第74話怒りに任せて

「シャァアアア!!!」


「クソ!なんだよ!姉貴、ヘレンは使えるか?俺だけじゃこいつを止められガハッ」


「ノア!幻影父兄斬」


今、私達は突如現れたソルジャーと交戦している。何故、こうなったかと言うと


「ここを壊したのは、、、お前達か?」


「そうだと言ったら?」


「シャァアアア!」


殺意を剥き出したソルジャーがノアを蹴散らして私とヘレンの方に来た。幻影父兄斬で牽制しようと思ったけど


「邪魔だ。」


父さんと兄さんの幻影は同時に消えた。


「くっ!」


カン!


刀を使うソルジャー、そんなのシュウ・カーヴィー以外聞いた事がない。でも、このソルジャーはシュウ・カーヴィーではない。


「ウァァァ!」


「グラム!」


叫び声と一緒に私は弾かれ、更に魔剣グラムまで壊された。そして、理解した目の前にいるのは達人レベル。私達じゃかなわない。


「姉貴に手をだすな!」


「ノア!貴方大丈夫なの!?」


「大事な姉の危機を救う弟、良いもんだあっ」


馬鹿だと思った。ノアが私に顔を向けた瞬間、ソルジャーは刀を捨てダガーに切り替えた。そしてノアの顔面に刃を突き立てようと


「ノアァァァァァ!」


「ザコルマは殺らせない。ファイアボール」


ヘレンがノアを助ける為に放ったファイアボールは投擲されたダガーで消え去る。


「得物を棄てるとか、最高かよ!」


ノアがダガーを投げた隙を付いてベルセルクを振る。でも、ソルジャーは何処から出したのか、もう一つのダガーでベルセルクを防いで見せた。


「おい、そのダガーはグハッ」


ノアが何か喋っていた時、背中にさっきソルジャーが投げたダガーが突き刺さった。


「ザコルマ!」「ノア!」


「よくもザコルマを!シャインクルセイド」


ヘレンが光の極大魔法を放つ。ソルジャーはその中心で避けることもせず、たっていた。


「ふん、弱いくせに意気がるから。、、、ザコルマの回収、お姉ちゃんしといて」


もうこの子は、なんて口を開こうとしたけどできなかった。


「ヘレン!」


「んんうっ、、うっ!」


光の極大魔法を食らったソルジャーは、有り得ないと程はやい動きでヘレンに襲いかかった。ヘレンは元々、対人戦闘に向いていない。目の前で首を掴まれ、ただじたばたしている。ソルジャーはヘレンを持ち上げたまま、私の方を向いてこう言った。


「次はお前だ」


ソルジャーの姿は欠落した左腕と、窪んだ右目。その違いはあれど、私達の兄、バロ・ランバースその人だった。


「兄さん、なんで!」


「?兄さん、、、、エレナ、どうしてここにいるんですか?あれ、何で僕はヘレンの首を掴んでいるのでしょうか?まあどうでも良いことです、ノアも怪我をしていますね。

範囲型リジェネジェーション」


「え?」


兄さんは目の前で広範囲に及ぶリジェネジェーションをかけた。さっきの事はあれど流石としか言いようがない。


「さて、、、実は僕の記憶はこの第4棟の姿に絶望した辺りから混乱していましてね。エレナ、話してくれますね。この現状を」


正直、殺気だけでいた兄さんよりも今の激怒している兄さんの方が怖い。


(ノア、ヘレン、早く起きてくれ)










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