第326話 2人きりの夜
「りょうちゃん、次はどうする?お風呂にする?それとも…まゆにする?」
何これ…今日のまゆが可愛すぎる。かわいさ値がカンストしてるよ。チートだよ。
「えっと、お風呂かな…」
「はーい。じゃあ、まゆとお風呂ね」
………さっきの2択必要だった?まあ、かわいいからいいんだけどさ。
夜ご飯を食べ終えた後はまゆとお風呂に入った。お互いに体を洗いあったりして、1日の疲れをゆっくりと取り除いてからお風呂を出る。
その後はまゆの部屋に向かい、まゆの部屋でドライヤーでまゆの髪を乾かしてあげる。
「えへへ。今日はこの後どうする?えへへ。今日だけはまゆ、何でもりょうちゃんの言うこと聞いてあげる。今日のまゆは、りょうちゃんだけのまゆだからね」
足をパタパタさせながらそうやって言うまゆがかわいすぎてやばかった。めっちゃドキドキする。
「うーん。どうしよっか。今日は疲れちゃったしもう寝ようかなぁ」
僕がちょっとした意地悪でまゆに言うとまゆが頬を膨らませながら僕を優しく睨みつけてきた。かわいすぎる。
「まゆは何かしたいことある?」
「気持ちいいこと……」
「それはだめ……」
さすがに、それだけはダメだ。春香とゆいちゃんからもそう言うことはしないと言う約束で了承を得たのだから、2人を裏切るわけにいかない。
「冗談だよ。えっと…あ、そうだ。せっかく実家に帰ってきたからお菓子作りしたい。アパートのキッチンだと簡単なものしかできないからたまにはゆっくりお菓子作りしたいなぁ。あ、でも…もう夜遅いからそれは明日起きてからにしようか」
アパートのキッチンだと簡単なものしかできない…ねぇ。クッキーとかケーキとかは簡単なもの…なのか?わからん。春香もゆいちゃんもまゆと同じくらい料理上手だから比較対象にならないし…これが、普通…なのか?いや、絶対違う。料理上手な彼女がいて本当に幸せだ。
「りょうちゃん、明日は一緒にお菓子作りしようね。あ、あと、海辺散歩して、朝ごはんは行きつけの喫茶店でモーニングして…お昼ごはんはクチコミの評判がよくて気になってたお店でランチして…あ、せっかくだし、ちょっとお買い物もしたい。そのあとちょっとドライブとかして、夜ご飯はまゆが手料理いっぱい作ってあげる。りょうちゃんの好きなものいっぱい作ってあげるからいっぱい食べてね。そのあとは作ったお菓子をデザート代わりに食べながらお茶して映画とか観ようよ」
まゆは目をキラキラさせながら明日の予定を口にする。もちろん、全部叶えてあげるつもりだ。まゆとの帰省は今日と明日いっぱい、そして、明後日のバイトまで、と決まっている。明日はまゆと2人きりで1日を過ごすことになりそうだ。
「そういえば、まゆのご両親は明日のいつ帰って来るの?」
「あ、帰って来ないから安心して。今日の夜勤終わったら両親はプチ旅行に出かけるから」
「え?」
「えへへ。ごめんね。せっかくりょうちゃんと完全に2人きりの生活ができる絶好のチャンスだったからさ…りょうちゃん、まゆはこんな悪い子だけど…今日と明日と明後日、この家でまゆと2人きりで暮らしてくれる?」
上目遣いのおねだりをされて拒絶できるわけない。元々、まゆと2人きりで帰省するということはほとんどの時間、まゆと2人きりでいるはずだと思っていたから、僕は問題ない。
ただ、春香とゆいちゃんに少しだけ嘘をつく形になってしまうことは本当に申し訳ないので、今度きちんと春香とゆいちゃんに謝ることを約束させる。
「じゃあ、明日いっぱいすることあるから、今日はゆっくり寝ようよ」
「えー、明日はたしかにいっぱいしたいことあるけど、明日だけじゃ全然足りないの!だから、今日はまだ寝かせないからね」
まゆは笑顔でそう言う。明日だけじゃ足りない。か…そう言ってもらえることは、本当に幸せなことなんだろうな。
「じゃあ、今から何する?」
「えへへ。じゃあ…ゲームしよっ。対戦!」
かわいい。まゆの無邪気な笑顔を見て純粋にそう思う。僕はまゆにいいよ。と答えて、夜中までまゆとゲームをする。途中でまゆが寝落ちしてしまったため、僕はまゆをお姫様抱っこでまゆのベッドに運んで布団をかけてあげる。
「りょうちゃん…となり…いて……」
寝言かどうかはわからないけど、まゆは僕にそう言った。僕はまゆの隣で横になる。すると、まゆはいつものように僕をギュッと抱きしめて幸せそうに眠る。いつもは、反対側に春香かゆいちゃんがいて、まゆだけをギュッと抱きしめてあげることはできないが、今日はまゆと2人きり…僕はまゆをギュッと抱きしめて2人で抱きしめ合って眠った。
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