英雄の息子が英雄とは限らない！

第78話突入！アドベンチャーギルド

「やぁ、久し振りですね」

「あっ、、、何のようですか？」

アドベンチャーギルドに入り、相変わらず僕が受付嬢に嫌われている事を再確認しましたね。まぁ、解りきった事ですが。

「いえね、情報を渡しに来ました。厄災のね」

「厄災？！」

ザッ！

回りにいたアドベンチャー達も一斉に此方を向いてひそひそ声で喋り初めています。

「静かにね」

「本当に本当なんですか？」

「あぁ、本当だ。僕の腕は厄災に喰われた。これを見てくれ」

「ひっ！」

「危ない」

こんな怪我は見慣れていないのでしょう。僕が腕を掴まなければ、椅子と一緒に倒れていた。

「情報交換しませんか？」

「情報交換？私達ギルドには貴方の持っている情報に釣り合う物はありません。何が望ですか？」

「このギルドから荷物運びの依頼を受けたノア、エレナ、ヘレンの3人が居るでしょう？この依頼の依頼主、教えてくれません？」

「私達に、依頼主の情報を話せと？」

「厄災の情報と、荷物運びの依頼主。これが天秤にかけられ僕にとって同じ重さを有している。どうですか？厄災の生態情報も付けますよ。どうです？」

受付嬢は悩んだ様子でしたが、決心したようです。

「依頼主の名前はミヒャエル・グッシード男爵です。代理人を通したようですが、私達の情報網に引っ掛かり、既に裏も取れてあります。間違いありません」

ミヒャエル・グッシード男爵。たしか王太子派の連中ですね。王太子派とは現王太子を安全に即位させたい連中。しかし、さすがアドベンチャーギルド。王国内専門の諜報機関なわけある。

「では、厄災の出現場所はレグニッツァ森林地帯。さらに、奴は自分の体格を変えられるようで王都に現れた時よりも二周り程小さくなっていた」

「何故、それが厄災だと？」

「俺以外にシュウ・カーヴィーが目撃者だ。カーヴィー師は龍の胸に、親父が付けた傷があると言っていた。間違いない」

「、、、それで最後はどうなったのですか？」

「カーヴィー師が殺される寸前、蒼のジーク、金色なる者ディーダが北東つまりターシェ王国の方に向かったのを見たらしい。奴の速度ならバレタニアに何時来てもおかしくない」

「なっ！」

そう、レグニッツァ森林地帯はターシェ王国のほぼ真東だ。そしてバレタニアは最北端。

「因みにバレットに伝え忘れたから宜しく」

「貴方は！馬鹿じゃないですか！」

「えー、だって俺義手の申請と情報貰うために来ただけだし、あとバレタニアにもし来たらちゃんと貿易はするから」

「ふざける」

「GURAAAA!!!」

「あらら、取りあえず外に出ましょうか」

僕は受付嬢と共に一旦外にでました。

「皆、情報は貰えましたよ！」

「バロ、貴方はバレットに伝えてなかったの？！」

「バロ君、あれ厄災じゃ無いけど厄災クラスの龍よ。多分、アドベンチャーじゃ勝てない」

「サクラの言う通り。領軍はそのまま避難活動と龍の撃退に向かったし、私達はどうする？ 」

「サクラ先輩、コノハ先輩も戦わないのですか？」

「「いや、勝てないもの」」

「命大事に、ルシエラ君も命大事にね。そうだ、サクラさん、コノハさん、ルシエラの3人はヤエさんを回収して鉄騎隊の地下基地へ。彼処には医療品、食糧なども常備してあります。」

「えっ？バロ様、私は聞いてません！」

「マリン、貴女は鉄騎隊を率いて龍の撃退を。武器に関しても地下基地に配備してありますので、頑張って下さい。あと、命大事にね。、、、龍我天成」

「「「「は？」」」」

僕の姿を見慣れていない四人が呆けていますが、それどころかじゃない。

「さーてセリエ何時もの頼む」

「、、、バロ・ランバース。ターシェ王国第二王女セリエ・ラ・ターシェとして要請する。龍を滅し、バレタニアに平和を取り戻せ」

あらら、滅しと来ましたか。しょうがない。

「Sure,your order」

僕は龍翼を使い、空へと飛び立った。