第298話 心臓に悪い…
ゆいちゃんにプレゼントを渡した後は4人で夜ご飯を食べた。春香とゆいちゃんが作ってくれた夜ご飯は本当に美味しかった。あーん。のしすぎで手が少し痛くなったのは内緒にしておこう。毎回これはきついので、今日だけにしていただきたい……(食べ終わるのに1時間かかりました)
その後は交代でお風呂に入る。(さすがに4人では入れない)ゆいちゃんが僕と入りたい。と言って春香とまゆも一緒に入りたい。と言い出してキリがなかったから誰とも入らず1人で入った。
お風呂に入ってその後、ぐだぐだする。ここまではよかった。いつもよりちょっとだけ疲れたけどいつもより幸せな時間だった。のだが……
「ゆいちゃん、そこどいてくれるかな?」
リビングに布団を3枚敷いた後、僕の腕をぎゅっと抱きしめて僕の隣で横になろうとしたゆいちゃんにまゆが言う。
「そこはまゆの席だから」
「あ、反応側は私の席…だよ…」
これだけは譲れない。と言うように春香とまゆがゆいちゃんに言う。
「えー、春香ちゃんもまゆちゃんも私がお泊まりできない日はりょうくんを独り占め…じゃなくて二り占め?できるから今日くらいいいじゃないですか〜」
「うん。ゆいちゃんの方がまゆと春香ちゃんよりもりょうちゃんと一緒にいられる時間が少ないから、お風呂以外はりょうちゃんの隣譲ったりしたよ。でもね。お風呂と寝る時だけは譲れない。まゆも春香ちゃんもいつも使ってる枕が変わると寝られなくなる体質なの。おまけにりょうちゃん成分が不足するの!そうなったら大変だから、これだけは譲れない」
真剣な顔で何言ってるの?かわいい。ていうか、僕は抱き枕じゃないですよぅ…あと、前々からちょくちょく出てきていたりょうちゃん成分って何?しかも、まゆの隣で春香がうんうん。と、めっちゃ頷いてるし…
「りょうくん、私、りょうくんの隣で寝たいなぁ…」
春香とまゆを説得するのはたぶん無理だと判断したゆいちゃんは僕を堕としに来た。かわいいなぁ…でも、ごめん。あの状態の春香とまゆは敵に回したくない。たぶん、今、ゆいちゃんの隣で寝たい。と僕が言ったら、割とまじで4人で一緒にいられなくなる可能性がある……どうしよう…
「えっと、くじ引きとかじゃんけんで決めたら?」
「りょうちゃん、言ったよね。1番はまゆと春香ちゃんだって…1番はまゆと春香ちゃんなんだからこれくらいのわがままは聞くべきじゃない?」
まゆの隣で春香がうんうん。と頷く。ダメだ。これ、何言ってもダメなやつだ。
「ゆいちゃん…ごめん……」
「だめなの?」
ゆいちゃんが涙目で僕に訴えかけてくる。えぇ…どうすればいいのこれ…
「妥協してくれた人にはご褒美のキスをあげます」
「「「!?」」」
苦し紛れの僕の提案を受け、3人が長考に入った。3人とも超真剣な表情でどちらを取るか考えている。かわいいなぁ。
「うーん。魅力的だけど、りょうちゃんキスしたいってまゆが言ったらいつでもしてくれそうだしなぁ…」
「たしかに…」
「え?そうなんですか?じゃあ、今度お願いしよ…」
まゆが放った一言で全員が、僕の提案に魅力を感じなくなってしまい振り出しに戻る。えぇ…どうすればいいの?
「キス…じゃなくて…本番、してくれるなら考えてもいいよ…」
………は、春香さん?な、何を言い出して……
「え、まだしてなかったんですか?」
ゆいちゃん、変なこと聞かないの。
「本番はだめ。今はまだ…だって、責任取れないもん。大学卒業して、安定してから…ね…」
僕がそう言うと春香は納得する。まゆとゆいちゃんも同意してくれたが、話は振り出しに戻る。
「妥協してくれた人には今の僕が、出来る限りの願いを聞いてあげる権利プレゼントとかは?」
苦し紛れの提案を僕が捻り出すと、3人がクスクスと笑い始めた。え、何?どう言うこと?
「りょうちゃん、ごめん。ドッキリ。りょうちゃんがお風呂入ってる間に3人で考えたイタズラ…」
春香が笑いながらネタバラシする。
「えぇ…」
心臓に悪いからやめてよ…
「りょうちゃん、ごめんね」
「りょうくん、ごめんなさい」
まゆとゆいちゃんも笑いながら謝ってくれたので、本当にただのイタズラだったみたいで安心した。
「お願いだからさ…心臓に悪いことしないでよ……」
「「「ごめんなさい」」」
結局、僕がお風呂入っている間にくじ引きしたらしく、春香とゆいちゃんが僕の隣で寝ることになった。
「りょうちゃん、なんでもまゆのお願い聞いてくれるんだよね?」
え、あの提案は有効なの?
「今度また、バイト前に少しだけ2人でデートしようね」
まゆが春香とゆいちゃんに聞こえないように小声で僕に言う。まあ、それくらいなら喜んで…
とりあえず、寝る前に心臓に悪いからこういうイタズラはもうしない。と3人に約束させました。
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