第310話 幸せのために
「りょうちゃん、春香ちゃん、ただいま。もう起きてる?」
旅行が終わった翌日の朝、まゆは笑顔でアパートに帰ってきてくれた。
「まゆちゃん!」
一晩中、僕の隣で泣いていた春香はリビングに入ってきたまゆに速攻抱きついた。
「え、ちょ、春香ちゃん!?どうしたの?」
「どうしたのって……まゆちゃんが帰ってこなかったらどうしようって…昨日、寝れなかったの……」
「りょうちゃん、どうしよう。春香ちゃんがかわいすぎる」
泣きながらまゆに抱きつく春香の頭をなでなでしながらまゆが僕に言う。春香のかわいさはどうしようもないよ。でも、よかった。まゆがちゃんと帰ってきてくれて…僕も、少し不安だったから。
「ほら、春香ちゃん。とりあえず泣き止もう。ほら、涙拭いて…泣いてばかりいたら、かわいい春香ちゃんの顔が台無しだよ」
「う、うん…」
まゆがポケットから取り出したハンカチで春香の涙を拭ってあげる。春香を泣き止ませてからまゆは僕の隣にやってきて僕の隣に座る。
「春香ちゃん、安心して。まゆはりょうちゃんも春香ちゃんもゆいちゃんもみんな大好きだから。いなくなったりはしないよ」
そう言いながら僕に抱きつくまゆの頭を僕は撫でながらまゆを抱きしめ返す。
「昨日はね。春香ちゃんとりょうちゃんが2人きりの時間を作ってあげたくてちょっと強引な解散しちゃったけどその様子だと昨日はりょうちゃんとゆっくりできた雰囲気じゃないよね」
僕の隣に座るまゆの膝の上に頭を乗せてぐだぐだしだした春香を見てまゆが呟く。
「だって…昨日のまゆちゃん、ちょっと怖かったんだもん」
「まあ、昨日は春香ちゃんにいっぱい我慢させちゃって申し訳なかったからさ…」
「そんなことないよ」
「はい。嘘〜嘘ついたらダメだよ。わかるからね。本当はりょうちゃんの隣にいたかったのにゆいちゃんに譲ったりしてさぁ」
「それは……」
まゆに何も言い返すことができない春香…助け船を出そうかな。と思っていると部屋のインターホンが鳴った。
「もう。後で迎えに行くからアパートで待っててって言ったのに…」
呆れた表情でまゆがそう言ってしばらくするとゆいちゃんもリビングにやって来た。
「りょうくん!一晩ぶりだね。会えなくて寂しかったよ」
そう言ってゆいちゃんが僕に抱きついてくる。かわいいかよ。
「もう。ゆいちゃん、後でまゆが迎えに行くって言ったのに…」
「えへへ。我慢できなくて来ちゃいました」
かわいいなぁ。
「は、春香ちゃん、昨日はごめんなさい…私、わがままばっかり言っちゃって…」
「大丈夫だよ。気にしないで。ゆいちゃんも戻ってきてくれてよかった…」
「えー、そのいい方なんですか。私、りょうくんのこと大好きですし、春香ちゃんとまゆちゃんのことも好きですからいなくなるわけないじゃないですか。せっかく掴んだ幸せを離したりはしませんよ」
そう言い切るゆいちゃんの言葉を聞いて春香は安心した表情をする。
4人揃ったので、4人でゆっくり朝ごはんを作って4人でゆっくり朝ごはんを食べる。なんだかんだでこの日常に戻ることができて僕は安心する。すごく、不安定かもしれないこの幸せな時間…4人の幸せを安定させるためには何が必要なのか…それを僕は考えないといけないと、昨日、僕の隣で泣き続ける春香を慰めながらいっぱい考えた。
まだ、答えは出せていない。こればかりはネットで調べたり誰かに聞いたりしてもわからないだろう。しっかり、自分で考えて4人で話し合って、これからの関係をしっかり築いて幸せな日常を継続させたい。
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