第177話 王様ゲーム④





「次…私か…」


春香(王様)がクジをみんなに見せながら呟く。そして、少しの間、命令をどうするかを考えた。


「じゃあ、5番の人、次の王様の命令が終わるまで膝枕させて…」


春香は僕を見つめて呟く。生憎だけど……僕が4と書かれた紙を見せると春香は悲しそうな悔しそうなよくわからない表情をする。そして、まゆちゃんは当てれたのに…と頬を膨らませる仕草をする春香はめちゃくちゃかわいかった。


「じゃあ、春香ちゃん、おいで…慰めてあげる」


りっちゃんさんが5と書かれたクジを見せながら春香に言うと春香は目をキラキラさせながら、うん。と言い笑顔でりっちゃんさんに膝枕をしてもらっている。僕も…春香に膝枕してあげたかったのに…


「りょうちゃん、まゆを膝枕してくれていいんだよ」

「王様の命令出てないのに勝手な行動はダメだからね」


りっちゃんさんに膝枕をさせてもらい、嬉しそうな表情をした春香がまゆを止める。まゆに膝枕してあげたかったのに……りっちゃんさんに膝枕をさせてもらい、えへへ。とか言っている春香がかわいすぎてこそっと写真を撮ったのは内緒にしておこう。

かわいい春香とまゆの写真を勝手に撮りすぎてそろそろ手癖悪いとか言われそうで怖いな…と思いながら先程撮った写真をお気に入り登録する。僕のお気に入りのフォルダーの写真、春香とまゆの写真しかないんだよね……


「じゃあ、1番と2番の方で…10秒くらいハグしてください……」


さきちゃん(王様)の命令を聞き身を震わせる。1番は僕だ。2番が春香かまゆじゃなかったら、春香とまゆは絶対不機嫌になる気がする。春香かまゆが2番を持っているように祈るとゆいちゃんが嬉しそうに2と書かれたクジを見せる。さきちゃんは速攻、アイコンタクトで僕にごめん。と謝る。りっちゃんさんは膝枕をしている春香の頭を撫でて春香のご機嫌をとってくれるが……まゆの目線が怖い。


「りょうくん、早くハグしよ」


ゆいちゃんがそう言い、僕に抱きついてくる。僕はゆいちゃんを抱きしめ返す。恐る恐るまゆの表情を見ると不自然な笑顔を浮かべていてめちゃくちゃ怖い。


「10秒〜1・2・3………」


笑顔で秒読みが始まった。怖い……10秒後、無事でいられるかな……と冷や汗をかきながら僕はゆいちゃんとハグをしていた。めちゃくちゃ幸せそうな笑顔を浮かべているゆいちゃんには申し訳ないが……お願い、まゆの機嫌がやばいからそろそろ離して……


「えっと…じゃあ、3番の人は4番の人を褒めまくってください」


陽菜(王様)は適当に命令をしたつもりだろうが、これが天からの救いのようにありがたい命令だった。3と書かれたクジを僕が見せると、不自然な笑顔を浮かべていたまゆが心の底から嬉しそうな表情に変わり4と書かれたクジを見せる。陽菜、ナイス!超ファインプレー


「まゆはめちゃくちゃかわいいよね」

「そんなことないよ〜」

「そんなことあるよ。世界一かわいいよ」


そんなことないよ。と言いながらめちゃくちゃ嬉しそうな表情で照れているまゆはめちゃくちゃかわいい。世界一かわいい♡

だが、世界一かわいい。と言うワードに春香が反応したので、春香とまゆは世界一かわいいよ。と若干付け加えて言うと春香も満足してくれる。このやり取りを見ていた人たちは…こいつ大変だなぁ……という同情の眼差しを僕に向けるが、大好きな2人のためならこれくらい全然苦じゃない。


「他には?」

「料理、めちゃくちゃ上手だよね。春香の料理に匹敵する料理を作れる人がいるなんて思ってなくて最初まゆの料理食べた時はびっくりしたよ。料理がめちゃくちゃ上手な彼女がいて僕は幸せだなぁ」


春香とまゆが同時に照れ始める。かわいいすぎかよこの2人……やばい。僕の彼女たちがかわいすぎる。


「あと、バイトの時とかめちゃくちゃ頼りになって…いろいろ教えてくれるのも本当に助かるよ」

「えへへ…♡もっともっと褒めて♡」


照れまくるまゆを5分ほどひたすら褒めまくった。春香も同時に褒めたりして、春香とまゆはずっと照れまくっていた。かわいい。周りの人たちは最初はニヤニヤしたりしていたが、だんだんと飽きてきて興味を失っていた。なので、そろそろ切り上げて、次の王様の命令を待つ。


「あ、またゆきが王様か…じゃあ、1番の人、3番の人に模擬告白してね」


うぉ…以前、旅行の際にりっちゃんさんがまゆにした感じのやつかな…あの時のりっちゃんさんはかっこよかった。と思いながら誰が誰に告白するのだろう…と思っているとりっちゃんさんが1と書かれたクジを見せる。また、イケメンなりっちゃんさんが見れる。と、以前旅行に参加したメンバーは期待を膨らませた。

りっちゃんさんが1と書かれたクジを見せた後、陽菜が3と書かれたクジを見せる。


りっちゃんさんが陽菜に告白する感じか…どうなるんだろう。


「陽菜ちゃん、好きです。付き合ってください。必ず…必ず陽菜ちゃんを幸せにします」


以前まゆにしたようにりっちゃんさんは慣れた手つきで陽菜を押し倒して告白をする。やば…めちゃくちゃかっこいい。

りっちゃんさんに告白された陽菜は…え、あ、え、やば…と顔を真っ赤にしながらずっと繰り返していた。




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