第39話 方言2

 口ずさむ歌の中に、英語が交じることがある。シルクロードのゴール地点でもある日本では、文化でも文物でも言葉でも、いろいろなものが組み合わさってきた。方言でも、同じ事がいえるようだ。

 宮崎県に、「てげてげ」という方言がある。「適当」という意味。「適当」は、「いいかげん」でもあるが、「適切」でもある。強すぎず弱すぎず、ちょうどいい具合に加減するのが「てげてげ」なのだ。

 これが回数を減らして「てげ」となると、「とても」、「てーげー」と伸ばせば「たいがい」の意。「てげてげ」な人ほど「てーげー」なことは「てげ」できるというわけだ。何かの暗号のようでもある。

 この「てげ」、韓国語の「テゲ」と同じ意味だと聞いた。宮崎方言では「げ」にアクセントがあるが、韓国語では「テ」。発音が微妙に違うだけで、どうも同じルーツの言葉であるらしい。

 大陸の渡来人は、かつてさまざまな技術をもたらした。彼らの言葉が日本語に定着していても不自然ではない。「茶」の発音は現在の北京語と同じ。現在の中国語には、明治の日本人が作った漢語が含まれている。

 国と国との仲がどうあれ、言葉の歴史を変えることはできない。国という概念がいつまで続くのかは知らないが、人と人の交流がある限り、言葉も変わり続けていくのだろう。日本語と韓国語の語順は、同じである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る