第77話 カウントダウン
「りょうちゃん、おはよう」
僕が目を覚ますと、僕にピタリと体を引っ付けていたまゆ先輩と目が合った。僕がおはよう。と返事をするよりも早く、まゆ先輩の唇と僕の唇が触れ合う。
「挨拶でキスするって国があるみたいなこと漫画で読んだことあるからやってみちゃった」
まゆ先輩がごめんね。と謝るが、朝からめちゃくちゃ幸せだ。めっちゃ嬉しそうにしてるまゆ先輩をかわいいなぁと思いながら見ているとツンツンと首を突かれた。
「春香、おはよう」
「違うよね」
春香は即答で僕にそう答えて容赦なく僕の唇を奪った。そして満足そうににゃあ〜と悶えている春香を見てめちゃくちゃかわいいなぁと思う。
今日は日曜日、まゆ先輩も春香も今日はバイトが休みみたいなので、どうしよう…と考えながら朝ごはんを春香が作ってくれた。
「せっかくだしどこか行きたいよね〜」
朝ごはんを食べながらまゆ先輩が呟くと僕も春香も同意して頷いた。
「2人はどこか行きたいところとかないの?」
「りょうちゃんとまゆちゃんと一緒ならどこでもいい…」
「まゆも、りょうちゃんと春香ちゃんと一緒ならどこでもいい…」
2人とも嬉しいこと言ってくれるなぁ…と思っていたら春香とまゆ先輩は、りょうちゃん決めて!!と僕に丸投げしてきた。どうしよう…
「うーん。どうしようね…」
「りょうちゃんがアイデア出してくれなかったらここで3人でいちゃいちゃしちゃう?」
「それは…だめ…」
「えー、りょうちゃんは、まゆと春香ちゃんといちゃいちゃしたくないの?」
「そういうわけじゃなくて…その…気持ちよすぎて癖になっちゃいそうだから…」
「もう、りょうちゃんかわいいこと言ってくれるなぁ」
このままアイデアを出さなかったら本当に3人でこの前みたいなことをしそうな流れになってしまっていたので僕は慌てて何かないか考える。
「えっと…海!とかは?ほら、この前みたいに」
「えー、海はまだ早いでしょう。海行っても景色見るしかできないから却下、長時間楽しめる場所を提案して」
「ねえ、ちょっと、この前みたいに、って何?」
春香が僕が口を滑らせてしまったことに食い気味に反応する。しまった。と僕がまゆ先輩に助けを求める視線を向けるとまゆ先輩はしーらない。というようなジェスチャーをする。薄情者!まあ、かわいいから許すけど…
僕は観念して、まゆ先輩と海に行ったことを春香に話す。すると春香はふて腐れた顔をして不満を露わにした。
「春香…機嫌直してよ。そんなふて腐れた顔してたらせっかくかわいい春香の顔が台無しだよ…あ、でも…ふて腐れた顔もかわいい…」
僕の言葉を聞いた春香は顔を真っ赤にしてえ…、え…と嬉しそうに困惑する。
「今度、春香と2人で海に行こう。だから、機嫌直して…」
「しょうがないなぁ…約束だよ」
そんな約束を春香として、僕は今日どこに行くかを必死に考える。僕が考えている間、春香とまゆ先輩は昨日みたいに僕の膝の上に頭を乗せていろいろな箇所を撫でられている。2人とも本当にかわいくて幸せそうな表情をしてくれるからずっとこのままでもいい気がするが、そうすると僕の腕が死ぬ。今でも割ときつい…それにずっとこうしてたらたぶん変な流れになってしまうだろう。どうしよう…スマホ使ってアイデア出しをしたいが両腕が塞がっていてスマホを手に取れない。
「ねー、りょうちゃん、まだぁ?早くしないとまゆ、飽きて変なこと始めちゃうよ」
まゆ先輩が僕の弱いところの辺りを少しずつ刺激し始める。それを見て春香もまゆ先輩の真似を始める。本当にやめて…癖になっちゃうから…
「えっと、カラオケとかは?」
「私…人前で歌うの苦手……」
春香が、頬を膨らませて腕を僕の頭に伸ばしてそっと片耳をくすぐり始める。それを見たまゆ先輩もニヤニヤしながら春香と反対側の耳をくすぐり始める。あ、やばい…変な流れまでのカウントダウン始まった……やばい、まじでどうしよう……
「ホール行って楽器吹くとか…」
「「せっかくの休みだから特別なことしたいなぁ…」」
春香とまゆ先輩が同時に拒否して、先程より耳をくすぐる激しさを増す。そして空いていた片腕を僕の胸の辺りに伸ばして、胸周りもくすぐり始める。このままだとまじで…やばい…ていうか、そういうことやりたいって…少しずつ思い始めてきてる…これ以上はまじで…やばい…
「買い物行かない?」
「「え…」」
呆気に取られたような表情を春香とまゆ先輩がする。
「せっかく3人でこうやって仲良くなれたからさ、3人の繋がりというかさ、そういうのの証みたいなもの買いに行こうよ。アクセサリーとか、服とかさ…ダメ……かな?」
「ダメじゃない。めっちゃいいそれ!賛成」
「私も!賛成」
僕の提案にまゆ先輩と春香がめっちゃ食いついてくれた。さっそく出かける準備を始める。せっかくだし、今日はいつものショッピングセンターじゃなくて、ちょっと遠いが都市部の繁華街に行こうとまゆ先輩が提案してくれたので、まゆ先輩の車で都市部に向かうのだった。
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