第72話 春香の寝顔
「春香…その…どう?」
「うん。すごくいい感じ」
「ちゃんと寝れそう?」
「ドキドキしちゃってちゃんと寝れないかも…」
「え、ダメじゃん」
「いいの。このまま…ちゃんと寝れるように頑張るから…」
口止め料として春香にお願いされたことは春香に膝枕してあげて昼まで寝させて、というものだった。現在、春香はソファーの上に座る僕の膝に頭を乗せて天井を見上げている。春香は目を瞑り眠ろうとするが中々寝付けないようだった。
最初、膝枕を始めてすぐの頃は春香はめちゃくちゃ楽しそうに僕の膝に頬擦りしてえへへ…と言い楽しんでいる様子だったが、しばらくしたら落ち着いて今の状況に至る。
「りょうちゃん、退屈でしょ?スマホとかいじってていいんだよ」
チラッと目を開けて僕と目を合わせた春香が僕に気を使ってくれてそう言うが僕は全然退屈だなんて思っていなかった。
「大丈夫。スマホの画面なんかよりも春香の寝顔見てたいからさ…」
「え、恥ずかしいから…あまり見ないでスマホいじってて…」
僕が本音と冗談を9:1くらいの割合で言うと春香は顔を真っ赤にしてほっぺたを膨らませ不満を表情に出しながら言い返してきた。そんな春香もかわいい…あ、無論だが、本音が9で冗談が1である。ぶっちゃけ、春香の寝顔はいくらでも見ていられるくらいかわいい…めっちゃ癒される。見ていてついニヤついてしまうくらいにかわいいのだ…
「りょうちゃん、そんなにニヤついてどうしたの?もしかしてエッチなこと考えてた?」
「え、いや、そんなこと考えたないし…ただ、春香がかわいいなって思ってただけだし…」
ニヤついている僕を見てニヤつきながら質問をしてきた春香に僕がそう答えると春香は顔を真っ赤にして面と向かって、そんなふうに言われると恥ずかしいよ…などと呟いていた。かわいい…
「そんなこと言ってたらもうこの前みたいなことしてあげないよ…」
「この前?」
「言わせないでよ…まゆちゃんと3人でしたこと…今度はりょうちゃんと2人だけで…」
「え、いや、それ…」
「う・そ・そう簡単に恥ずかしいことさせてあげない」
ドキドキしていた僕に春香は悪戯顔で言う。かなりガクッとしたが、春香のごめんね。と言う悪戯心満載の表情を見てかわいい。と思ったので許す。
「期待した?」
「別に…」
「本当は?」
「期待してないよ…春香がしたくないなら無理して欲しくないし…まゆにお願いすればいいだけだし…」
「む〜りょうちゃんの意地悪」
僕が意地悪で春香に言うと春香はムスッとした表情で僕に言う。ムスッとした表情もかわいい。
「別にそういうことしたくないわけじゃないからね…なんなら、今からでも…」
春香が先程よりも甘い感じの声で僕に言うので僕はドキッとしたが、春香の目の下の隈を見てドキドキする感情は吹き飛んだ。
「今からはだめ。また今度ね…それよりも早く寝な、昨日寝れてなかったんでしょ。ちゃんと寝て…ちょっと疲れた顔してるから心配だよ。ゆっくり休んでいつものかわいい春香に戻ってね」
「わかった…ありがとう。おやすみ…」
春香はそう言って僕の膝の上でゆっくりと目を閉じた。しばらく、静寂が空間を支配したが、春香はまだ、眠れていない様子だった。
「りょうちゃん、お願いがあるの…」
「何?」
「私の頭撫でて…私が寝るまででいいから…お願いできる?」
「うん。それくらいお安い御用だよ」
僕は春香のリクエストに答えてる僕の膝の上で目を閉じている春香の頭を撫でてあげた。
春香は最初は嬉しそうな表情をしていたが、次第にうとうとしだして、しばらくして完全に眠ってしまった。僕の膝の上で目を閉じてかわいらしいいびきをかいて眠っている春香の寝顔はとても幸せそうなものだった。僕はそんなかわいらしい春香の寝顔を見つめながら午前中の時間を過ごした。春香が完全に眠りについてからも春香の頭をそっと撫でていた。春香を起こしてしまわないようにそっと、そっと、優しく、丁寧に…僕がそうしていると春香の寝顔は先程よりも幸せそうになっていて嬉しかった。
そして、幸せそうな表情で眠る春香の頭をそっと撫でながら見つめているうちに僕も眠くなってしまい、気づいたら僕も眠ってしまったのだった。
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