第66話剣聖対黒騎士

ガンッ、キンッ


激しい金属音が鳴り響き、火花を散らす。


「我が槍を受けきるとはな。剣聖は出てではない、と言う事か。」


「チッ、本気出して無い奴が言うことかよ。あんたの得物、そいつは馬上槍だ。騎馬戦で使うような武器だ。この時代、騎馬戦なんて時代遅れにも等しいけどな!」


俺は刀を構え、走る。


「火の型、火焔分身。」


火焔分身は焔を纏い、自分のコピーを作り出す技だ。俺はコイツで分身を二人作り出し、同時に攻撃をしに行った。


「甘いわ。」


「魔法か?!」


黒騎士は風を纏わせた馬上槍を使い横に凪ぎ払うだけで、俺の攻撃をしのいで見せた。勿論、分身は防ぐ術を持ちはしない。


「貴様が本物だな!」


「撤退とかしろよ!」


まただ。また刀と馬上槍のぶつかり合い、守りをすてただ攻撃したしない不毛な争い。


「楽しいだろ!」


「いんや、面倒だね!」


「ぬう!」


馬上槍を弾き型を水の型に変える。火の型よりも攻撃に向かないが、こう言う火力馬鹿には〔いなし〕が有効だ。


「まだまだぁ!」


「よし。」


これまでの攻撃で黒騎士の癖は理解した。いなすのは簡単だ。


「よし!」


「何がよしなんだ?」


「まだあるのかよ。」


黒騎士の馬上槍をいなし、横凪ぎに切り払う。しかし、 刀は黒騎士の別の武器によって阻まれた。短剣にだ。


「剣聖シュウ・カーヴィー。貴様はこれを隠していた武器、そう思っているのだろう?」


「違うのか?」


「そうだ。我は、武器を隠すことなどしない。それが我が戦う者への手向けよ。貴様はこの短剣がなぜ槍と同じ逆十字をしているかわかるか?」


「そう言う事かよ。」


槍の柄はまるでブロックのように短剣にくっつき、同じ長さの短槍の出来上がりだ。


「剣聖、お主は強い。だが我はウェポンマスターの称号を盟主より賜りし者、そして認めよう。お主は我が好敵手であるとな。」


「俺はあんたの相手はごめんだね!」


黒騎士は戦闘中に武器を自由自在に変形し、攻撃してくる。槍が短剣に短剣から短槍に。

これで遠距離があったら余計にきつかった。


キィン!


「貰った!」


俺は黒騎士の馬上槍を弾き飛ばした。今、奴には武器はない。


「火の型、極技・極火龍剣!」


「ぬうぁぁぁ!」


俺の極火龍剣を受けた黒騎士は燃え盛る炎の中に消えた。手応えもあった仕留めるまでは行かなくても、常人なら身動き一つ取れないはずだ。


「ククッ、クハハハ!良いな、良い闘いだ。素晴らしい、素晴らしいぞ剣聖!」


「なんてタフな野郎だ!良いだろう、今度こそ身動き一つ取れないようにしてやる!いくぞ!黒騎士!」


「こぉい!剣聖!」


いつの間にか馬上槍を回収した黒騎士と俺は同時にかける。


「ウォォォォォ!」


「ハァァァァ!」


「そこまででです!」


俺と黒騎士の闘いは思わぬ乱入により不発に終わった。灰の聖女だ。


「アイリーン!お主、我が闘争よ邪魔をするか!」


「シュワルツ、我等が秘宝を見付けました。我々は帰らねばなりません。」


「アイリーン、真か?!」


「龍でした。」


「ぐぅ、剣聖よ。我は帰らねばならぬ。また楽しき闘争をし会おうぞ!」


黒騎士は灰の聖女と何処かに転移していった。でもな、一番言いたいのはこれだ。


「二度と、てめぇとは闘わねぇ!」








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