第354話 夏休みの思い出






遊園地で一通り遊んだ後は、ちょっと早めの夜ご飯を隣にあるアウトレットのレストランで食べてから、4人でお買い物をする。


「りょうちゃん、本当にいいの?」

「うん。本当ならさ…今日のデートの費用とかも彼氏として全部出したいけど…3人分はさすがにきついからこれで許してよ」


別に気にしなくていいのに。と言うような表情を3人はするが、彼氏として、これくらいはさせてよ。と僕が言うと受け入れてくれた。


1人1つになってしまうけど、アウトレットのお店で気に入った服とかをプレゼントさせて欲しい。と言う要望を……


本当はあまり余裕はないけど、彼氏として、彼女にプレゼントをするくらいの見栄を張りたかったし、何より…みんなが嬉しそうに何がいいかを選ぶ姿を見ていたかった。普段は見られないような服を着てみてくれたり、かわいらしい3人の姿を見られてすごく幸せだから。


「りょうちゃん、ありがとう」


まず、最初に春香が服を選び終えたので春香に服を買ってプレゼントする。その後にまゆとゆいちゃんも選び終えたので、買ってプレゼントする。


「りょうちゃん、ありがとう」

「りょうくん、ありがとう。大切にするね」


春香もまゆもゆいちゃんも本当に嬉しそうな表情で言ってくれる。


「ごめんね…本当はさ、もっといっぱい、プレゼントとかしたり、もっといろんな場所でデートしたりさ、彼氏として大切な彼女をいっぱい幸せにしてあげたいのに…」

「りょうちゃん、謝らないで」

「春香ちゃんの言う通りだよ。りょうちゃんからプレゼントもらえて、たしかにまゆも、春香ちゃんもゆいちゃんも幸せだよ。でもね。まゆたちにとって一番の幸せはりょうちゃんがまゆたち3人の側にずっといてくれることなんだよ」

「そうだよ。りょうくんのおかげで、私も春香ちゃんもまゆちゃんもすごく幸せなんだからさ。そんなことで謝らないでよ。ありがとう。いつも私たちを幸せにしてくれて…私たちの側にいてくれて……」


春香とまゆとゆいちゃんが、僕に気を遣ってではなく、本気で、心の底からそう思ってくれていることが伝わってきた。


「春香、まゆ、ゆいちゃん、こちらこそ、ありがとう。ずっと僕の側にいてくれて…春香とまゆとゆいちゃんが、ずっと、側にいてくれるから…僕も本当に幸せだよ」


たぶん、世界一幸せな表情で僕は春香とまゆとゆいちゃんにありがとう。と伝えて、3人をギュッと抱きしめる。春香もまゆもゆいちゃんも僕を抱きしめ返してくれる。


こんなに幸せでいいのだろうか。と、思ってしまう。春香とまゆとゆいちゃんに、いっぱい辛い思いをさせたりしたこともあった。そんな僕が、今、こんなに幸せでいられることに、心の底から感謝をする。


ずっと、僕の側にいてくれてありがとう。これからもずっと、僕の側にいてください。と…泣きながら、大好きな…僕にとって一番大切な存在である、春香とまゆとゆいちゃんに伝えた。


それが、夏休み最後の思い出だった。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る