第221話 ゲリラデート
「りょうちゃん、おーきーて」
「りょうちゃん、ねぼーだよ。はやく起きないとまゆ怒っちゃうよ」
朝、今日は大学はお休みの日だが、朝から春香とまゆ、最愛の2人の女性に起こされて幸せを感じながら目を覚ます。
「春香、まゆ、おはよう」
「「おはよう」」
朝、目を覚まして春香とまゆを交互に見つめた時にまゆが物欲しそうな表情で僕を見ていたことに気づく。僕はまゆの顔に手を伸ばしてまゆの顎をくいっと上げてから目覚めのキスをする。その後、春香の方を向いて春香にもまゆと同じようにキスをしてあげる。
「りょうちゃん、5分寝坊だよ」
「ごめん」
まゆに指摘されて僕はまゆに謝る。今日は僕も春香もまゆもバイトを入れていない。1日完全にフリーの日だ。だから、今日は朝から3人でデートに出かける約束をしていた。
朝9時に起きてゆっくりデートしようと約束していたのに、僕は9時5分に目を覚ましていた。ごめんなさい。
いや、決してデートが楽しみじゃなかったわけではないよ。ただ、春香とまゆに抱きしめられて眠ることが幸せすぎて起きられなかっただけで…と、頭の中で必死に言い訳しながら春香とまゆと歯磨きをして顔を洗い、部屋で服を着替えて身支度を整える。
「「りょうちゃん、お待たせ…」」
僕の準備が終わり、しばらくすると春香とまゆも着替えやお化粧を済ませてリビングに戻ってくる。2人ともかなり気合いの入った格好をしてくれていてめちゃくちゃかわいい。
春香はちょっとフリルのついた感じの半袖に膝上くらいまでのプリッツスカートにちょっと長めのハイソックス、春香以外の子が着たらちょっとあざといと感じてしまうような服装だが、春香が着るとめちゃくちゃかわいい。
まゆはワンピースに麦わら帽子、裸足ということは靴はサンダルかな…夏っぽい服装でめちゃくちゃ良き。
「春香ちゃん、暑くないの?」
春香の足元を見てまゆが呟く。まあ、たしかに、この夏にハイソックスはちょっと暑い気がする。
「いいの。りょうちゃんはこっちの方が好きだから」
「え、そうなの?」
そういえば以前、春香に聞かれた時に女の子の靴下は長い方がかわいくて好き。みたいなことを言ったような言っていないような……僕の言ったことを覚えていて、デートで僕の好みに合わせてくれる春香……健気でさいっこうにかわいい。
「ま、まゆも…靴下履いてくる」
「まゆ、大丈夫だよ。そのままでまゆは十分かわいいからさ、それにまゆ、結構暑がりでしょ?お願いだから無理しないで。春香も、暑かったらその服装変えていいからね。僕の言ったこと覚えていてくれてありがとう。すごく似合っていてかわいいよ。でも、春香に無理してまで僕の好みに合わせて欲しくないからさ…」
春香もまゆも結構、暑さに弱かったりする。春香の服装は涼しそうだけど、足元は結構暑そう…どうなんだろう。ハイソックスとかって暑さ感じたりするのかな?
「う、うん。わかった。りょうちゃん、まゆのこと心配してくれてありがとう」
「りょうちゃん、私はこのままでいい。りょうちゃんにかわいいって言ってもらえて嬉しかったし、このままで大丈夫」
まゆと春香はソファーに座る僕の隣に座り、僕を抱きしめながら言う。ダメだ。春香もまゆも可愛すぎてやばい。まさに両手に花だ。これ…幸せすぎて死にそう。
「りょうちゃん、早くデートいこっ」
「うん」
まゆに催促されて僕はソファーから立ち上がる。そして右手を春香に、左手をまゆに向ける。ソファーに座っていた春香とまゆは僕の手の上に手を重ねてくれる。僕は春香とまゆと手を繋いで、春香とまゆを引っ張ってソファーから立たせる。
「行こうか」
「「うん!」」
10時前、アパートの鍵をかけて僕たちはまゆの車に乗る。運転席に座るまゆの隣、助手席に僕が座り、後部座席に春香が座る。
とりあえず、ガソリンスタンドで車にガソリンを入れるところから今日のデートは始まった。
「それで…どこに行く?」
ガソリンを入れ終わり、とりあえずガソリンスタンドから出て適当に車を走らせながらまゆが僕と春香に尋ねる。
そう…今日のデート、まだ行き先が決まっていないのだ笑
笑と、笑っている場合ではないが…もともと、今日は春香がバイトの予定だったのだ。だが、3日前に急遽大学で一部工事が行われることが決まり、案内などの都合で春香のシフトが職員さんが休日出勤する形に切り替わったみたいだ。とりあえず予定が3人共空いたからデートいこー。みたいなノリで行われているゲリラデートだ。プランなんてない。
「とりあえず、喫茶店でモーニングしよう」
「あ、そうだね。賛成」
「りょーかい。じゃあ、いつもの喫茶店行くね」
僕の提案に春香とまゆが賛成してくれた。まだ、朝ごはん食べていないから春香もまゆも朝ごはんはどこかでモーニングしよう。と提案する予定だったのだろう。
とりあえず、ゲリラデートの始まりはまゆの行きつけの喫茶店に決まった。
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