、でも……」


「黙っていた方が、真由美ちゃんにとって優しいのかもしれない。けど、やっぱり言わないと」


「……男らしいね、翔ちゃんは」


「タダの二股野郎だよ」


 そして、我が家にたどり着いた。


 緊張しながら、ドアを開ける。


「あ、翔太くん、お姉ちゃん。お帰りなさい」


 真由美ちゃんがエプロン姿でいた。


「えへへ。今日はね、私が夕飯を作ったんだ」


 真由美ちゃんの笑顔が眩しくて、直視できない。


「どうしたの? あ、もしかして外で食べて来ちゃった?」


「真由美ちゃん、話があるんだ」


「翔太くん?」


 真由美ちゃんは小首をかしげる。


 僕と灯里さんは神妙な面持ちでテーブルの前に正座をした。


「二人とも、どうしたの? そんな風に改まって」


 真由美ちゃんもテーブルを挟んで向かいに座る。


「真由美ちゃん、実は僕……今日、灯里さんとデートをして……最後にエッチをしちゃったんだ」


 シン、と静まり返る。


 お鍋がコトコト煮える音だけが聞こえていた。


「本当にごめん。僕は真由美ちゃんの彼氏でありながら……」


 僕は歯を食いしばって言う。


「違うの、真由美。悪いのはあたしなの。あたしが、翔ちゃんのことを本気で好きになっていたから……だから……」


 灯里さんはまた涙をこぼしてしまう。


「……二人とも、顔をあげて」


 僕らは同時にゆっくりと、顔を上げる。


 すると、頬をパチと叩かれた。


 本当に、軽く。


 真由美ちゃんは両手で僕らを挟むようにしながら、ニコっと笑う。


「メッ、だよ」


「「えっ?」」


「そんな暗い顔をしたら、ダメ」


「ま、真由美ちゃん? 怒ってないの?」


「そりゃ、少しは怒るよ? だって、私は翔太くんの彼女で、翔太くんのことが大好きなんだから」


 真由美ちゃんは言う。


「でもね、お姉ちゃんのことも大好きなの」


「真由美……」


「私ね、ずっと心配していたんだ。お姉ちゃんは見た目こそ派手だけど、純情な人だから。合わない彼氏と無理に付き合って、辛そうだなって思っていた」


 真由美ちゃんは言う。


「でも、翔太くんと話しているお姉ちゃんは本当に自然体で楽しそうで……翔太くんなら、きっとお姉ちゃんを幸せにしてくれるなって思ったの」


「真由美ちゃん……」


「でもね、翔太くん。私だって、ずっと翔太くんのことが好きだったんだよ? だから、もしお姉ちゃんのことが好きになっても……」


 とっさに、真由美ちゃんに駆け寄って、抱き締めていた。


「……翔太くん?」


「ごめん、ごめん……」


「よしよし、謝らないで良いよ」


 真由美ちゃんは僕の頭を優しく撫でてくれる。


「ほら、お姉ちゃんもおいで」


「えっ?」


 灯里さんは戸惑いつつも、真由美ちゃんのそばに寄る。


「三人でぎゅっ」


 真由美ちゃんが泣き面の僕と灯里さんを抱き寄せる。


「ごめんね、おっぱい小さいけど」


「そんなことないよ……真由美ちゃんのおっぱい、柔らかい」


「本当に……小さいけど、何て母性的なの」


「こら、私は二人のお母さんじゃないんだぞ?」


 真由美ちゃんはくすりと笑う。


 そんな彼女を見て、僕は姿勢を正して見つめた。


「真由美ちゃん、灯里さん」


 二人も僕を見つめてくれる。


「僕は二人とも大好きだ。だから、これからも……ずっと、一緒に居て欲しい」


 なんてワガママなことだろう。


 ラブコメのハーレム主人公でもあるまいし。


 こんな美女2人を同時に自分の物にしたいだなんて。


「「良いよ」」」


 姉妹はそろえて言う。


「ほ、本当に?」


「けど良いの、翔太くん?」


「えっ?」


「あたしらもう、すっかり翔ちゃんにメロメロなんだよ?」


「はっ?」


 あれよあれよという間に、二人が服を脱ぎ捨てた。


「うわ、やっぱり、お姉ちゃんのおっぱいすごく大きいね」


「真由美こそ、小さいけど素敵よ」


「ありがとう」


「え、えっと……これから、夕飯の時間だよね?」


 僕がたじろぎながら言うと、二人はニヤリとする。


「翔太くん、お腹空いているよね?」


「翔ちゃん、若いんだから大丈夫よね?」


「マ、マジですか……」


 この後のことは、詳細を語れない。


 ただ、言えることは……


「「ああああぁん! 翔太、すごおおおおぉい!!」」


 二人とも、僕の大切なヒトだ。







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