第26話 私と天使(妹)と私の恋




「お姉ちゃん今日の服装めっちゃかわいいね。どうしたの?そんなに気合い入れて」


朝、私が大学に向かう準備をして着替えを済ませると私の天使(妹)が私に抱きつきながら言う。いきなり抱きつかないでよ。びっくりするじゃん…まあ、かわいいから許すけど…♡


「今日ね。1時間目の講義が終わったら、2人きりでこう先輩とチューバの練習なの」

「あー、なるほどね。お姉ちゃん、頑張ってね。頑張ってこう先輩に振り向いてもらうんだよ」

「え…振り向いてもらうって…え…」

「頑張るんだよ」

「うん」


私は妹に応援されて、妹の分の昼食とお弁当を作って、妹に部屋から出ないように言いつけてアパートの部屋を出て大学に向かう。

浮かれた気持ちで1時間目の講義を受けてすぐにホールに向かう。ホールの鍵はすでにこう先輩が開けてくれていたので、私はホールに入ってこう先輩を探す。


「こう先輩、お疲れ様です。わざわざ時間を空けてくださってありがとうございます」

「あ、みことちゃん、お疲れ様」


午後からしか講義がないのに私の練習を見るためにわざわざ朝早くからホールに来てくれていたこう先輩に挨拶をしてから、私は楽器を用意して、こう先輩がいるホールの舞台に向かう。


「じゃあ…さっそく練習しようか。練習始める前に呼吸法とバジング・マウスピースの練習は個人でやろう。終わったら声かけてね」

「はい」


呼吸法・バジング・マウスピースの練習は、ユーフォを吹いていた時の自分が慣れた練習をした方がいいと思う。とこう先輩は言うので私はそれに従う。練習が終わり、こう先輩に話しかけてからこう先輩と一緒にチューバの基礎練習を始める。音階、スケール、ロングトーン、リップスラー、タンギングなどいろいろな基礎練習を取り組んでいるとあっという間に2時間目の授業が終わる時間で、お昼時になっていた。


「そろそろお昼だね。お昼休憩にしようか。みことちゃんはお弁当持って来たのかな?購買行くけど一緒に行く?」

「あ、あの…こう先輩…こう先輩の分もお弁当作ってきたのですが…よかったら食べてください」

「え?本当に?」

「はい」

「なんか申し訳ないな…」

「いえいえ…わざわざきていただいたので…せめてものお礼…です」


めっちゃ恥ずかしい。めっちゃドキドキしながら私がこう先輩に言うとこう先輩はありがとう。と私に言ってくれた。


「あと、先輩がさ…後輩のために何かするのは当たり前のことだからさ…気にしなくていいからね」


最後、こう先輩は少しだけ…寂しそう…いや、悲しそうな表情で私に言う。こう先輩が何故、あのような表情をしたのか、私はわからなかった。


「うん。めっちゃ美味しい。みことちゃん、料理上手だね」

「そうですか?ありがとうございます」


気になっている…いや、好きな先輩に褒められて私はすごく嬉しかった。


「じゃあ…来週も…作ってきます…来週も…再来週も…だから…来週も…練習、付き合ってください」

「うん。いいよ。じゃあ、毎週この時間はチューバパートのパート練習の時間にしよう。じゃあ、みことちゃんのお弁当楽しみにしてるね」


嬉しい。めっちゃ嬉しい。すごく恥ずかしかったけど…勇気を出して言ってよかった。


「ゆめ先輩も来てくれるといいんだけどね…」


こう先輩は…悲しそうな表情でそう呟いた。こう先輩の呟きを聞いて、私は複雑な気持ちになる。こう先輩とゆめ先輩の間には何かあるのだろうか……






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