第116話 ゴブリンキング
ヨハンはアイスと共に精霊領に入る前に、ゴブリン砦を通ることになる。
ゴブリン砦では、トンが司令官を務めている国境沿いに建てられた砦である。
トンは片言ではなく、随分と言葉が上手くなった。
また、それを教育という名目で生まれたての子供や若いゴブリンたち教えている。
文字や算術、人との接し方の授業が行われていた。
トンに提案したのはヨハンではあったが、身長があまり高くならないゴブリンたちを見ていると、小学生が勉強しているみたいでなんだか懐かしい光景だと思えた。
「授業の方はどうだ?」
「正直上手くは言っていません。元々知能が高くないのもあります。
ですが、本来我々は強き王がいてこそ力を発揮されます。
しかし、我々には王がいないので命令に聞かないモノが多いのです」
ゴブリンはアリのような性質を持つらしい。
女王アリがいて、それを守る近衛アリ。餌を集める兵隊アリと役割が分かれているそうだ。
しかし、現在ゴブリンたちには女王アリとなるゴブリンキングがいない。
トンはそれに一番近いそうだが。
トンは学問、チンは偵察、カンは建築とそれぞれの分野のスペシャリストではある。だが、キングの器ではないという。
「キングの存在が不可欠か……誰かなれる者はいないのか?」
「いる。素質があるものが生まれた。しかし、問題があります。
素養ある者はご主人様のいうことを聞かない」
ゴブリンキングの幼体が生まれたらしい。
だがその力が故か、人であるヨハンの言うことは聞かないという。
トンたちとは奴隷から解放してから信頼を深めてきた。
新参者であるゴブリンキングの幼体にいきなり信頼関係を持てと言う方が無理がある。
「そこで頼みがある。ご主人様」
「うん?」
「その幼体をご主人様の下で働かせてやってほしい。
素質とカリスマだけでゴブリンは言うことを聞いてしまう。
それによってご主人様に逆らうのは我らトン、チン、カンの本意ではない」
現在の主を務めているのはトン、チン、カンの三人である。
しかし、これからゴブリンキングの幼体が成長した時。
トンチンカンの三人はゴブリンキングに王の座を譲るだろう。
「本当にそれでいいのか?お前達の王が俺の奴隷になるということだぞ?」
「構いません。あなたは我々のご主人様であると同時に恩人です。
ゴブリン族はどこに行っても嫌われ者だった。住む場所がないのは当たり前。
増えれば駆逐され仲間はたくさん殺された。あなたは俺たちを救ってくれた」
トンは砦を見て平和に暮らすゴブリン達を見る。
ヨハンも同じように視線を巡らせる。
「それは三人の同意なんだな?」
「はい」
トンは即答で返事をした。
「わかった。ゴブリンキングは俺が預かろう。名前を付けるぞ」
「お願いします」
モンスターに名前を付ければ、そのネームモンスターとなる。
名前を付けた者を主として、主従の関係を結ぶ。
そのかわり魔力の供給などを主人から受けられるので、主人が強力なほどネームモンスターも強くなる。
ゴブリンキングほどのモンスターならば、討伐ランクBクラス。
さらにネームモンスターともなればAクラスになる恐れもある。
ヨハンは冒険者としてはCランクだ。
モンスターのAランクと言えば、熟練冒険者であるAランクが五人はいないと討伐できないほど強力な存在になる。
「こいつがゴブリンキングの幼体」
トンが連れてきたゴブリンは他と違っていた。まず肌の色が黒い。
さらにほかのゴブリンの角は小さいのにゴブリンキングの幼体の額には雄々しいオーガのような一角が存在していた。
「ギギギ」
幼体はまだ話ができるほど知能が発達していないようだ。
だが、その眼には敵意らしきものが浮かんでいる。
「今日からお前と俺は主従になる。いいな?」
幼体であるゴブリンキングに確認をとる。
ゴブリンキングは一度トンを見て、トンが頷くと片膝をついて礼を尽くした。
だが、その眼には服従の意志はない。ゴブリンキングの態度を面白いと思った。
名前を付けた後もその態度がとり続けられるのか見ものだと名前を考える。
「お前の名前はボスだ。ゴブリンキングのボス。いいな?」
名前を付けると、眩い光がボスを包み込む。
ヨハンの中からごっそりと魔力が奪われるのを感じた。
どうやら名前付けは上手くいったらしい。
「ボ、ス」
名付けが終わったことで知能が多少高くなったらしい。
ボスは自分の名前を発するが、上手く発音できていない。
「そうだ。今日からお前と俺は主従関係になる。いいな」
先ほどまで敵意を向けていたボスは、改めてヨハンを見た。
そして、何かに怯えるようにヨハンの背後を見て深々と頭を下げた。
「ゴシュジンサマ」
片言ではあるが、ボスがヨハンを主人と認めた。
ボスは気づいたのだ。自分よりも遥かな高みにいる者が目の前にいると。
ヨハンは改めて自身のステータスを確認する。
年 齢 17歳
職 業 伯爵、求道者、賢者
レベル 101
体 力 4100/5200
魔 力 8569/10800
攻撃力 1239+50×10×2
防御力 1028+50×2
俊敏性 1128+50×2
知 力 11283
スキル
【斧 術】レベルMAX、【投擲術】、レベルMAX、【乗 馬】レベルMAX、【探 索】レベルMAX、【夜 目】レベルMAX、【鍛冶術】レベルMAX、【魔力強化】レベルMAX、【捕縛術】 レベルMAX
【カリスマ】、【気配断ち】、【剛 腕】、【攻撃力上昇V】、【防御力上昇V】、【敏捷性上昇V】、【体力自動回復V】、【毒無効化】、【幻覚無効化】、【麻痺無効化】、【石化無効化】、【魅力無効化】、【魔力消費半減】、【経験値アップV】、【アイテムボックス大】、【超越者】、【限界突破】
魔 法
【治癒属性】レベルMAX、【水属性】レベルMAX、【火属性】レベルMAX、【土属性】レベルMAX、【風属性】レベルMAX、【光属性】レベルMAX【雷属性】レベルMAX、【氷属性】レベルMAX、【重力属性】レベルMAX、【肉体強化】レベルMAX
補助魔法
【アタック】レベルMAX、【ガード】レベルMAX、【スピード】レベルMAX、【レジスト】レベルMAX、【電光石火】、【疾風迅雷】、【徹頭徹尾】
複合魔法
【銀世界】、【メテオストライク】
付加魔法
【魔力遮断】 レベルMAX、【属性付加】 レベルMAX、【スキル付加】レベルMAX
協力技
【雷神剣】(ランス)
【メテオストリーム】(リン)
【必中の矢】 (シェーラ)
【キングの波動】(ボス)
兵 法
【背水の陣】、【鶴翼の陣】、【魚鱗の陣】、【車懸りの陣】、【鋒矢の陣】、【方円の陣】、【臥龍の陣】、【雁行の陣】、【輪違いの陣】、【長蛇の陣】、【打草驚蛇】、【借屍還魂】、【調虎離山】、【欲擒姑縦】、【抛磚引玉】、【擒賊擒王】
スキルポイント 182
レベル100を超えたことで様々変化がヨハンの中で起きていた。
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あとがき
皆さんに楽しんで頂けていますでしょうか?
こんかいはステータスの表記を変更しました。
見やすくなっていますでしょうか?
レビュー☆やいいね♡をもらえたら作者のやる気もアップしますので、どうぞよろしくお願い致します('◇')ゞ
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