第105話英雄と息子

「若僧、お前はセンスが良い。頭の回転も速いだろう、だがな付く方を間違えたんだ。殺しはしない、だが寝ていろ」


「ごめんなさい、息子の為にありがとう

スリープ」


マーリン様は笑顔で、そして涙を流しながら僕にスリープの魔法をかけた。目蓋が重い、そして二人は僕の事など忘れたように軍需工場の方へ向かっていった。


「この、、、役立たず」


自分が許せなかった。因果はまだある。


「バロ、僕は選択を、、、君の選択、を、」






「あー、眠い」


「すー、、すー、、」


「はぁ」


催涙ガスの中を人とか這い上がってきた。涙を流しながら。レン技術准将はエレベーターで眠りに落ちて目を覚まさない。


「ディアス大佐!」


「ランバース大佐、、、大丈夫か?」


赤く充血した目に、涙の後。心配されたか。


「催涙ガスの中を這い上がってきたんでね。顔の事は気にしないでほしい。そして、レン技術准将の事を頼む。ディスタと合流しなくちゃならないんでね」


「そうだディスタ大佐はオリックス准将とマーリン大佐と戦闘中だ!」


あぁ、うん思ったより遅かったな。俺が厄災という情報はバレタニアに限りはかなり流通してるから、いつ殺しに来てもおかしくなかったけど、、、


「かぁ、、、今来たかぁ」


「なに?」


「部隊を全軍下がらせろ。そしてバレタニア方面軍に連絡を取れ。我降伏せりとな、二人は任せろ」


「大丈夫なのか?眠いし、涙は止まらないけど、、、問題はない。ほら、ディアス大佐、仕事は頼むぞ」


俺はディアス大佐に後を任せ、ディスタがいる方向に歩いた。十数分歩いたな、それぐらいで見つけたよ。二人をな。


「よぉ、親父。お母様。だいたい、、、2ヶ月振りでしょうか?母さんは相変わらずお美しく、親父は、、、変わらない」


「バロ、貴方は本当に厄災なの?」


「母さん、自分の生んだ子供を殺そうと言うの?僕は、、、母さんに認められたくて氷魔法だけじゃなくすべての魔法も極めたんだよ。賢者マーリンの子として、、、殺されそうになって、絶望して苦しめられてもね」


「!それは」


母さんは今までの物が教育と呼べるものじゃ無いのは知っているだろう。でも、母さんは親父と違って泣いてくれた。


「母さんは悲しんでいる。だから、、、許せた。母さんを許したから、親父も許した。それが、僕、俺、我、の素直な気持ちなんだがな」


「ふん、厄災が知った口をきくな。マーリンはお前が厄災と知ったとき怒りの涙を流した。お前は私達のバロを殺したのだからな」


「御主は馬鹿だな。妻の気持ちも理解できないとは、、、我が子供を殺しただと?違う。教えてやろう、バロ・ランバース。お前たちの子供であり、この体の本体を殺したのは、、、マーリン・ランバース。お前なのだからな」


「嘘を付くな。マーリンが子供を殺すわけが、、、」


マーリン・ランバースは泣いていた。その涙は決して我を見ていない。自身の愚かさに泣いているのだ。


「オリックス。我に傷をつけた人間よ。我の語る真実を知り、尚敵対するか。後で決めるが良い」










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