第56話 私たちの前日





「ゆめ先輩、みことちゃん、明日は頑張りましょう」


リハーサルはあっという間に終わる。このメンバーで吹くのも明日が最後かもしれない。明日という日を迎えることが本当に嬉しかった。


「こう君、みことちゃん、明日はよろしくお願いします。頑張ろうね」

「「はい」」

「こう君、最後に、約束破るね」

「え……」

「ごめんね」

「大丈夫です。ありがとうございます」


この2人は仲が悪いようだが、なんとなくお互い通じ合うものがあるように感じる。


「ゆめ先輩、明日、よろしくお願いします」

「うん」

「じゃあね、みことちゃんも明日、よろしくね」

「え、あ、はい…」


私とこう先輩が2人きりになった。私とこう先輩が2人きりになるのはすごく久しぶりのような気がする。


「みことちゃん、少しお話しようか…」

「え、でも…いいから…少しだけ話そう…」

「こう先輩がそう言うなら…」


私の横にこう先輩が座る。


「みことちゃん……」


こう先輩が私を見つめてくれる。ダメだってわかっているのに私はドキドキしてしまった。






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