第115話大規模作戦

現在は夜の7時過ぎ、俺とセリエはバレットの執務室を訪れていた。


「師団をかせだぁ?!ふざけてんのか!」


「ハーファシー卿、言い過ぎだと思うのですが」


「セリエ様?!」


セリエが権力でバレットを熨そうとしている。でも、内戦が終わるまではその権力は使えないんだぞ。


「レン技術准将も連れていく。勿論、指揮官は俺じゃない。ケスラー中将のように成りたいとも思うが、俺は指揮官に向いていないだろう。だから、バレットも来てくれ」


「殴り飛ばしていいか」



「殴り飛ばしていいか」


セリエ様がいるにも関わらず、俺はバロに向けて本音を言っちまった。いや、だってそうだろ。執務室に行きなり押し掛けてきて、帝国方面師団の半数2万をかせだと?!驚くに決まってるんだ!


「バロ、2万の兵を貸すのは良いけどよ。武器はどうするよ。正当な理由がなくちゃ貸せないぜ、それに食い物も」


「いや、武器も食料もいらない。宛ができた」


は?だよ、は?2万の兵士の為の武器と食料いらないだと!こいつは兵士を魔法の道具だとでも思って、、、宛?


「おい、宛ってなんだ」


「いやぁ、偶然だよなぁ。軍需工場を押さえたら生産ラインが整ったまま新兵器が開発されていたんだ。シンプルな操縦性かつ、既に2千の配備が可能。それにターシェ軍正式採用戦車のブレイバーが6千。弾薬式ライフル8千。携行火器が4千。地雷が3万6千。魔導ライフルか2千。武器は未だに作り続けているので、もうすぐバレタニア連合軍全てに行き渡らせることも可能でしょう。幸い食料はですね、既に買えていますよ、通常時と同じ値段でね」


頭が痛い。一体どんな事をしたらこんなのができるんだ。バロはおかしい。どんな手品を使ったんだ?


「まて、金はどうした」


「一言で言うと、身売りですね。レグニッツツァ森林地帯にあるはずのドラグーンの腕を探しまして、それをフォレスタを通じて第三国で売ったら馬鹿売れしまして、その金額は4兆5千億ギル。まぁ、鱗とかも売り捌いたりしたので、性格には合計ですな」


そうだ、こいつのもう1つの姿は厄災いや、龍神ドラグーン。研究機関などに売れば、確かに、、、


「待て!その話を俺は知らんぞ!」


「私の権限よ!ハーファシー卿、バロは確かに貴方の推薦でソルジャーになったわ。でも、私の婚約者であり私の護衛よ!所有権は私にあるわ!」


「は?」


このは?は俺じゃない。バロだ。


「所有権?えっ、俺は物じゃないぞ!」


「黙りなさい!貴方は私の命令を聞いてれば良いの!」


バロ、哀れだな。尻に敷かれるぞ。あれは


「セリエの事は後だ!バレット、この小切手を渡す。残った3千億ギルのうちの、2千億ギルを渡す。食料は保存食を中心に2万人分の1ヶ月分の食料に、6万人分の食料を4ヵ月分を買った。6万人分は後でフォレスタから送られてくる。それは任せたぞ」


あれ?資金だっけか?バロの鱗売れば良いんじゃないか?資金難とか無くなるんじゃ。


「んじゃ、2万人貰うぞ」


「いい」


俺は自問自答し、結論は出ない。


「判子くれ」


「あぁ」


「サインを」


バレット・ハーファシー


う~ん、人身売買は駄目だ。それに、、、2万の兵も


「あや?」


既に誰も居なかった。それどころか、見に覚えのない書類や押した覚えのない判子。あれ?俺は何をしたんだ。


「帝国方面師団、出現!」


「「「オォォォォ!!!!」」」


「頑張れ!」


「俺たちに勝利を!」


現在8時、外は明るく見える。熱気に囲まれて、俺の指揮下の輸送部隊が動いていやがる。あれ?なんで、動いてる?なんで出陣してるんだ?


「あぁぁぁぁぉ!!!!」


命令書

帝国方面師団を二つに分け、帝国方面第1師団。帝国方面第2師団とする。

総司令官バレット・ハーファシー大将

帝国方面第1師団長マクドネル・ミラー少将

帝国方面第2師団長セシア・オリエ少将

とする。

セリエ・ラ・ターシェ 印


命令書

総司令官バレット・ハーファシー大将として帝国方面第2師団にセリエ王女殿下からの勅命を伝える。


本日2000をもって、第3師団と合流し、オータム砦に攻撃を開始両陛下を救出せよ。


セリエ・ラ・ターシェ 印

バレット・ハーファシー大将 印


どちらも命令書のコピーだ。しかも、今更取り消せない。


「ぐっっくぅ」


急に腹が痛くなってきた。もういい、俺は関与してない。してないんだ。



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