第61話侵入

ウェイターから頼んだ飲み物を受け取り、話をする。仲間になるんだ、依頼の内容。自分の知っている状況、知りうる全てを話した。

「素直に思うことを伝えるけど、それだけかよ。ヤバすぎるだろ。」


「そうね、叔父様にしては。」


「そうだ、だがソルジャーに要請する程切羽詰まっていると言う事だろう。」


普通、二個小隊程度の被害で騒ぐ問題では無いはずだ。懲罰部隊の連中のはすだし。指揮官として失格か、又は俺に与えた情報を軽くしていた、と言う事か。


「情報を教えた。危険度は高いのは確定している。が、俺は貴様らを逃がす気は無いぞ。ソルジャーの要請秘匿義務を無視してまで教えたんだ。」


「俺達にも依頼秘匿義務があるし、その大切さも解る。今更降りるなんてしないよ。」


どうだか。まぁ、戦力になるんなら構わない。勝手に付いてきて死んだとしても、、、あれ?俺達に害は無いな。確かに息子だが、今回こいつは遊撃士として活動している。死んだとしても自身の不始末、俺が言われる筋合いはない。ターゲットを合同で倒したとしてもこいつらに報酬はいらない。勝手に参加したんだからな。フフッ、良い駒が仲間になったな。


二人のカップが空になったのを確認し、自分のブラックの珈琲を飲み干しウェイターを呼んだ。


「とても良い味だ、そちらの二人は死ぬかも知れないからな。最高の一杯を貰えて良かっただろう。代金だ。」


5万ギルをウェイターに渡し店を出る。出るときに俺を睨む二つを視線を見たが、俺は気にしない。


「行くぞ。」


「ん。」


「わかった。」


俺達三人はフォレスタを離れ、目的地レグニッツァ森林地帯に向かった。


「ソルジャー殿ですね、私は第3哨戒中隊の者です。これより先は、、、」


「説明は良い、貴官は誰も入れないようにしろよ、他の連中にも伝えろ。」


「ハッ!」


「森林警備隊に命令かよ。」


「命令ではない。ソルジャーに命令権は無い、あくまでも指示だ。それを」


「わかった、わかったから。」


「二人とも、霧が」


アンゼリカがそう言うとさっきまで美しい森が視界いっぱいにあったのに対し、今では5m先も見えない濃霧が広がっている。


「武装を構えておけ、これは確実に自然現象なんかじゃあない。」


俺の指示を聞いて、マキウスは導力ショットガンを。アンゼリカは籠手を構えた。

オニキスのマップシステムを使用しながら霧の中心へ進む。すると、生体反応を示す点が浮き出てきた。


「先に生体反応が1つ。確認するぞ。」


「何で解るんだよ?」


「ソルジャーのアイテムだ。」


そう言えばオニキスの事は教えていなかったな。まぁ、別に良いか。しかし、計器が使えないのにオニキスは使えるのか。


「うう、ぐぅあ」


唸りのような、叫びのような声が生体反応の方から聞こえてくる。


「これは、、、」


そこに人はいた。警備隊の制服を着ているし隊員の一人だろう。干からびたように肉は沈み、衰弱しきっているのが見て解る。


「ひどい。」


「まだ息はあるが、、、おかしい。」


この衰弱具合、確実に一週間以上放置されたようだ。3日前でこんななるわけがない。もしかしたら、知られていないだけで数多くの遭難者が出てるんじゃないだろうな。


「おい、お前達も調べ、、、何処だ?マキウス、アンゼリカ!」


オニキスの生体反応も目の前の干からびた人間以外を写していない。


「悪いな。」


俺は干からびた人間エレメントダガーを突き刺した。


「どうせ助からない命だ。介錯してやるのが少しの温情ってな。」


「そう言ってまた殺すのか?兄貴。」


「見損なったぞ。」


「お兄ちゃんが死ぬべきだよ。」


俺に声をかけてきたのは2ヶ月程会っていない兄弟達だった。武器を構え、殺す体制になっている。


「幻覚か?それとも現実か、まぁ良いさ。

俺の敵は、、、殺すだけ。だからな。」



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