読後感大満足です。もう、素敵すぎます。この葉桜の君に出てくる「君」は、学生とはいえ立派な大人の女性に見えます。学校から離れて桜の木の下で、先生との関係にもこだわってしまう。彼女の悩みも、彼女がそれに向き合う姿勢も真剣なんです。なのにやっぱり恋する乙女です。可愛い素敵です。読後の満足感保証します。
七分咲きの一本桜、葉太はファインダー越しに見つめます。シャッターチャンスが訪れ、でも人が映りこむ。高校教師の葉太、クラスの生徒桜子との校外での出会いでした。絵画的というのか映画的というのか、名シーンです。桜子は家庭の事情があって、いろいろ諦めています。葉太は桜子の絵の才能を見込んで背中をぐいぐい。絵と写真でも実力がわかるのです。想い合うふたり気持ち、切なくなってします。
自主企画【筆致は物語を超えるか【葉桜の君に】】参加作品自身を不良教師と言いながら、もしかしたら不良教師だからこそ自分の気持ちを桜子へまっすぐに伝える秋田という人物にとても好感が持てました。お話の終わり方がとても綺麗で、映像が浮かび上がるようでした。
葉太先生と桜子ちゃんには、それぞれ写真と絵という芸術的な趣味がありました。 家庭の事情から、絵にお金を掛けられない桜子ちゃん。 葉太先生はその才能を惜しんで、絵を続けていくように提案するのですが? 終盤に、それまで秘せられていた桜子ちゃんのもうひとつの、しかも更に絵を描き続けていくことを困難にする事情が明かされます。 なんということ! 葉太先生の手に負えないかと思ったのですが。 最後は、ハッピーエンドと言っても良いでしょう。 葉太先生も、可愛いライバルに負けないよう頑張らないとね❤
何作もある筆致企画作品の中で、色とりどりの四季を描いた作品は、今のところこの作品しか読んだ事はない。不良教師と女子高生と、写真と絵と、葉桜と君。移り変わるのは季節だけではなく、人の心もまた成長する。そんな、ラストはほっこりジーンとする物語でした。
自称不良教師の秋田と、不自由な環境に身を置いている生徒の桜子。ある春の休日、二人は桜の木の下で出会う。秋田は写真、桜子はスケッチ。趣味を通じて静かな交流を重ねていく二人だったが――。 写真とスケッチ。切りとった景色と移りゆく四季。そして『色』の描写がとても印象的。切なくもあたたかい、未来を感じるラストも素敵でした。
自称「不良教師」、秋田葉太。模範的な教師像とは形容されないことを自覚しながらも、それでも教鞭を取り続ける彼と、悩みを抱える春川桜子との、心あたたまる交流が描かれます。小説で色と見せる、語ることの妙が存分に込められています。好きなことを頑張ることを応援してくれる、そんな素敵な短編です。
写真を撮る秋田と、鉛筆で絵を描く桜子。公園の片隅にある桜の木の下で、ひっそりと同じ時を過ごす二人。思い思いの絵を残そうとする二人を隔ててしまうのは、やはり教師と生徒という関係でした。緻密な四季の情景描写と共に語られる、ままならぬ世界を生きてきた桜子の旅立ちの物語。他の方とは少し違う選び方をしたイメージカラー、その理由が明かされるラストにも注目です。
秋田と桜子の偶然の出会いから始まった、秘密の関係は、衝撃的な告白で壊れたかに見えます。けれど、桜子の人生も、秋田の挑戦も、ここからがスタート!いつか、また逢えるよね……?そう切なく願ったわたくしの、期待以上の結末に胸がすかっとしました。
高校教師と女子高生。誰ですか? 変な想像をしたのは?ここには、そういうべたべたしたものはありません。盛りを過ぎた春の景色と静かな時間、このままでは埋もれるかもしれない豊かな才能がそこはかとなく漂う寂寥感とともに綴られていきます。出会いと別れの季節でもある1年後。どのような結末を迎えるのかはご自身の目で。