第69話対厄災

「GAAAAAA!!」


バン!


煙幕を炊いて何とか厄災から隠れたが、俺の体は既に重度の凍傷を負っている。奴が壊した巨木の影に隠れているが、ばれるのは時間の問題だ。


「シュウさん、大丈」


シー!シー!


声を出すなの合図をする。ここでバレたら終わりだ。


「シュウさん、バロを探してたら、、、」


「ソルジャーが表れました。」


「は?」


バロはソルジャーだ、ソルジャーが来るのは当たり前だろ、俺はそんな目を二人に向けていたんだと思う。だって、すぐに返事が来たんだからな。


「違います、フォレスタに来てた3人のソルジャーがここにいるんです!」


「彼奴らか、、。」


フォレスタにいる3人のソルジャー。

蒼のジーク、紅き者グラスコー、金色なる者ディーダ。俺の同期だった奴等で、今はクラス1stソルジャーのはずだ。しかし、いきなりこんな所に来るはずがない。ジークとディーダに関しては意味もなく来るわけがない。


「グラスコーの野郎、欲に目が眩んだか?」


大抵、奴が問題を起こしてジークとディーダが尻拭いって感じだしな。バロが手こずってたとか聞いたけど、奴が最初から全て殺す気ならグラスコーの馬鹿はとっくに死んでる。姫様は私が止めたと言ってたが、バロはグラスコーを殺す気は無かったんだろうな。


「って今はそんなのどうでも良いんだ。マキウス、アンゼリカ、俺達は撤退だ。元凶は潰した。問題はない。」


「でも、倒した証明は必要じゃないですか?それに、あの龍をほおっておいたらフォレスタが攻撃されるかもしれない。俺は行きます。」


「、、、シュウさん、私達は故郷の民間人の為に戦います。貴方は」


あぁ、、、青いな。嫌いじゃない青さだ。


「馬鹿か、先輩が逃げてどうするよ。凍傷何か問題ない。ソルジャーが来る前に厄災の野郎を撃退するぞ。」


「「オォォ!」」


撃退、ふっ、逃げただけだな。この面子で厄災の討伐なんて不可能だ。前の時だって、ソルジャーは何人も死んで、オリックスさんがとマーリンさんがやっとの思いで止めて、倒せなかったんだ。はぁ、今になってから奴の怖さを知るとはね。


俺は凍った足を無理くり動かし、厄災の正面に立った。


「「シュウさん!」」


「見てろって、これがSランク遊撃士の九重一刀流、秘伝、、、夢想覇斬。」


夢想覇斬は九重一刀流の秘伝、剣聖のみに伝えられし秘技。肉体と刀を精神を一体化し、己が刃となり敵を切る。

厄災は俺を潰そうと、腕を降り下げてくる。


「GURAAAA!」


「シャアアアアア!」


振り下ろされる腕と夢想覇斬がぶつかる。


爪と刀の刃がぶつかり合い、激しい火花がちる。


「オォォォォォ!」


「GYA?GURAAAA!!」




一瞬の時間のはずだった。俺の目は厄災の爪を砕くなを足を踏ん張りながら見ていた。


「GYAAAAA!!」


俺の刃は爪を砕き、肉を裂き、奴の右腕を切り落とした。でも、体は動かねぇ。厄災が俺を見てやがる。切り落とされた腕の怒りに奮えてるのか?でも、俺の体はボロボロで、、、足の感覚もない。血もドバドバでてる。


ドォン!ドォン!ドォン!


激しい爆発音が鳴り響く。


「、、う!、シュウ!」


「ディ、、、ダ、わ、、らえ、、よ。」


最後に見たのは金色の兜を脱ぎ捨て、俺を抱えながら泣くディーダの素顔だった。







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