第91話 多様化
かつて、恐竜が生きていた時代、地球は温暖だった。生き物が暮らすにはいい環境だったという。種類も増えた恐竜は巨大化し、我が物顔で闊歩していた。この時代、人間の先祖であるほ乳類は、まだ「脇役」である。
恐竜が絶滅した原因の一つに「被子植物の多様化」がある。恐竜が生きていた時代、植物も多様な進化を遂げた。多様化した結果、草食恐竜が従来食べていた植物が他の植物に追いやられ、少なくなったのだ。
草食恐竜の食べていた植物が減れば、草食恐竜が減る。草食恐竜が減れば、それを捕食する肉食恐竜も減っていく。被子植物の多様化は、ボディーブローのようにじわじわと恐竜を追い詰め、絶滅へと向かわせた。
固有の種が繁栄する条件の一つに、「多様化」がある。周りと同じだと、同じ者どうしで競争が生まれ、生き残りにくくなる。周りと違っていた方が、周りと違う方法で楽に生きていける。
人間という種も同じだ。周りと同じ方法しか知らない者は、なかなか成功できない。個性がはっきりしている人間であればあるほど、周りに頼らず自力で生きていける。「多様化」は、生き残りの知恵である。
日本は、交戦権を認めない憲法を堅持してきた戦争の「脇役」である。だが、どの国の人も殺していない日本人は、恨みを買うこともない。戦争の「脇役」は、平和の「主役」でもある。
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