第65話 アラスカの遺跡
アラスカ方面を監視するレーダー網に突然飛行機が現れ味方識別コードが発信された。
この現象はもう米軍では有名で彼の飛行機だと理解された。
アラスカの遺跡の近くに氷原の上に飛行場が作られていた。
深さ一千メートル直径千メートルの穴が開けられ岩盤に鋼鉄で飛行場が作られていて彼の会社の飛行が20機以上も駐機していた。
地下千メートルの飛行場からはオスプレーが利用されていた。
彼の慣性制御装置を使えば氷を溶かす事無く氷原に着陸出来るのではあるが、今はその技術を見せる時では無かった。
飛行機から降りた彼とキャサリン、ヘレン、カリーの四人は迎えに来たオスプレーに乗り氷上に設営された基地に送られた。
基地は考古学者と作業員と警備の海兵隊用にと分けられていた。
他に機材用の倉庫と食料倉庫が設営されていた。
アメリカ人は何処へ行っても母国での生活様式を持ち込む。
砂漠の中でも基地を作りまるでアメリカ国内の様に室内を快適に設営する。
水は飲み放題、お酒も各種の品揃えが為され風呂やシャワーも何時でも利用出来た。
今回のアラスカの極寒の地でも基地の中は快適に保たれていた。
「長旅でお疲れでしょうから、まずは個室へご案内致します」
「ありがとう」
ヘレンが四人を代表して礼を言った。
四人は考古学者達とは別棟に連れて行かれた。
政府高官が視察に来た場合に備えて設営された棟に案内された。
部屋には応接セット、ダブルのベッド、浴槽付きのバス・ルームとトイレが完備されていた。
勿論、一人部屋である。
「食堂は一番奥にあります、24時間利用出来ます、では失礼致します」
案内して来た警備の軍人の中の一人が言い二人は去って行った。
「じゃあ、一休みしたら食堂で会いましょう、良いわね」
否と言わせない言い方でヘレンが言い、さっさと自分に指定された部屋に入った行った。
「関係者の方は私達が夫婦だと知らないのかしら」
キャサリンはドアを開けて中に入って思ったよりも豪華な作りに驚いた。
「凄い部屋ねぇ~、こんなに設備が良いとは思わなかったわ」
「アメリカ的ですね」
「極寒のアラスカでこんなに快適な暮らしが出来る何て・・・嬉しい様な、がっかりな様な、不思議な気持ちよ」
「さあ、皆が待っているだろうから食堂へいきましょう」
「えぇ~、ベッドを試して見ないの」
「二人は部屋を出て廊下を奥へ向かい食堂に入った。
ヘレンとカリーは既に来ていて食べ始めていた。
軍隊方式の設備だけにビュッフェ方式で並んでいる食べ物から選ぶ方式だった。
キャサリンも並んで美味しそうな物を選びヘレンとカリーのいるテーブルに座った。
彼は珍しくオレンジ・ジュースだけで食べ物も選ばず珈琲でも無かった。
「どうしたの、お母さん、カリー、余り食べていないわね、疲れているの」
「食べて御覧なさい」
ヘレンに言われるままに肉、野菜、ポテト、パンと次々に少しづつ食べ珈琲も少し飲み食べるのを止めた。
ヘレンに言われるがままにキャサリンは眼の前のステーキにナイフを入れた。
「何これ切れないわ」
キャサリンが小さな声で言った。
「調理の出来としては味は悪く無いのよ、私達の味覚が美味しい物に慣れ過ぎたんだわ」
「私達は家か船かでしか食べられないのかもね」
「美味しい物を食べているのは幸せとばかりは言えないわねぇ~」
キャサリンは再度食べ始めた。
暫く見ていた、ヘレンとカリーも食べ始めた。
「兵隊食としては上等よね」
「町のレストランの中でも上級の部類の味よね」
「彼は解っていてジュースだけな訳ですね」
そこへジョナサンとマーグが現れた。
「ここの食事はどうですか、結構評判が良いんですよ」
「お母さん、お姉さん、美味しいでしょう」
「ええ、美味しいわ」
「良かった、さてと、報告しても宜しいですか」
キャサリンが彼を見て頷いた。
「はい、その前にこの駐機場は凄いでしょう」
「ええ、凄いわね、良く此れだけの設備と広さがこんなに早く出来たわね」
「はい、マーグの案です」
「そう、良く気が付いたわね、飛行機を使ったのね」
「そうです、流石は姉妹ですね」
「良く気が付いたわね、偉いわ、マーグ」
「ありがとう、お姉さん」
「それでピラミッドの方はどうなのかしら」
「はい、この駐機場と同じ様には出来ません、もっと慎重にしなければ成りません、飛行機で氷を溶かすと大量の水が出るのですが、その水を排水する道筋を先に作る必要があるのです」
「此処はどうしたの」
「もう適当に地面まで溶かし地面の低い方へどんどん進んで行ったのです、幸運でした、同様にやって見たのですが今の処、運には恵まれて居ません、排水出来なければ直ぐに氷に戻りますしね」
その時、彼が言った。
「地形図を差し上げましょう」
彼女が通訳するとジョナサンとマーグは信じられないと言う顔で彼を見詰めた。
「えぇ~、地図が手に入るのですか」
「既にある様ですよ」
「何ですと、既にある~、貴方も見た事があるのですか、あるのですね」
「ある様~な、無い様~な」
「お姉さん、有るの~無いの~、どっちなの」
「お兄さん、有るの~無いの~、どっちなの」
マーガレットが英語の後に日本語で彼に尋ねた。
「ありますよ、マーガレットさん」
「うわぁ~、何処~、何処~、何処にあるの~」
「キャサリン、飛行機にありますので送って挙げて下さい」
「はい、貴方・・・旦那様」
「お願いします」
「マーグ、後で飛行機から貴方にメールするわ」
「待っている、お姉さん」
「それでピラミッドは、やっぱりプラチナだったのかしら」
「ええ、お母さん、間違い無く白金よ」
「中まで全て白金なの」
「それはまだ解りません・・・でも多分表面だけだと思います、エリア51と同じ構造であればですが」
「表面と言っても並みの表面では有りません、ミスターの許可を得ましてエリア51のピラミッドに穴を開けました、処、1メートルの純金でした」
「何と1メートル・・・230メートル、160メートルの表面を1メートル・・・一体幾らになるの」
「全く、お前は銭勘定かい、1兆か2兆か、いや50兆円程かね」
「上院議員、その倍以上です、歴史的価値を加味すれば、その100倍、1000倍になるでしょう」
「売り物には成らないわね、まぁ、政府も売る気は無いでしょうしね」
次の日からキャサリンがマーガレットに送った地形図を元に飛行機の噴射で河口から氷が溶かされピラミッドまでの川が作られピラミッドの回りの氷が取り除かれて行った。
それでも5000メートル四方が残っていた。
ピラミッドとスフィンクス二体があると予想される範囲である。
何故かキャサリンが送って来た地形図にはピラミッドもスフィンクスの姿も無かった。
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