第274話 久しぶりの帰宅
「「りょうちゃん、起きて」」
翌朝、春香とまゆに起こされて僕は目を覚ます。朝食は別室の広間の席でいただく予定で、予定の時間までまだかなりあるのだが、朝風呂に入るために早起きをした。
「布団畳まないとね」
「え、春香ちゃん、まゆ、前にこういう旅館とかで布団を畳まれるのはありがた迷惑みたいな話聞いたことあるよ」
「そうなの?」
「まゆもあまり覚えてないから合ってるかわからないけど、お布団をまゆたちが畳んでも、旅館の人たちはシーツ変えたりするためにまたお布団広げたりするから畳まないでそのままの方が実はありがたいみたいな感じだった気が…」
まゆの説明で僕も春香もなるほど。と納得する。たしかに、その通りかもしれない。一応、念のためにスマホで検索すると、たしかに旅館のお布団は畳まないで。と書かれていたので、ちょっと複雑な気分だが、綺礼に整えることだけして、部屋を出た。
「あ、りょうちゃんいいなぁ〜私も牛乳飲みたい」
朝風呂でゆっくり温泉に入った後、春香とまゆが出てくるのを待ちながらソファーに座って牛乳を飲んでいると、春香が僕に言うので、僕は近くの自販機で春香に牛乳を買ってあげる。
「ま、まゆも飲む?」
春香の後ろで春香をめちゃくちゃ睨んでいたまゆに僕は恐る恐る尋ねる。まゆは、自身の胸に目を向けた後、悔しそうに飲む!と宣言したので、まゆの分も牛乳を買ってまゆに渡すと、まゆは牛乳を一気飲みする。その後、自身の胸を触って小さな声で「大きくなれ〜」と祈っていてかわいかったが、見なかったことにしておく。そんなに気にしなくてもまゆは今のままで十分魅力的なのに……
「朝からこんなに贅沢していいのかな…」
朝ごはんを食べながらまゆが呟く。朝から海鮮料理尽くしで、めちゃくちゃボリューミー、更に美味しくて幸せすぎる朝ごはんを堪能する。
「たまにのことだからいいと思うよ。まあ、でも、こういう旅館とかで朝ごはんをたまに食べるのもいいけど、春香とまゆが用意してくれた朝ごはん最近食べてないから明日が楽しみだなぁ…」
「嬉しいこと言ってくれるね」
「春香ちゃん、明日は気合い入れて頑張ろうね」
「うん!」
明日の朝食を楽しみにしながら部屋に戻る。部屋に戻ってからは少しスマホで動画などを観たりして楽しみ、それぞれ着替えたり旅館を出る準備をする。
「まゆ、これから運転だけど大丈夫?疲れはとれた?」
「うん!温泉入ってゆっくり寝れて美味しいご飯いっぱい食べれたから元気だよ。休憩なしでも帰れちゃいそうなくらい元気!」
まゆは笑顔でそう言うが、流石に休憩なしで今から数時間運転させるわけにはいかないので、お昼ごはん込みでしっかりとサービスエリアで休憩を取り、アパートに帰る。
「なんか、久しぶりな感じするね」
アパートに着いて車から荷物を降ろしているとまゆが呟く。たしかに、数日間留守にしただけなのに懐かしい感じがする。
「今日からまた日常を過ごせるんだね」
春香が幸せそうな表情でそう言ってくれて嬉しかった。
「春香、まゆ、これからもよろしくね」
「「うん!こちらこそよろしく!」」
そんなやり取りをしながら3人でアパートの部屋に入る。アパートに帰ったらやることだらけだった。まず、帰省と旅行の荷物の整理に、帰省中に洗濯できなかった帰省最終日の服の洗濯、ついでに、今回長旅に付き合ってくれたまゆの車の洗車とかいろいろやっていたらあっという間に夜になってしまい、夜ご飯は外食することにした。
洗車したばかりのまゆの車に乗って大学の側にあるりっちゃんさんがバイトをしているお店に向かう。普段、りっちゃんさんやお店の女将さんや大将にお世話になっているので、地元のお土産を買って来たので渡すついでに夜ご飯を食べよう。と言うことになった。
「「あっ……」」
駐車場に車を停めて、店の前で僕たちはゆいちゃんとさきちゃんと目が合う。
「りょうくん!久しぶり」
「はい、ゆいちゃんストップ。りょうちゃんに抱きつこうとしない」
久しぶりに会ってテンションが上がったのかいきなり僕に抱きつこうとしてきたゆいちゃんをまゆがブロックする。
「2人もこれから夜ご飯?よかったら一緒に食べない?」
春香がゆいちゃんとさきちゃんを誘うと2人は顔を見合わせる。普段なら迷わず一緒に食べる。と言ってくれるから珍しいと思っていたらさきちゃんが頷いて、ゆいちゃんも同意する形になり、5人でお店に入る。
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