第483話 大掃除







「今から大掃除をします!」


クリスマスが終わり、年越しムードの中、みんながバイト休みでリビングでグダグダとお昼寝をしていると春香が勢いよくソファーから立ち上がって宣言した。


「春香ちゃん、でも、リビングとか普段から掃除してるから綺麗だよ」


まゆが眠たそうに言う。実際、まゆの言う通りで普段から春香とまゆがめちゃくちゃ掃除してくれているから部屋の中はめちゃくちゃ綺麗だ。リビングだけでなく、お風呂とか台所の細かいところとかもめちゃくちゃ綺麗なはず…


「1箇所だけ、掃除できてないところあるじゃん」


春香がジト目で僕を見つめてきてなんとなく察した。はい。部屋掃除苦手ですみません。


「私、りょうちゃんのお部屋の掃除するからまゆちゃんとゆいちゃんは普段掃除できてない場所や物の整理整頓していいかな?りょうちゃんはまゆちゃんとゆいちゃんのお手伝いね」

「ちょっと待った。春香ちゃん、なぁに1人でりょうちゃんのお部屋の掃除しようとしてるの。まゆがする」

「わ、私もしたい」


なんか揉め始めた。僕はと言うと…自分で掃除したい。はい。いや、普通に、なんか、恥ずかしいから…


「まゆちゃん、ゆいちゃん、私ね。りょうちゃんのお母さんからりょうちゃんの身の回りのお世話任されてるの。だから、りょうちゃんのお部屋片付けるのは私の仕事なの」


春香が僕と一緒に暮らすことになった最大の理由をまゆとゆいちゃんに伝えても2人は納得しない。まゆに関しては前に一緒に帰省した時にまゆもお願いされたもん。と言う主張を始めて、なんかわけわからない状況になっていた。


結局…まず最初に春香とまゆとゆいちゃんが3人で僕の部屋の掃除をすることになった。3人が僕の部屋の掃除をしている間、僕はまゆの車の洗車をすることになり、洗車に必要な道具を渡されてアパートから追い出された。


なんか、自分がいないところで自分の部屋の掃除を彼女にされているのは情け無い気がするし、部屋の中に何か見られたらやばいものないよね?とかいろいろ不安になってしまう。


そんな不安な感情を抱きながらアパートの外にある水道にホースを繋いでまゆの車の洗車を始める。僕の部屋で今、どんなやり取りがされているのだろう…めっちゃ不安。





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