第338話 new game
失ってみて、初めて気づくことはたくさんある。
大好きな人が側にいてくれる幸せとか、今まで当たり前だった賑やかな生活とか、すごく楽しくて幸せだった時間とか、日常の些細なことからすごく大切な当たり前だったことが、走馬灯のように何度も何度も脳裏を駆け巡る。
そう言った当たり前は当たり前すぎるが故に、失うまで大切さに気づくことができないものだ。大好きな人がいて、親友がいて、かわいい後輩がいて、すごく賑やかな暮らしが懐かしい。
その当たり前の日常を、幸せな日常を、ぶち壊したのは、きっと、自分だろう。だから、自分がすごく憎かった。
大好きな人を少しでいいから独占したい。と言う欲を抱き、親友とかわいい後輩を騙して、3人の大好きな人を独占してしまった。そのツケが今…来ているのだろうな。
自業自得だよね。あれだけ、最初は親友に申し訳ないとか言っていたのに、抜け駆けして独占したんだから…こう、なっても文句は言えないよね。
でも…出来ることなら…もう一度だけやり直したい。もう一度だけ、大好きなあなたが側にいて、親友とかわいい後輩と4人で幸せな生活を過ごしたい。もう、独占したいなんて言わない。
1人になって、自分は独占したい。よりも、また、4人で幸せな生活を過ごしたい。って、改めて感じた。当たり前すぎて、壊れてしまうなんて想像もしていなかった日常を取り戻したい。もう一度、一からやり直したい。
そのためならなんだってする。もう一度だけ、チャンスが欲しい……
だから、まずはちゃんと謝って、ちゃんと話したい。そう思った。
自分の心の整理がついてから、動くまではあっという間だった。まずは、かわいい後輩に連絡をした。きっと、あの子は今、すごく傷ついていて、すごく不安定だろうから。すぐに連絡がついて、案の定不安定だったから、自分は実家に帰るのを辞めてかわいい後輩と数日を過ごした。
いっぱい泣くかわいい後輩を抱きしめて、いっぱいお話しして、これからのこと、どうしたいかを考えた。
そして今日、ずっと閉じこもっていた王子様とお姫様が嫌でも出てこないといけない日がやってきた。ずっと、お城の前で王子様とお姫様を待ち、2人を出迎えて車にエスコートをする。
数日ぶりに会って、王子様は自分を気にしてくれている様子があったが、お姫様は王子様しか見れていない気がした。
王子様の仕事場に到着して、自分はお姫様から王子様を引き剥がす。自分は王子様を連れて仕事場に…そして、お姫様の元には…自分の協力者であるかわいい後輩を向かわせる。
自分は今から、仕事場に向かうまでの僅かな時間と、仕事が終わってから合流するまでの時間に王子様と会談をする。自分とかわいい後輩がこれからどうしたいと考えているのか、いろいろ話すことはある。それらを全て伝えて王子様から言葉を引き出す。
そして、かわいい後輩はお姫様にアプローチをしてもらう。お姫様が何を考えて、これからどうしたいのかを、聞き出してもらう。
そして、今晩、集めた全ての資料を元に、きちんと今後について話し合う。
自分でこわしておいて、わがままで身勝手だけど、まゆはまだ、4人での幸せを諦めたくない。諦めて欲しくない。また、4人で幸せになって、これからも幸せで居続けたい。
だから、今日はきちんと話し合いたい。春香ちゃん、ごめんね。ゆいちゃんも、まゆのせいで辛い思いさせてごめんね。りょうちゃんも、疲れたよね。だから、春香ちゃんだけしか選べないんだよね。ごめんね。いっぱい振り回して…
もう一度だけ、まゆのわがままに付き合って…4人で幸せになろう。もう一度だけ、頑張って挑戦しよ。
ここから始めよう。新しい、4人での生活を……
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