遊園地 13

全身に走った電撃は筋力を奪い、タカコは床に倒れる。

「死んだ!」

光弥の目が見開く。

「生きてるわね。一応」

あたしが呼吸を確認して、伝える。

注射針を生やした機械ミミズがミツハの頭部を突き刺す。頭蓋骨は安易に貫かれて、脳髄の奥にまで届く。

ミツハは痛みを感じず、「あっ」とひと声鳴いただけだった。

一本の機械ミミズがミツハを刺すと5、6本の機械ミミズが頭、首、背を次々に刺していく。

「たかこお」

白目を向き、唾液を垂らしても友人を求める。

あたしは状況を整理する。

機械ミミズはあたしやタカコには反応していない。共通点は恐らく、現世で生きている者、でしょうね。

タカコはミツハに向かって「自殺した」と告げていた。タカコには婚約者がいてキャリアもある。自殺する要因がないい。

さっきの言い争いだけでタカコが生存していると判断するのは軽率だ。死因は自殺とは限らないし、タカコは死んだ時の記憶がない可能性だってある。

「たあ、かあ、あっ」

ミツハが声を上げると上空にいくつかの爆発音が鳴る。どうやら花火が上がっているらしい。それに合わせて外の観客は興奮した歓声をあげる。

ミツハが小さな声を上げるたびに花火が上がり、歓声が響く。

パレードの観客たちは渡された端末を掲げて豪華なオブジェや洗練されたダンサー、花火の写真を撮る。端末のカメラレンズから小さな光の球が生まれ風に流される。

あたしがシャボン玉だと思っていたのは全くの別ものだったみたいね。ミツハの声に連動して上がる花火、カメラレンズからのシャボン玉。これらの事象を光弥に解説してもらおうと聞いてみる。

「機械ミミズは魂を分解しているんだ。プラネタリウムを覚えているか?」

「復讐劇の舞台を作るのに使われた装置でしょ」

その装置では人を管に繋げて魂をエネルギー源にしていた。今はミツハという魂をエネルギー源にして、花火を上げているわけね。

光弥曰く、夢園はプラネタリウムが作る世界の規模が更に大きくなっているらしい。

「なぁ、これ外してくれないか?」

縛られている光弥は教えたのだから外してくれと訴える。

「それはやめたほうがいい」

天井を見上げたカンダタが止める。天井には蠢く機械ミミズがいる。そのうちの数本はじっとあたしを見つめていた。

「今も監視している。今度は瑠璃が捕縛されるぞ」

「それは嫌ね」

「ならどうすんだよ」

光弥が声を荒げると機械ミミズが光弥を注視する。唾を飲み込む。

「何もしなくてもいいのよ。あたしはこの先にいる人に会いたいんだから。このまま連れて行ってもらいましょ」

分解するのは一度に一人までと決まっているらしく、機械ミミズはミツハ以外に危害を加えるつもりはないらしい。

なら、あたしやタカコなどの人はどうなるのか。それは簡単な問題で答えは洗脳か魂のプログラムになる。そこに桐 首がいると憶測をたてていた。

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