第314話 朝パニック
「「「……………」」」
朝、目を覚まして3人で朝ごはんを作って朝ごはんを食べる。
「りょうちゃん、ちゃんと朝ごはん食べてるかなぁ…」
「や、やっぱり、りょうくんの朝ごはん用意してくるべきでしたよね……」
まゆだけでなく、ゆいちゃんもりょうちゃんのことを心配しているみたいだ。その一方で春香ちゃんは全然心配そうにしていない。やっぱり、まゆやゆいちゃんよりも長くりょうちゃんと一緒にいたのだから、こういう時のりょうちゃんがどんな感じかもわかっているのかもしれない。
「りょうくん、お昼ごはんとか大丈夫かなぁ…ちゃんと起きてるかなぁ…私がいなくて寂しがってないかなぁ…」
春香ちゃんとは対照的にゆいちゃんはめちゃくちゃりょうちゃんのことを心配している。りょうちゃんのことを心配するゆいちゃんを見ているとまゆもりょうちゃんのことを心配になってしまう。
「「「会いたい……」」」
ふと、思ったことを呟くと、ゆいちゃんと春香ちゃんと綺麗にハモって笑ってしまう。
「帰ろっか…」
まゆが提案すると春香ちゃんとゆいちゃんは黙って頷いた。なんだかんだで3人とも、りょうちゃんのことが大好きで、一晩りょうちゃんに会えないだけで辛くなってしまうのだ。
というわけで女子会は終了…目的は達成できなかった。でも、3人とも、りょうちゃんのことを本当に愛していることだけはしっかりとわかった。
「ん……」
朝、目を覚ますと何か柔らかいものに包まれてる感じがした。春香かまゆかゆいちゃんがいつもみたいに僕を抱き枕のように扱っているのだろうか…まったく…僕は抱き枕じゃないからね。犯人は誰だ……
寝ぼけながら目を少し開けるとすごく整った顔立ちのカッコいい女性が視界に入る。なんだ…りっちゃんさんか…まだ、朝早いし…もう少し寝よ……
寝ぼけながらスマホで時間を確認して9時と表示されていたのを見て僕は再び布団をかぶる。起きてないと春香にちょっとだけ怒られてしまう時間だが、まあ、いいや。せっかくりっちゃんさんと2人きりだしもう少しゆっくり寝よ………
ん?んん?んんん?は?え?ん?は?え?ええ?なんで…りっちゃんさんが僕の部屋に!?なんでりっちゃんさんが僕の隣で寝てるの???
ちょっ、胸…当たってるし…柔らか…ていうかでかい…すごく、あったかくて、すごく綺麗で…なんか、いい匂いまでする……え、待って……なんかいろいろやばい気がする。やばい。とりあえず…離れないと………
「りょうくん!ただいま!」
僕が僕の隣でぐっすりと眠るりっちゃんさんから離れようとした瞬間だった。玄関の扉が開いてすぐに、僕の部屋の扉が開いて満面の笑みを浮かべたゆいちゃんが部屋に飛び込んでくる。
が……ゆいちゃんは僕の部屋の入り口から動かずに持っていたカバンを床に落とす。
「ゆいちゃん?どうしたの?」
ゆいちゃんの様子を見て不思議そうな声を出しながら春香が僕の部屋を覗き込む。春香に続いてまゆも僕の部屋を覗き込む。あ、やばい、待って…なんかいろいろ詰んでる気がする。ねえ、待って、話聞いて。僕、何もしてないからね。無罪よ。あ、ちょっ、春香、そんな泣きそうな顔しないで…ま、まゆも、ほら、パニックにならないで…ゆ、ゆいちゃん、その…殺意みたいなオーラ出すのやめて……
「りょうちゃん……」
「りょうちゃん……」
「りょうくん……」
3人同時に僕の名前を呼ぶ。怖い。
「せ、説明…して?」
「りょうちゃん……なんで、りっちゃんといるの?」
「りょうちゃ、浮気?え?何か言い残すことある?」
泣きそうになりながら説明を求める春香、とりあえず状況を把握しようとしてくれるまゆ、そして…めちゃくちゃ怒ってるゆいちゃん……ぼ、僕に聞かれても…わ、わからないです。
「とりあえず、陽菜ちゃんに通報するか…」
そう言ってまゆが持っていたゆいちゃんのスマホをゆいちゃんがまゆから奪って僕と、僕の横でぐっすり眠るりっちゃんさんの写真を撮ってしまう。あ、待って…それはいろんな意味でやばい気がする。
「陽菜ちゃん、すぐ来るって。とりあえず、起こして…軽くしばいて…陽菜ちゃんに引き渡すか……」
ゆ、ゆいちゃん…こ、怖いよ。ほら、春香とまゆもちょっと引いてるからさ…え、えっと、落ち着いて…話……聞いて………
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