第86話 粋
「粋」という言葉がある。身なりや振る舞いが洗練されていて、格好良いと感じられること、人情に通じていること、遊び方を知っていることなどを総称していう言葉だ。江戸時代後期の美意識だという。
「粋」は、「単純な美しさ」への志向であり、「庶民の生活」から生まれた言葉だ。親しみやすく分かりやすい言葉で、意味は拡大されているが、現在の日常生活でも使われる。男女問わず使えるのもいい。
一方、「いなせ」という言葉もある。粋で威勢がよく、さっぱりして男らしい様子をいった言葉。「粋」に「威勢」と「さっぱり」を加えれば「いなせ」になるらしい。「粋」と違い、こちらは男性専用である。
現代は、「粋」の代わりに「空気を読む」を使うことが多い。周りの状況や雰囲気を理解するという意味である。「粋」と違って仕事の世界でも使われ、この能力が足りないことを「KY」とも呼んだ。
仕事で、あえて「空気を読まない」ことを選ぶべきという本も出ている。下手をすると「状況」や「雰囲気」が理解できないことも、個性の表れだと誤解されそうだ。でもそれは、ただの我が儘に過ぎない。
仕事の効率や目的を考えれば、空気を「あえて」読まないことも必要だろう。しかし、状況や雰囲気すら分からない者が、周りとの比較で理解を深める「個性」を磨くことはできない。個性は「粋」でありたい。
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